日本人の心の故郷にして永遠のあこがれ、京都。
生粋の京都人ライターが、奥深い京の歳時記や知られざる名品、名所を綴ります。

京都通コラム 第6回

秋の夜長の雅な舟遊び

文・大喜多明子

観光シーズンにはまだ少し早い9月のこの時期、京都の行事といえば「お月見」でしょうか。今年の中秋の名月は9月15日。お月様は、京都に限らずどこからでも仰ぎ見ることができますが、京都各地の寺社で行われる「観月会」に参加すると、より風雅な雰囲気が楽しめそうです。

夜の大沢池に浮かぶ龍頭舟。

暑い暑い京都の夏も、過ぎてしまうとさみしく、もっと楽しみたかったと思うものですね。残暑の中にも秋を感じるようになりました。

観光シーズンにはまだ少し早い9月のこの時期、京都の行事といえば「お月見」でしょうか。今年の中秋の名月は9月15日。お月様は、京都に限らずどこからでも仰ぎ見ることができますが、京都各地の寺社で行われる「観月会」に参加すると、より風雅な雰囲気が楽しめそうです。

大覚寺「観月の夕べ」

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観月の行事は、15日を中心に、高台寺、下鴨神社、上賀茂神社、八坂神社などで催され、舞楽の奉納やお茶会など、それぞれの催しがありますが、池に浮かべた舟に乗り、舟上から月を観賞できるのが、右京区の大覚寺・大沢池の「観月の夕べ」。嵯峨天皇が中秋の名月に、貴族らとともに大沢池に舟を浮かべ、遊ばれたことに由来するこの行事は、平成28年は中秋の9月15日から17日まで。優美な龍頭舟に乗り、空に大きく輝く月と水面に映る月、両方を眺められるのも珍しく、舟券を求めて行列ができる人気ぶりです(舟券は1枚1000円、寺内拝観券は別途有料。午後3時頃から販売)。寺内の観月台ではお茶席も用意され、お抹茶とお菓子をいただきながらのお月見も風流です(お茶券は1枚800円。なくなり次第終了)。

ところで、観月の夕べでは、白くまんまるのお団子やお芋、お豆、お花が供えられますが、食べる月見団子は、京都では里芋に似せたお団子が一般的。米粉をこねて芋型に蒸し上げ、こし餡で覆ったもので、以前関東の方にお出しするとびっくりされ、その時初めて、各地で違うものなのだと知りました。

大覚寺:京都市右京区嵯峨大沢町4

宇治川の鵜飼

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さて、夜の舟のお楽しみがもうひとつ、「宇治川の鵜飼」です。松明の灯の下、絶妙の呼吸で鵜を導く鵜匠の技と、いきいきとした鵜の姿を眺めることができます。本来は夏の行事ですが、舟は9月末まで出されるので、夜風の涼しさも感じられるこの時期は、夏とは異なる趣があります。乗合舟は個人でも乗船可能で、舟は午後6時30分に宇治川塔の島を出発。近年は、日本で初めて人工孵化で誕生した「うみうのウッティー」が注目され、人気が高まっています(大人2000円。出船から終了まで約1時間)。

宇治川の鵜飼(宇治市観光協会)TEL:0774-23-3334

おおきたあきこ◎京都府生まれ。ライター、コピーライター。京都府立大学文学部卒業。広告代理店勤務を経てフリーとなり、広告制作を行う一方、女性誌、会員誌などでパン、スイーツ等の食や、伝統のものづくりをレポート。京都市在住。著書に『未在 石原仁司の茶懐石』がある。