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UX300e“version L”
LEXUS UX300eのインテリアに見える、ドライバーの眼を楽しませる「二律双生」と「和」の技法とは

2023年3月、LEXUSのコンパクトクロスオーバーSUVでBEV(電気自動車)のUX300eが、駆動用バッテリーの容量を大きく拡大、また走りの上質さを高める大幅改良を受けました。モデルの熟成を兼ねて行われるマイナーチェンジはデザイン変更を伴うことも多いのですが、UX300eはあえて大きな変化を避け、それでありながらインテリアの使い勝手向上を果たしました。ここでは新型UX300e“version L”のインテリアデザインとはどのようなものか、どう進化したのか解説していきます。

Text:Yohei Kageyama
Photo:Hidekazu Nagamoto

LEXUSのブランド思想、二律双生を体現するインテリアデザイン

LEXUSブランド初のコンパクトモデルとして登場したCT200hは、ハッチバックスタイルでありながら静粛性の高いハイブリッドパワートレーンを搭載、またどっしりとした走り味はまさに小さな高級車でした。2022年まで12年近くにわたって生産されたことは、長く愛された証でしょう。

この小さな高級車市場に向けてLEXUSが追加導入したのがUX(2018年)であり、電気自動車のUX300e(2020年)でした。日本の道路環境でも運転しやすい全長4,495mm×全幅1,840mmの比較的コンパクトなボディで、全高を1,540mmとして一般的な立体駐車場の高さ制限1,550mmをクリア。運転のしやすさや使い勝手のよさをも考慮された車両設計がなされているのです。

また、ブラックのフェンダーアーチモールやクロカンのアンダーガードをモチーフとしたフロントグリルフレームを採用するなど、CT200hとは異なるクロスオーバーSUVのスタイルに仕立てられています。

新開発バッテリーの採用により航続距離を512km(WLTC)に伸ばし、またボディ剛性の強化など走行性能を向上させたUX300e。

こうしたエクステリアデザインと同様に、「LEXUSらしいラグジュアリー性」はインテリアでも強く表現されています。

LEXUSのクルマはいずれも、相反するふたつのデザイン的要素を調和させることで個性を高める「二律双生」をコンセプトに掲げて開発されており、UXのインテリアにおいては「セキュア感(守られているような安心感のある力強さ)」と「抜けのよさ」の要素がかけ合わされています。

クルマのユーザーがもっとも長い時間接するコクピットはこのコンセプトをより色濃く表現され、インストルメントパネル上部と外のボンネットフードはひとつの面でつながっているかのように連続性を持たせています。この曲面は両サイドのフェンダーにもつながることでタイヤ位置を認識しやすく、開放的で、そして抜けのよさをもたらしているのです。

メインディスプレイは、大型化・タッチパネル化に伴い搭載位置をドライバー寄りに移動、操作性を高めました。

一方で、センターコンソールやドアパネルのひじ掛けは前方向に長く伸び、また前方に操作パネルを設けることで乗員を囲うような配置として視覚的な安心感を得られるデザインになっています。しかも、ひじ掛けのように肌に触れる部分だけでなく、ドアトリムやインストルメントパネルなどにソフトパッドを採用して、インテリア全体で上質感と心地よさを感じられる空間としているのです。

このコクピットは2023年3月の大幅改良で特に進化した部分で、従来はセンターコンソールのタッチパッドで遠隔操作していたメインディスプレイを直接操作のタッチパネルに変更するとともに、10.3インチだった画面サイズを12.3インチに拡大。また、従来タッチパッドやオーディオコントロールがあったセンターコンソールには、ハンドルヒーターやシートヒーター&ベンチレーションのスイッチを配置して操作性を向上させています。

エアコン設定温度や外気温などに応じて、シートのヒーター/ベンチレーションを自動制御する「クライメイトコンシェルジュ」機能もある。

「和」の技法で高められたラグジュアリー性

LEXUSモデルのインテリアは、これまでLSのドアトリムやオーバメントに西陣織やプラチナ箔を、LXに寄木細工を取り入れるなど、日本の伝統工芸の技術でラグジュアリー性を高められてきました。UX300eのインテリアにおいてもこうした「和」のテイストを取り入れたデザインが行われ、ドライバーの眼に届くところに配置されています。

ひとつはインストルメントパネルの上部のオーナメントに和紙風のシボを取り入れていることです。ごく細い繊維質を不規則に織り込むように重ねることで小さな凹凸を生み、光を不規則に反射、陽のあたり方によってさまざまなきらめきを見せてくれます。

光の反射が均一ではない和紙風シボのインストルメントパネルは、明と暗による独特のコントラストを見せます。

また、今回の撮影車となったUX300e“version L”に標準装備されている本革シートには、空調性能を備えた無数の小さな穴「パーフォレーション」を採用していますが、その大きさや配列によって日本伝統の文様「籠目(KAGOME)」を創り出しているのです。

竹で籠を編んだような編み目をデジタル技術によって再現され、グラデーションを成している様子は機能と美しさを兼ね備えたデザインなのです。またシートバックの両サイドには、LCにも採用されている「刺し子」をモチーフにしたステッチも施されています。

機能をデザインとして見せる、LEXUSの美意識が反映された籠目文様の入った本革シートは、“version L”専用の装備となります。

LEXUSブランドの原点を味わえるコンパクトSUV、UX300e

ひと言でラグジュアリー性といっても、上記のように乗員の眼を楽しませてくれる要素以外にもさまざまあります。が、BEVであるUX300eにおいて特筆すべき点はやはり静粛性の高さでしょう。

BEVはエンジンから発せられる走行中の振動や音がない分、風切り音をはじめとするノイズへの対策が難しいといわれています。しかし、UX300e“version L”はフロントサイドガラスに吸音材を使った合わせガラスを標準装備したことにより、静粛性を大きく向上させたのです。乗員同士での会話がしやすくなり、同じく標準装備で13スピーカーを組み合わせた“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステムによる澄んだ音を、より味わい深くしているように感じられます。この効果は走行中だけでなく、雨天や風の強い日などでの停車中にも体感できるでしょう。

2枚のガラスと吸音材を組み合わせた遮音タイプのガラスも“version L”専用の装備で、左右のフロントドアガラスに採用されます。

LEXUSブランドは、ずば抜けた静粛性の高さで世界に衝撃を与えた初代LS(1989年)を原点とし、この性能を磨きつづけています。今回の「UX300e」もこの伝統を受け継いでおり、高速道路はもちろん一般道を走っていてもLEXUSブランドの原点に触れることができるはずです。

近年設置場所が増えてきた90kW出力のCHAdeMO急速充電器に接続。関越自動車道 上里SAにて。

LEXUS UX300e “version L” 主要諸元

・全長×全幅×全高:4,495×1,840×1,540mm
・ホイールベース:2,640mm
・車両重量:1,820kg
・モーター:交流同期電動機
・最高出力:150kW(203ps)
・最大トルク:300Nm
・バッテリー総電力量:72.8kWh
・WLTCモード航続距離:512km
・駆動方式: FWD
・タイヤサイズ:225/50R18
・車両価格(税込み):685万円

LEXUS 300eの公式サイト

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