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折りたたみ小径車の最高峰・英国「ブロンプトン」でドライブ+αの楽しみを

「ブロンプトン(Brompton)」という折りたたみ自転車をご存知だろうか。英国で1975年に誕生して以来ハンドメイドにこだわって作られ、機能美にあふれたアイコニックな姿で、世界中に愛用者を増やしつづけている。小さく、短時間で簡単に折りたためるので、電車や飛行機に携行できることからも人気がある。もちろんクルマのトランクや後部座席などにもすんなりと入り、旅行やドライブ+サイクリングが手軽に楽しむこともできるのだ。昨年にはオールチタンの新型車が日本でも発売され話題になった。そんな「ブロンプトン」の魅力に迫る。

Text:Yusuke Kusui
Edit::Misa Yamaji(B.EAT)

誕生以来変わらぬ姿で魅せる、
完成されたデザイン性と機能美

左:2023年9月、待望の日本発売になったチタンと一部カーボンを使用したTラインのブロンプトン。右:折りたたみ時の姿。

独特なフォルムを持つブロンプトン。そのアイコニックな形のブロンプトンに乗ってスーツ姿のビジネスマンが颯爽と街を移動する姿は、ビッグベン、赤い2階建てのバス、地下鉄と同じぐらい、今や街中に溶け込み、ロンドンを象徴する風景にもなっている。

そんなイギリスを代表する折りたたみ自転車・ブロンプトンが誕生したのは1975年。ブロンプトン大聖堂を見下ろすアパートに住む若きエンジニア、アンドリュー・リッチー氏によって開発された。誕生以来、現在まで大きくその形を変えることなく“英国製ハンドメイド”にこだわり、作りつづけられている。

街中を颯爽と駆け抜けるブロンプトン。

ブロンプトンを語る上で、大きな特徴として挙げられるのが次の3つだ。
・誕生以来、ほとんど姿を変えていない完成されたデザイン。
・16インチの折りたたみ小径車であるのによく走る。
・小さく、しかも短時間で簡単に折りたたむことができる。

その魅力について、ブロンプトン ジャパンでカントリーマネージャーを務める矢野大介さんにお話を伺った。

折りたたみ小径車のイメージを覆す
しっかりとした走破性能

現在、スチール製のCライン、一部チタンを使ったPライン、そしてチタンモデルのTラインと大きく分けて3つのモデルがあるブロンプトン。

毎年、色など若干のマイナーチェンジは繰り返しているものの、16インチのタイヤ径や、3つの部分からなる折りたたみのギミック、ベースとなる形などはほぼ変わらず、年代やモデルにかかわらず一目見るだけで “ブロンプトン”とわかってしまう。まさしく完成されたデザインといえよう。

創業者のアンドリュー・リッチー氏と開発当初のデザイン図。

「アンドリューの当時の設計図を見てもわかるように、根本的な部分は誕生以来ほとんど変わっていません。それは、あえて変えていないのではなく、変える必要がなかったから。これは言うほど簡単なことではなく、最初に多くの試行錯誤をして世に送り出したものだからこそでしょう。今ならコンピューターなどを使って、さまざまなシミュレーションもできますが、当時はプロトタイプやスケールモデルを作って試すしかないですから、試作を徹底して行ったことがうかがえます」。つまり、当時から自転車に求めるべき要素を確実に理解して作られたものだと矢野さんは言う。

自転車に求められるもっとも大切な要素といえば走行性能だ。16インチといった車輪が小さい小径車は安定性にかけ、長距離は走れないとよくいわれている。そんな中でブロンプトンは50kmぐらいなら楽に漕げるという。

では、その長距離を快適に漕ぐことができる走破性はどこからきているのだろうか。

「自転車は人力なので特に回転系のパーツが走行性に大きく左右します。ホイールの2カ所のハブや、ペダルを回すクランクの中心部(ボトムブラケット)、そしてハンドルを切るところの4カ所のベアリングに精度がいいものを使っています。抵抗が5%上がるだけで、からだはすごく負荷を感じる。品質の高いものを使うことで、軽やかになり長く使うことができる。クルマが好きな方はよくわかると思うのですが、スムーズな回転は乗ってみた人にしかわからない心地よさです」と矢野さん。

自社工場の様子。

自転車メーカーにおいて自国の自社工場のみで製品を作り、年間10万台以上出荷するのはブロンプトンのみ。それ以外に各パーツを自社で開発し、フレームの溶接や自転車の組み立て、塗装なども自国の自社工場で職人たちが1台1台手作業で作り上げていく。

フレームには溶接した職人のイニシャルが刻まれるなど、その丁寧な作りから、「自分たちでしっかりと品質管理をしていい自転車を作りつづけたいという想いが強いのがブロンプトン最大の特徴。メンテナンスをしていけば50年は乗れるものづくりをしています」と矢野さん。耐荷重もJIS規格の65kgをはるかに超えた110kgを誇り、走るだけでなく、安心で安全、そして長く使えるという究極の自転車なのだ。

ドライブライフを変えてくれる
究極の折りたたみ自転車

さて、今までは走行性能を見てきたが、ブロンプトンで欠かすことができないのが折りたたみ性能だ。慣れれば20秒かからずに折りたたんだり、展開したりすることができる。しかもそのサイズは、585mm (H)×565mm (W)×270mm (D)とスーツケースほどにコンパクトになる。その大きさは同ジャンルの自転車では世界最小クラスだ。そして折りたたまれた形さえも、均整が取れていて美しい。

簡単に持ち運べるだけでなく、コンパクトなので、カフェやオフィスなどにも持ち込みやすい。(日本の場合、公共交通機関では袋に入れる必要がある。)

折りたたみ方も、自転車を降りて、たたむまでが一連の動作になるぐらいの手軽さがあると矢野さん。

「自転車の片側に立ったまま、ひとつの姿勢ですべてのアクションができることも、デザインとして優れている部分だと思います。“使いやすい”という面では、アンドリューのエンジニアとしてのバックグラウンドがあってこそですが、それ以外にもエルゴノミクスだったり、工業デザインなどの要素がすごく大きいと思うんです。簡単に言うなら、デザインに対してすごく“センス”を感じる。そこがアンドリューの思考の優れたところです」。

チェーンやギアなどの駆動部分が、折りたたんだ時にタイヤとタイヤに挟まれるデザインも素晴らしい。

これによって、折りたたんで移動する際に倒れてもギアなどが損傷しにくい。少しぐらい雑に扱っても守ってくれるので、クルマのトランクなどに入れる際も固定せずに安心して運べるし、飛行機の手荷物として預けることもできる。そしてこのデザインは、折りたたんで持ち運ぶときに、チェーンなどの油で服が汚れてしまうことからも守ってくれる優れものなのだ。

簡単に、コンパクトに折りたためる。

こうしたクルマのトランクや後部座席に難なく収まるコンパクトさは、クルマ+自転車という新しいドライブスタイルを可能にしてくれる。

目的地までドライブして、そこからサイクリングすれば、クルマでは入れないような狭い道や、人が多い観光地などもスイスイ走れてしまう。ドライブとはまた違う、まったく新しい風景や風を感じることができるだろう。

矢野さんも「行った先で足があるのですごく楽になる。例えば、狭い路地などを通って、目的地の物件に近い駐車場を探さなくてもいい。1、2km離れていてもすぐに行けてしまいます。京都や鎌倉などの混み合う観光地に行った時も、離れた駐車場に停めて、自転車でヒューッと移動できます。そして行った先のカフェなどでも停めやすい。これは、優越感にも似た感覚です」と、とりあえずどこに行くにもトランクに横倒しに寝かせて積んでおくそうだ。

待望の日本発売になった
軽量Tライン!

最後に、2023年9月、日本でもついに発売になった新型ブロンプトンを紹介したい。

その名も「Tライン」。折りたたみ方や形などはオリジナルのままだが、チタンと一部カーボンで作られ、細かなパーツなども再設計して作られたまったく新しい一台だ。

ボディはオールチタン。シートポストはカーボンを使用。外装4段変速も備える「T Line Urban」862,500円(税込み)~。C Lineは260,150円(税込み)~、P Lineは441,100円(税込み)~。

ブロンプトンの唯一の欠点として長らく挙げられてきたのがその重量だ。スタンダードモデルであるCラインはスチール製で重さは11kg~13kg(変速機やラックの有無で重さが変わる)。一部チタンが使われているPラインも10kgほどある。乗る分には何ら問題ないが、長く持ち運ぶのには少し難点があった。

それがTラインはなんと外装の4段変速がついて7.95kg!まさにロードバイク並みの軽さになった。しかも重さだけでなく、さびにくいチタンを使用することで、雨などで多少濡れてもローメンテナンスでストレスなく扱えるというメリットも。

「実は今年、PとTラインで12段変速という新たなモデルが、世界同時発売されることが決まりました。これによりロードバイクとほぼ同じギア幅になります。Tラインで見ると、重さもギア幅もロードバイク並み。まさしくロードバイクと同じレベルの走破性を誇る折りたたみ小径車が誕生します」と、最後に大きなニュースを矢野さんは教えてくれた。

クルマのあるくらしにブロンプトンをパートナーに迎えれば、旅の楽しみ方も増え、新たなるドライブライフが幕を開けるだろう。

【問い合わせ先】

ブロンプトン ジャパン
https://jp.brompton.com/

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