Car

LEXUS UX300e“version L”
LEXUS UX300eが持つ「二律双生」。安心感や力強さ、そしてキビキビとした走りを想起させるアジャイルさを探る

LEXUSのコンパクトクロスオーバーSUVであり、フルバッテリー電気自動車であるUX300eがデビューして以来初めての大幅改良を受けました。大幅改良といえばデザイン面の刷新も行われるのが一般的ですが、UX300eは利便性の向上や新機能の追加などが行われたものの、外観はほぼ変化させていません。これはデザインの完成度が高く、ユーザーからも支持を獲得していることの証左ともいえます。ここでは新型UX300e“version L”のデザインを解説していきます。

Text:Yohei Kageyama
Photo:Hidekazu Nagamoto

ラグジュアリーブランド、LEXUSらしい統一感を演出するデザイン

ひと昔前まで、ラジュアリーSUVといえば高級車としての威厳や存在感を示すようにボディサイズは大きく、乗る人や通る道を選ぶこともありました。しかしLEXUS UXは、LXやRXなどのラグジュアリーSUVたちが持つ気品・上質さなどを、全長約4.5mのコンパクトな都会派クロスオーバーSUVに濃縮、市場からの「小さな高級車」を求める声に応えるように2018年に新規投入されました。

さらにブランド初の市販電気自動車(BEV)となる「UX300e」を追加、運転のしやすさに加えてモーター駆動の静かさや優しい乗り味をも獲得しています。このコンパクトBEVは2023年3月の大幅改良で新開発の駆動用リチウムイオンバッテリーを導入することで、航続可能距離を約1.4倍の513km(WLTCモード)に伸ばして利便性を大幅に向上しました。

SUVとしては低い全高、1,540mmに設定されていることもあって、アングルによってはスポーティなハッチバックにも見えます。

では、BEVとしてのユーザビリティを高められたUX300eは、どのようなラグジュアリー性を持ち合わせているのでしょうか。

そもそもUXは、「素材や材質など物質的なよさだけでなく、豊かな時間や空間にラグジュアリーさはある」という感性のもと開発され、エクステリアデザインに連続性や一貫性を持たされています。

ひとつは、タフな力強さや守られている安心感を想起させるセクションをクルマ全体に採用していることです。フロントからサイド、リヤまでのボディ下部をブラックのパーツで巡らせるとともに、スピンドルグリル下部にクロカンのようなアンダーガードをモチーフとした太いメッキ調のフレームを配置することでSUVらしさ、力強さを強調しています。

スピンドルグリルを形どるメッキ調フレームは、底辺を2本のラインにしていることもポイントで、低重心さも強調しています。

これはスピンドルグリルのなかを彩るブロック状のメッシュパターンも同様で、上辺から下辺にかけてブロックの密度と形状を徐々に変化させることで低重心さを、無機質ではない生命感のある華やかさをプラスしています。

アングルによって表情を変化させるブロックメッシュパターンのフロントグリル、L字型のクリアランスランプが精悍さを際立たせています。

このスピンドル形状はフロントだけではありません。横一文字のテールランプを中心線にして上下方向へ広がるようなキャラクターラインを設けることで力強さと、クルマ全体としての統一感、さらにはラグジュアリーブランドの一員であることを表現しているのです。

LEXUS車で初めて採用された横一文字のテールランプデザインは、その後、新世代LEXUS車にも使用されています。

デザインと機能の調和をもたらすUX300eの強烈な個性

もうひとつ、ドライバーの意図に忠実にリニアに応答するLEXUS独自の走り味「Lexus Driving Signature」を表現するデザインも重要なポイントとなっています。ボディをサイドから見ると、ヘッドランプとテールランプから下方向へ垂直にキャラクターラインを伸ばすことで全長をコンパクトに見せ、キビキビとした軽快な走りをイメージさせてくれます。

またボディパネルには、スラックスのセンタープレスのように深いキャラクターラインを走らせ、後方へ向かってキックアップさせることで躍動感を演出しています。

ドアパネルの厚みをもたせることでボディデザインの塊感を高め、力強いプロポーションを実現しています。

これは快晴の陽のもとに出ると明と暗のコントラストでより強く見ることができるでしょう。特に今回撮影した車両UX300e“version L”のボディカラー「テレーンカーキマイカメタリック(6X4)」はUXのために開発された新色で、大粒のマイカ粒子を配合することで光輝感が高められ、暗部との差をより感じられるはずです。

強いキャラクターラインとコントラストはデザイン的個性だけでなく、フェンダーの張り出し感も強調しています。

このほかのボディカラーでは、新たに採用された「ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング(メーカーオプション/4Y1)」や「セレスティアルブルーガラスフレーク(8Y6)」のいずれもが光輝材にこだわり、光が射した時に独特の輝きを放つといいます。

またワイドに張り出すフェンダーのラインどりやブラックのフェンダーモールの形状も相まって、躍動感とともに「風を味方にしている」ような印象を抱かせます。事実、アーチ後半にある直線基調の形状は空力性能によってロール方向の挙動を抑え、コーナリング時の走行安定性を実現しているのです。

エアロスタビライジングアーチモールと名付けられたブラックのフェンダーモールは、デザインと空力性能の両立を追及されました。

そしてUX最大のデザイン的特徴となっているのがテールランプ両端で縦に伸びるフィン形状「スタビライジングブレードライト」で、レーシングカーのリヤウイングにある翼端板(エンドプレート)をモチーフに空気の整流効果を発揮、走行安定性が高められています。さらにテールランプとしての機能を持たせることで「L」字型を成形、LEXUSのデザイン的アイコンを成しています。

翼端板の機能を持つ横一文字のテールランプはただの直線ではなく、ゆるくラウンドさせながら描かれています。

エアロダイナミクスを高めるための形状がLEXUSモデルとしてのデザインと調和し、UXの持つ強い個性となっているように感じられます。メッキをはじめとする光輝材はホイールやフロントグリルといった要所へ配置するにとどめ、クルマに求められる機能をデザインに織り込んでいる、これがUXが持つラグジュアリー性なのではないでしょうか。

LEXUS UX300e “version L” 主要諸元

・全長×全幅×全高:4,495×1,840×1,540mm
・ホイールベース:2,640mm
・車両重量:1,820kg
・モーター:交流同期電動機
・最高出力:150kW(203ps)
・最大トルク:300Nm
・バッテリー総電力量:72.8kWh
・WLTCモード航続距離:512km
・駆動方式: FWD
・タイヤサイズ:225/50R18
・車両価格(税込み):685万円

LEXUS 300eの公式サイト

【関連記事】
LEXUS RZ450eのラグジュアリーさを押し上げたデザインと素材の選択。また公道での試乗で感じた“透明感”の正体とは。
レクサス RZ 450eが正式デビュー。同時にUX300eの一部改良、バッテリーEVオーナー専用サービス新設を発表
バッテリーEVオーナー専用サービス「LEXUS Electrified Program」を開始

Access to moment DIGITAL moment DIGITAL へのアクセス

認証後のMYページから、デジタルブック全文や、
レクサスカード会員さま限定コンテンツをご覧いただけます。

マイページ認証はこちら※本サービスのご利用は、個人カード会員さまとなります。

LEXUS CARD 法人会員さまの認証はこちら

2024 Spring

レクサスカード会員のためのハイエンドマガジン「moment」のデジタルブック。
ワンランク上のライフスタイルをお届けします。