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大阪注目のレストラン
大阪三大グルメの“串揚げ”が洗練されたひと串に。シャンパンと楽しむ隠れ家へ

大阪三大グルメのひとつである“串カツ”と“串揚げ”。一見同じようですが、串カツは肉単体を串に刺して衣をつけて揚げ、ウスターソースにどっぷりと漬けて食べる大阪下町グルメ。一方串揚げは、肉に限らず、魚介類や野菜などさまざまな具材を使い、ソースもいろいろあるのが特徴。どちらも大阪で大人気のグルメですが、今回ご紹介するのはミシュランガイド一ツ星にも輝いた串揚げ店。シャンパンと楽しみたい創意工夫あふれる世界をご紹介します。

Photo:Koichiro Nagayama
Text:Yusuke Kusui
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

風情漂う裏路地にたたずむ、女性店主のからだに優しい串揚げ屋

若者から観光客まで人であふれかえる大阪・難波。そんな繁華街のど真ん中をふっと裏路地に歩を進めると、突然昔ながらの街並みが現れます。

石畳が敷かれた大人の色香が漂うその路地。ここは、江戸時代から大阪人に愛されつづけてきた「法善寺横丁」です。老舗の割烹や寿司店、バーなどさまざまな名店が軒を連ねるグルメな横丁の一角に1996年から店を構えるのが、串揚げの名店『Wasabi』です。

法善寺の境内で参拝客に商いを行っていた露店が、いつしか横丁に発展。夜には提灯に明かりが灯り、さらに風情あふれる街並みに。

暖簾をくぐると現れるのは、奥に深い全9席のカウンター。落ち着いた雰囲気が漂う心地のいい空間です。カウンターのなかからは、店主の今木貴子さんが「いらっしゃいませ」と温かな笑顔で出迎えてくれます。

こちらでいただくことができるのは、前菜から始まり、25種類の串揚げと、野菜、箸休め、デザートが付いた「Wasabiおまかせ串揚げコース」1本のみ。串は自動的に揚げられていき、お腹の具合がよくなってきたころ合いでストップを申し出るスタイル。ストップのタイミングにより、価格は10,000円~14,410円(税込み)ほどになります。

大阪の町屋によく見られる“うなぎの寝床”といわれるような細くて奥行きが長いカウンター席。

女性ならではの繊細な組み合わせで魅せる、串揚げの数々

串揚げと聞くと、「胃にもたれそう」と感じる方もいるかもしれませんが、こちらの串揚げの最大の特徴は、軽くて食べたあともすっきりとしていること。

使う油は、一番あっさりとした香りと口当たりの米油を使用。衣となるバッター液は、小麦粉を卵黄とビールと冷水で合わせ、仕上げにメレンゲを入れたもの。揚げる時には余分についた液をしっかりと落とし、まとわせるパン粉もできる限り細かくし、油の吸いを極限まで少なくしています。

三つ葉を鯛で巻き、柚子胡椒をあしらった、後口が爽やかな串。串揚げの合間に野菜や箸休めの大根おろしを食べることで串が進む。

ひと串ひと串の丁寧な揚げ方、そして何よりも、女性店主ならではの繊細な食材の組み合わせが目を引きます。

「美味しくたくさんの種類を食べていただけるように、ひとつずつの串を少し小ぶりにし、できるだけあっさりと仕上げています。そして、何よりも家でできない食材の組み合わせが最大のポイントです。7割から8割のお客さんが、全種類の串を食べていかれます」と今木さん。

左◇店主の今木貴子さん。右◇仕上げに串を指でつまんでクルッと回し、しっかりと油を切ることで、軽い口当たりに。

常時25種類ある串は、定番が半分ほどで、残りが季節ごとの旬の食材を組み合わせたものが並びます。単に食材に衣をつけて揚げ、ソースにつけて食べるだけでなく、根菜類ならあらかじめ下味を含ませたり、伏見唐辛子のなかには京都を感じさせるようにちりめん山椒を忍ばせたりと、どの串にも丁寧な下ごしらえが施されているのです。

食感の違い、味の組み合わせなど、丁寧な下ごしらえが施された串の数々。ここでしか味わえない組み合わせの串が揃う。

「特に大切にしているのは食感や味の組み合わせからできる、初めての体験や面白さです。柔らかい食材のなかにカリカリの食感を忍び込ませたり、甘い味のなかにベーコンの塩味を感じさせたり・・・。衣に隠れている分、目には見えない分、感じることのできる驚きや楽しさを感じてもらいたいです」。

油を通しての蒸し料理ともいわれる揚げ物。衣のなかに封じ込められた香りの広がりや素材感を大切にしていると今木さんは串揚げの魅力を語ります。

シャンパンで広がる、串揚げの新たなる楽しみ方

素材の組み合わせだけに終わらず、仕上げのソースも一品ごとに趣向を凝らしたものが添えられるのが『Wasabi』の特徴です。スパイシーであったり、フレンチ風であったりと、どれも驚くものばかり。そこには串揚げ屋さんを始める前に、割烹やフレンチの名店で勉強をしたという店主ならではの創意工夫が詰め込まれています。

赤牛のミンチのなかにうずらの卵を忍ばせた串。「こんな小さなスコッチエッグは初めて!」と本場、英国人も驚いたという一品。

そんなこだわりが詰まった串の1本1本の美味しさをさらに高めてくれるのがシャンパンです。こちらのお店には10種類ほどのシャンパンが置かれ、グラスでならスパークリングワインを楽しむことができます。

シャンパンはボトル13,200円(税込み)~、スパークリングワインはグラス1,100円(税込み)~。

「お店を営むなかでシャンパーニュ地方と縁ができ、コロナ禍前までは毎年のように出かけていました。レコルタン・マニピュラン(シャンパーニュ地方でブドウ栽培から醸造まで、一貫して自社で行う栽培醸造家の総称)といわれる、小さいながらも丁寧な造り手のシャンパンを紹介していただき、そのようなシャンパンに合うような串揚げの組み合わせやソースを考えるようにもなり、さらに串揚げの奥深さを知りました」と串揚げを追求する今木さん。

組み合わせやソースに工夫を凝らし、シャンパンにもよく合う串が多く揃う。

例えば、マッシュルームにシャンピニオンデュクセル(マッシュルームを煮詰めたもの)を詰めてアーモンドスライスをまとわせた串には、バスク地方のサラミを添え、仕上げにトリュフオイルを施したり(上の写真・左)、軽くあぶったホタテにベーコンを巻いた串には、パイナップルジュースを煮詰めたソースに、オレンジピールやフランスのクリーミーなチーズ「ブルサン」をあしらう(上の写真・右)など、シャンパンと相性抜群の串も数多くでてきます。

「シャンパンに合わせるからといって、何もフォアグラやトリュフのような高級食材を使うわけではありません。しかしながら、食材の組み合わせや、ソースの楽しさなどをシャンパンとともに感じてほしいです」とシャンパンと串揚げの楽しみ方を今木さんは教えてくれました。

また11月中旬から、店の2階にあるワイン&シャンパンバー『AWA』が再開(金・土・日曜だけの営業)。ここでも3本や5本セットになった串揚げを頼めるそう。待ち合わせに利用したり、アペリティフや食後に楽しむなど、さまざまな大人の時間を堪能できます。

シャンパンと串揚げで過ごす、とっておきの大阪の夜がここにはあります。

Wasabi

住所:大阪府大阪市中央区難波1-1-17
電話番号:06-6212-6666
営業時間:17時30分から19時30分(最終入店)
定休日:日曜
コース:おひとりさま14,410円(税込み/25種 全種類で)
URL:http://www.hozenji-wasabi.jp/

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