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東京の注目レストラン
「ザ・リッツ・カールトン 東京」に仏ミシュランガイド三ツ星獲得日本人シェフ監修店がオープン

2024年1月29日、「ザ・リッツ・カールトン 東京」にフランスのミシュランガイド2020年版でアジアのシェフとして初となる三ツ星を獲得した小林圭氏監修の店「Héritage by Kei Kobayashi (エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)」が誕生した。料理長の村島輝樹氏とともに作り上げるのは、自身の経験から生まれる次世代へ継承したいフランス料理の世界だ。料理はもちろん、空間や器に至るまで小林氏が考えるフランス料理の真髄が感じられる。今をときめくフランス料理界の寵児が考える世界とは。

Text & Edit:Misa Yamaji (B.EAT)

伝統的なフランス料理を現代に継承する場所

開業17年目を迎える港区六本木にある「ザ・リッツ・カールトン 東京」。ホテル内には個性あふれる7つのレストランやバーがあり、中でも「アジュール フォーティーファイブ」という名前のモダンフランス料理店はホテル内外のゲストでにぎわう人気店だった。

その「アジュール フォーティーファイブ」は、昨年8月にフランスでアジア人として初めてミシュランガイド三ツ星を獲得したシェフ・小林圭氏を迎えリニューアル。さらに2024年1月29日、「Héritage by Kei Kobayashi (エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)」という新しい店として生まれ変わった。

丸テーブルをゆったりと配置し、凛としながらも心地よい空間に。

「Héritage」とはフランス語で「遺産、継承」という意味。そこには、小林氏自身がリスペクトし、多くを学び、今の自分の礎となっている“フランス人が創り出したフランス料理の真髄”を次の世代へ継承していく場にしたいという思いが込められている。

今の時代、フランス料理は自由に多様化の時代を迎え、各国のシェフたちは自分たちの表現で料理をし、その定義はボーダレスになりつつある。

一方で、今や失われつつある伝統的なフランス料理の技法、そしてソースなどにこそフランス料理の魅力があるのではないか。今一度自分たちが先人たちから伝えられてきた伝統的なフランス料理の真髄を現代的なアプローチで伝えていきたい・・・。そんな小林氏の思いをカタチにしたのがここ「Héritage by Kei Kobayashi(エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)」なのだ。

「オマールブルー キャビア グリビッシュソース」。

歴史に目を向ければ、“伝統的なフランス料理”のルーツは近代フランス料理の父といわれるオーギュスト・エスコフィエへと繋がる。

エスコフィエが1898年創業のパリのバンドーム広場の「リッツ・パリ」で総料理長となり、革新的で創造的なフランス料理を作っていたことを考えれば、小林氏が考える「伝統的なフランス料理を現代風にアップデートしながら次世代へ継承させる」場所として「ザ・リッツ・カールトン 東京」がこれ以上ない舞台であったということは想像に難くない。

「マナガツオ レモンのエキューム」。ソースはマッシュルームを使ったデュクセルソース。レモンの酸味で爽やかで軽やかな印象だが、味の構成はクラシック。

極上のワインと料理とサービスと

小林氏とタッグを組み、彼とともに「Héritage by Kei Kobayashi(エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)」の味を作っているのが、料理長の村島輝樹氏だ。

現在50 歳の村島氏は「L’atelier de Joël Robuchon 台北(ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション タイペイ)」や銀座「Restaurant ESqUISSE(レストラン エスキス)」でシェフとして活躍。シェフを務めた銀座「ARGILE (アジル)」ではミシュランガイド一ツ星を獲得している。

「僕と小林さんはパリにいた時代が被っているんです。あの頃のパリの空気感、自分たちが影響を受けた料理の数々、そんな共通項がいくつもありました。僕らは一からクラシックなコンソメをひいたり、ソースを日常的に作っていた最後の世代かもしれませんね。だから小林さんの“フランス料理への感謝と敬意を込めた新しい挑戦をしたい”というビジョンは非常に共感できました」と、小林氏とのチームワークのよさを語る。

写真右/監修者の小林圭氏。左/料理長の村島輝樹氏。

そんな小林氏と村島氏が作るのは、彼らが辿ってきたフランス料理の系譜に基づく記憶を現代に進化させたフランス料理だ。

例えばコースの途中で出てくるコンソメは、伝統的な卵白を使って澄ませるのではなく、鶏肉のミンチを使うことで卵臭くなく、より味わいの深いものに仕上げている。

オマールブルーの春巻きは、エスコフィエのレシピにもあるカレー粉と海苔を添えたメニューをヒントにしている。しかし、この料理の主役はオマール海老ではなく、添えてあるキャビアだ。熱々のオマール海老にグリビッシュソースとキャビアをかけることで、温められたキャビアのねっとりとした食感と塩気を、キリッとした酸味のあるグリビッシュソースとオマール海老の優しい甘みが引き立てる。

登場する料理の数々は、現代にフィットした洗練さがあるが骨太なフランス料理のDNAを感じるものばかり。ブルゴーニュやボルドーの極上ワインとの相性も抜群なので、ソムリエと相談し特別な一本を開けたくなるだろう。

さらに45階から眺められる東京の夜景に、テーブルクロスがかかる凛としたしつらえ、そしてリッツならではのサービスもまた格別。特別な料理とワインを心から楽しめる場所として覚えておきたい一軒だ。

Héritage by Kei Kobayashi(エリタージュ バイ ケイ コバヤシ)

住所:東京都港区赤坂9-7-1東京ミッドタウン東京45階
電話番号: 03-6434-8711 (レストラン予約)
URL:https://www.ritzcarlton.com/ja/hotels/tyorz-the-ritz-carlton-tokyo/dining/
営業時間:12時~16時(13時30分最終入店)、18時~22時30分(20時最終入店)
定休日:火曜日、水曜日
ランチコース:11,800円(税・サービス料込み)~
ディナーコース:24,800円(税・サービス料込み)~
駐車場:ザ・リッツ・カールトン 東京の駐車場へ

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