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RX450h+“version L”
レクサス RXフルモデルチェンジの理想と現実。初のPHEV「RX450h+“version L”」で、満ち足りた800kmを過ごしてみた

レクサスのグローバルコアモデルとして人気のSUV、RXがフルモデルチェンジした。新開発のハイブリッドシステムと四輪駆動システムを採用する「RX500h」が注目されているが、今回はRXに初めて導入されたプラグインハイブリッドモデル「RX450h+“version L”」に試乗し、その実力をチェックしてきた。(Motor Magazine 2023年3月号より)

Text:Keigo Nakamura
photo:Hidekazu Nagamoto、Masayuki Inoue

駆動方式は前後2モーターの電気式4WD。EV走行可能距離は86km

14インチの大型タッチディスプレイに多くの機能を集約し、物理スイッチが最小限に抑えられたインテリア。

1998年に北米で誕生した、ラグジュアリークロスオーバーSUVの先駆者がレクサスRXだ。その5世代目となる新型は2種類のハイブリッドシステムを含む、3つのパワートレーンを用意している。

今回はRX初のプラグインハイブリッドモデル「RX450h+」に乗ることができたのでその印象を報告する。

RXといえば、2005年にハイブリッドモデルのRX400hを導入するなど、ラグジュアリーSUVとしていち早く電動化を進めたモデルでもある。その最新版に当たるRX450h+は、高熱効率な2.5L直4エンジンに総電力量18.1kWhのリチウムイオンバッテリーと前後モーターを搭載するプラグインハイブリッドシステムを搭載する。

EV走行可能距離は86km(WLTCモード)と、かなり長い航続距離を実現している。これだけ走ることができれば、近距離のドライブをEV走行に頼ったり、エンジンとモーターの併用で低燃費や長い航続距離が期待できる。

迫力たっぷりの大径タイヤだが、ソフトでしなやかな乗り心地

2.5L直4+モーターのPHEVシステムを搭載。システム出力は309psで、0→100km/h加速は6.5秒。

ドアハンドルを握った指先に当たるスイッチ、これを押すことでドアロックが解除されるeラッチシステムを採用するという、NXやRXならではの作法でドアを開ける。運転席に座ってドアを閉めると、その感触からも密閉性の高さが伝わってくる。ダッシュボードとドアトリムが繋がったデザインによって包まれ感のあるインテリアは心地良く、各部の質感と素材感も相まって走る前からレクサスによるおもてなしを受けたような気分だ。

エンジンスタート/ストップスイッチを押して走り出すと、車格や塊感のある新型RXのイメージからは想像できないほど軽やかに動く。デフォルトではEVモードになっているので、アクセルペダルに軽く足をのせれば、BEVのように電気モーターのみで静寂を保ちながらスーッと走り出す。

ちなみに駆動用バッテリーはほぼ満充電の状態でスタートしたが、乗り出した時にメーターに表示されたEV走行可能距離は74km。今回の試乗では航続距離を伸ばしたかったので、HVモードを中心に試乗した。

今回の試乗で一番驚いたのは乗り心地の「しなやかさ」。RXは全グレード共通で235/50R21という大径タイヤを履いているにもかかわらず、このRX450h+はマンホールや路面の継ぎ目などギャップも確実に吸収する。それでいて接地感も明確なので、安心してクルマをコントロールすることができる。

プロドライビングアシストは「ツボを押さえた」サポート

ボディ右リアには100V/200Vの普通充電口があり最短で約5時間30分で満充電になる。外部給電にも対応する。

基本的には操舵系も含めてしっとりとした乗り味で、速度域を高めて走ろうなどとはあまり思わないのだが、ドライブモードをスポーツに切り替えると性格は一変。パワートレーンはエンジン回転を高め、モーターのアシストによって鋭い加速感が得られる。

足まわりも一気に引き締まり、車高は変化していないはずだが、重心が低くなったように安定するから、安心して気持ち良くスポーティなドライブを楽しむことができる。

今回は別企画の取材などにも稼働したため800km近く走ったが、終えてみると疲労感の少なさに驚いた。その理由は上質な空間と乗り味だけでなく、先進運転支援システム(ADAS)系の精度の高さだろう。とくに恩恵を感じたのはプロアクティブドライビングアシスト(PDA)だ。

これは運転状況に応じて操舵や減速支援をするものだが、先行車や前方のカーブに対しても作用するので、減速しようとアクセルペダルから足を離すと、自動で程良くブレーキが掛かり減速。そのまま自分でブレーキペダルを踏むことなくコーナーを曲がることができる。その塩梅が秀逸で、結果として踏み替え操作が少なくなったことが快適なドライブに繋がった。

スポーティな走りは“F SPORT Performance”を名乗るRX500hに譲るが、高い静粛性や上質な乗り心地によるラグジュアリーSUVらしさを求めるなら“version L”を設定するこのRX450h+という選択になるだろう。

【主要諸元】

■レクサス RX450+“version L”

全長×全幅×全高
4890×1920×1700mm
ホイールベース
2850mm
車両重量
2160kg
エンジン
直4 DOHC+モーター
総排気量
2487cc
最高出力
136kW(185ps)/6000rpm
最大トルク
228Nm/3600-3700rpm
モーター最高出力
前134kW(182ps)、後40kW(54ps)
モーター最大トルク
前270Nm、後121Nm
トランスミッション
電気式無段変速機
駆動方式
4WD
燃料・タンク容量
プレミアム・55
タイヤサイズ
235/50R21
車両価格(税込)
871万円
低く伸びやかなフォルムは、旧来からRXに踏襲されてきた都会派SUVのイメージを強調する。
フルモデルチェンジにより5代目となった新型RX。ボディサイズは全長4890mm×全幅1920mm×全高1700mmと、従来モデルから大きな変化はない。
ヘッドライトユニット内にL字型シグネチャーランプを配置、その他をブラックアウトとすることでL字の印象を際立たせている。
力強く張り出したリアフェンダーや、ボディサイドまで回り込んだ横一文字のテールランプによって迫力のあるワイドなシルエットを実現。
RX450+“version L”のホイールは、ダークプレミアムメタリック塗装(写真)とダークグレーメタリック塗装のどちらかを選択できる。
負担の少ない姿勢がとれるTNGA骨格を採用したシート。また深吊り構造により、座圧変化を低減させている。
酔いにくいシート形状とするため、シートバックの断面形状にもこだわりがある。電動リクライニングやベンチレーションも装備。
ラゲッジスペースのサイズは5名乗車時で612L。後席は40:20:40の3分割可倒式で、スイッチにより電動で前方へ倒すことができる。
出典:Webモーターマガジン

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