moment 2018年 7/8月号
レクサスを語る

LEXUS UX
待望の都市型
クロスオーバー、登場

文・渡辺敏史

今年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされて以来、注目を集めてきた新型「UX」。
シャープかつ躍動感に溢れたデザインと俊敏な走り、コンパクトクロスオーバーの最新鋭が、もうすぐ街にやってくる。

レクサスのDNA「すっきりと奥深い」走りを継承

激戦カテゴリーコンパクトSUVへレクサスの挑戦

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レクサスのSUVラインナップの中でももっともコンパクトなモデルとなる「UX」。全長4495ミリ、全幅1840ミリは乗用車的に見てど真ん中、いわゆるCセグメントに該当すると言っていいだろう。各社モデルが出揃った感のある大型SUV市場に対して、コンパクトSUVはプレミアムブランドも続々と新型車を投入している、今もっとも競争の激しいカテゴリーだ。

今からおよそ20年前、レクサスは初代「RX」で今日的なプレミアムSUVの成り立ちを定義した。それは乗用車のアーキテクチャーを全面的に用いることで、それまでの四駆的なモデルの弱点だった乗降性や居住性、乗り心地や燃費といった日常において重視される性能を劇的に高めるというものだ。

「RX」は北米市場を中心に大ヒットし、レクサスにとって欠くことのできないモデルへと一気に成長した。一方でこの成功はライバルのポートフォリオを転換させる大きなきっかけとなり、各社こぞって乗用車のアーキテクチャーをベースにしたSUVを開発。特にドイツ勢は大・中・小の3サイズ各々に多彩なエンジンバリエーションやクーペ風のキャビンデザインなどを用意し、気づけば膨大な種類のSUVを展開している。パイオニアであったレクサスとて、その勢いに押されていた感は否めない。そういう現況から見れば、買う側だけでなく売る側にとっても「UX」は待望の1台ということになるだろう。

見た目は重厚な佇まい。コックピットは機能性抜群のコンパクトさ

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「UX」がおもに想定するユーザー像は、その体躯の小ささが物語るように都市を活動の拠点とする人びとで、年齢や性別に応じた特別なこだわりはないという。レクサスインターナショナルの澤良宏プレジデントは、「いわゆるSUVと呼ばれるパッケージはその見通しのよさや乗り降りのしやすさなど、機能的な面からも万人にとってのベーシックカー的な存在になっているのだと思う」と、その多面性を捉えている。

都市生活者を意識したということもあってか「UX」の全高は1520ミリと、かなり低く抑えられている。低い重心高はオンロードでの軽快さや機敏さに寄与するだけでなく、タワーパーキングへのアクセスなど実用面での効能も大きい。が、一方でデザイン次第では“ちょっと腰高な普通の車”といった見栄えになってしまう。

「UX」の開発責任者である加古慈(ちか)チーフエンジニアは、その見せ方にはかなりこだわったと言う。多くのユーザーがSUVを支持するのは、口にせずともその力強さや護られ感に魅力を感じているのではないか。そういう前提でどっしりと構えたSUV的な佇まいをデザイナーとともに徹底的に追求したという。

その一方で、インテリアは視界のよさや車両感覚の掴みやすさを重視、加えてスイッチ類やホルダー類などへのリーチを短縮するなど、上質さだけでなく、扱いやすさにもこだわっている。

なるほど、「UX」はその寸法から想像するプロポーションよりはずいぶん堂々とした、SUV然とした佇まいをもっている。が、運転席に座ってみても前方見通しがよい。だが、前フェンダーの両峰が全幅を視覚的に直感させるなど、見た目の印象よりはひと回り小さい車に居るかのようだ。内外装のデザインはレクサスの他のモデルよりすっきりした印象だが、そのクリーンネスが若々しさとも受け取れる。

狙ったのはダイナミックな走行性能と優れた燃費性能の両立

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「UX」は欧州仕様としてガソリンとハイブリッド、ふたつのパワーユニットの搭載が今のところ発表されている。うち前者は、グループで長年研究されてきた高速燃焼技術が採用された新設計の2L直噴エンジンで、メカロスの徹底的な低減も併せて最大40パーセントという熱効率を達成。これは従来の同等エンジンに対して1.5〜2倍近い効率向上を果たしたといえる数値で、さらにその特性を最大限に引き出すべく、こちらも新規開発されたCVTトランスミッションが組み合わせられる。狙ったのは低燃費とダイナミックな走りという相反する要素の両立だったというから、その仕上がり次第では、ハイブリッドではなく敢えてガソリンを……という選択肢も活きてくるのではないだろうか。

加えて「UX」の技術的長所となるのが「レクサス・セーフティ・システム+」の採用だ。レクサスにとっては第2世代という、つまり最新の運転支援技術の搭載により、夜間の歩行者も感知するプリクラッシュセーフティシステムや、全車速追従のレーダークルーズコントロールと、それと連動しての車線維持支援とレーントレーシングアシストなど、新型LSに搭載された機能の一部が手に入ることになる。高速道路を使ってのロングドライブだけでなく昼間の街中、或いは夜間の郊外路……とさまざまな場面でその恩恵を感じることができそうだ。

「UX」の日本発売は年内の予定だという。レクサスにとっての未知のカテゴリーへの挑戦を楽しみに見届けたい。

渡辺敏史

わたなべ としふみ

1967年福岡県生まれ。二輪・四輪誌の編集を経て、フリーランスの自動車ジャーナリストに。以来、自動車専門誌にとどまらず幅広いメディアで活躍。その緻密な分析とわかりやすい解説には定評がある。著書に『カーなべ』などがある。

moment 2018年 7/8月号より