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特約店の名湯体験
名湯宿で浸かれる、天然温泉という癒し

美食の宿、そして名湯の宿としても知られる長野県の「扉温泉 明神館」と北海道の「小樽旅亭 藏群(くらむれ)」。趣の異なる3種類の温泉を備え、館内に居ながらにして湯巡り気分が味わえる「扉温泉 明神館」は、連泊による湯治にも最適です。また、「小樽旅亭 藏群」では、天然のヒーリングパワーである“1/fゆらぎ”という癒しの感覚に包まれながら温泉浴を満喫できます。

text/Akemi Furuta photos/Shinichi Kimura、PIXTA(Otaru-unga)

神々の気配を感じる
松本「扉温泉 明神館」の湯

西にそびえる北アルプスをはじめ、四方を高い山々に囲まれた長野県松本市。街と山との距離が近く、市街地からおよそ30分もクルマを走らせれば、大自然の真っただ中にアクセスできます。

「扉温泉 明神館」(以下、明神館)は、松本市の東南、入山辺地区の標高1,050mの山中に佇む湯宿です。周辺一帯は「八ヶ岳中信高原国定公園」に指定されており、いわば自然保護の聖域。ただそこに居るだけで、天然の癒しを存分に享受できます。

眼下に渓流が流れている立ち湯「雪月花」の夜。この記事冒頭のメインカットは朝の様子。

その昔、日本の神さまたちが湯治に訪れたともいわれる扉温泉。湧き出す湯はほぼ無色透明、肌当たりの優しいアルカリ性単純泉で、胃腸や神経症、リウマチ、病後回復、外傷後遺症、慢性便秘、婦人病などに効果があるといわれます。さらに、天然の保湿成分・メタケイ酸を含み、湯あがりの肌がしっとりすべすべに。「明神館」では、温泉療法士でもあるというオーナーのこだわりで、湯の温度を38~40℃に設定。熱過ぎると血流が悪くなってからだの芯まで温まらないため、体温よりやや高いこの温度がベストなのだといいます。また、38~40℃の湯は副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果も期待できるのです。実際にこの温泉につかってみると、母なる大地の温もりに包まれているようなやすらぎを得られることでしょう。

野鳥の声や木々の葉のささやきを間近に感じる露天風呂付大浴場「白龍」。

館内には、立ち湯「雪月花」、露天風呂付大浴場「白龍」、寝湯「空山」という3種類の温泉が点在し、浴衣姿で湯巡り気分を味わえます。立ち湯は、その名の通り立ったまま腰上までつかることができ、この姿勢で温浴することで、血管やリンパ管などの循環器が整いやすくなるそうです。露天風呂付大浴場には、じっくり温まれる内風呂を完備。八角形の浴槽は風水的にも縁起がよく、開運パワーをいただけそうです。ちなみに、「白龍」の名を冠するこの大浴場では、かつて「龍神さまを見た」という宿泊客もいたといいます。また、寝湯はリラックス効果が高く、枕木に頭をのせて湯の浮力に身を任せることで、筋肉が緩んで血流もスムーズに。

枕木に頭をのせ、日中は青空と山、夜はきらめく星と木々を眺めながら入浴できる寝湯「空山」。

3種類の温泉は、空間演出や眺望もそれぞれ異なり、時間帯によっても表情が変わります。何度入っても飽きることがないので、連泊して湯治を楽しむのもおすすめです。神々のパワーが宿る温泉で、日頃の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。

港町・小樽の奥座敷
朝里川温泉に建つ「小樽旅亭 藏群」

かつて海上物流の拠点として栄えた北の港町・小樽。海沿いに横たわる運河のイメージが強いですが、じつは北・西・南の三方を山に囲まれており、昭和中期には山の一部を切り開いて温泉地が造られました。それが、小樽の奥座敷として知られる朝里川(あさりがわ)温泉です。心地よさを生む“1/fゆらぎ”に満ちていることから、「ゆらぎの里」とも呼ばれています。

“1/fゆらぎ”とは、一定のパターンと不規則な変化が調和した状態を指し、たとえば、木々のざわめきや川のせせらぎなど、自然界に多く存在します。それを見たり聞いたりすることで、人間の心が落ち着くのは、この“1/fゆらぎ”が生体リズムと共鳴するからだといわれています。事実、人間の心拍も一定ではなく、健康な心臓であるほど“1/fゆらぎ”がみられることがわかっています。

小樽運河などのある中心部から車で約15分の山中に佇む「小樽旅亭 藏群」。

そんな“1/fゆらぎ”を存分に体感できるのが、朝里川温泉に建つ全19室のスモールラグジュアリーな名湯宿「小樽旅亭 藏群(くらむれ)」。居心地のよさを追求するオーナーのこだわりが随所に感じられ、露天風呂もつい長湯したくなる環境です。立ちのぼる湯気の向こうに木漏れ日が揺れ、すぐ近くを流れる朝里川の水音も聞こえてきて、まさに“1/fゆらぎ”の境地。露天風呂に浸りながら、初夏は新緑、秋は紅葉、冬には雪のぼうしをかぶった木々をめでられ、四季折々の自然が生み出すゆらぎの中で、心身がほぐれていくのを実感できます。

石造りの浴槽を満たすのは、湯冷めしにくい塩化物泉の天然温泉。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなどへの効能があるといいます。この名湯、なんとすべての客室の風呂にも引かれており、プライベート温泉を満喫できるのも魅力です。読書しながら半身浴を楽しむなど、誰に気兼ねすることなく自由なスタイルで入浴できます。

四季折々の自然と一体になれる露天風呂。

宿泊客は、湯あがりに館内のカフェ&バー「クラルテ」でドリンクがいただけるのもうれしいサービス。約100種のカクテルや地元産ワイン、焼酎などをすべて無料でオーダーできます。夜は18時から24時までオープンしており、夕食の前後にお酒を楽しむのにぴったりです。

ノンアルコールドリンクも揃うカフェ&バー「クラルテ」。

ところで、ここ小樽は「夜こそ美しい街」であることをご存じでしょうか。日没とともに運河沿いのガス灯がともり、石造りの倉庫群もライトアップされて、ひときわロマンチックなムードが高まります。天然温泉で火照ったからだをクールダウンしに、夜の小樽運河へ出掛けてみるのもおすすめです。

ガス灯の光が幻想的な夜の小樽運河。運河沿いに散策路が設けられている。

ご予約・お問い合わせ

扉温泉 明神館

Tel:0120-37-1810
住所:長野県松本市入山辺8967
http://www.tobira-group.com/myojinkan/

小樽旅亭 藏群

Tel:0134-51-5151
住所:北海道小樽市朝里川温泉2-685
https://www.kuramure.com/

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