Lifestyle

横田英治のReturn to Basics
「悩んだら、基本に戻ろう」
VOL.3 アイアン編

今季、初シード獲得の期待がかかる岸部桃子プロを指導していることから、女子ツアーに足を運ぶ機会が多い横田英治プロ。いまどきの女子プロのクラブセッティングにははっきりした傾向があり、しかも、アマチュアにも大いに参考になると言います。さて、その傾向とは・・・。

UT多用で「10ヤードピッチ」を確保

女子のツアーに行くと、アイアンは7番から入れている選手が圧倒的に多いです。6番はチラホラいますが、5番からという選手はもうほとんどいません。代わりにユーティリティ(UT)を入れて、UTが4・5・6、そしてアイアンは7・8・9・PWというセッティングが非常に多くなっています。

その理由は、女子の力でも7番アイアン以下なら10ヤードピッチ(間隔)で距離を打ち分けることができます。しかし、5番や6番くらいロフトが立ってくると、7番とのキャリーの差が圧倒的に少なくなってしまう。そこで上の番手をUTに替えることで、10ヤードピッチが可能になるのです。

女子ツアーもグリーンのコンディションが硬く、速くなり、スコアメイクのためには150ヤードのショットを止めなければいけない状況になってきています。5番や6番アイアンでは止められないけれども、UTなら同じ距離を違う球質(ボールがグリーンに落下する角度が大きく、ランが少ない)で攻められるメリットがあります。

これはアマチュアの方にもそのまま当てはまることで、球が上がりにくい、止まらないとゴルフが難しくなる。なので、男性なら6番アイアンからでもいいでしょうが、その上はUTというセッティングをおすすめします。

「球が止まらないミドル~ロングアイアンの代わりにUTを入れる女子プロが多い」(横田プロ)

アイアンはハンドファーストで距離を出す

スウィングについてお話しすると、ウッドとアイアンでは、それぞれのクラブの機能を引き出すための打ち方が異なります。アドレスを正面から見たときに、ウッドがアドレスのままのシャフトの角度でインパクトすればいいのに対し、アイアンの場合はアドレスの状態よりもハンドファーストに打たないといけないのです。それくらいシャフトの傾きを作ってあげないと、球が前に行きません。ショートアイアンでは、自分ではいい当たりをしたのに高く上がってしまい、全然飛ばないという人が多いんです。ショートアイアンは、アドレスで構えたときよりもロフトを立てて当てなければいけない、ということを覚えておきましょう。

ショートアイアンの機能を発揮するには、インパクトでハンドファーストになる必要がある

すぐにできる実戦で役立つ横田流テクニック
「ハンドファーストを覚える練習」

「ショートアイアンはハンドファーストで打つ」といっても、実際はアマチュアの方のほとんどがインパクトで右足に体重が残ってしまっています。さんざん右足体重で打ってきた方にとって、左足に体重をかけるハンドファーストには違和感があるでしょう。そこで、その違和感を取り除き、ハンドファーストを身につけるドリルをお教えします。

ショートアイアンを持ち、左足1本で立ちます。右足はちょっと引いて構え、しっかり左に体重を乗せます。あとはその体重配分をキープしたままボールを打ちます。フルショットではなく、ハーフスウィングでOKです。

ハーフスウィングくらいで練習場でパカパカパカパカ打っていくうちに、「あっ、こういう感触なんだ」という”気づき”が徐々に脳に刷り込まれてきます。そして、ハンドファーストで打ちやすくなるというわけです。

実際にコースに出たときも、両足では立っているのですが、ショートアイアンはほぼ左足1本くらいの気持ちで打つといい結果が出ます。なぜなら、ウェイトシフトというのは基本的には何をするためのものかというと、距離を出すための動作です。

一方、ショートアイアンで大事なのは、距離を出すことよりもラインを出すこと。なので、ウェイトシフトなしの左足1本打ちのほうが、そのクラブの目的を達せられるのです。ショートアイアンに限らずウェッジもそうなんですが、スタンスを狭めに構えると体重がテークバックで右に乗っていかないので、「スタンス狭め」と「左足体重」を意識すると、クラブの機能を引き出しやすくなります。

また、このドリルを試すとわかるのですが、ハーフスウィングなのに、それまで右足体重でロフトが寝て当たっていたときに比べて、同じヘッドスピードでも10~20ヤードは飛距離が伸びるはずです。トップの小さなハーフスウィングでも、ロフトを立ててインパクトすれば今までと同じかそれ以上に飛ぶ。ショットの精度も上がり、これはもうメリットしかありません。

左足1本で立ち、ハーフスウィングを繰り返してハンドファーストを覚えよう
プロフィール

横田英治(よこたえいじ)

1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまで多くのゴルファーにレッスンを行い、今季好調の岸部桃子プロも指導する。7月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」がオープン予定。
レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。

協力:千葉夷隅ゴルフクラブ

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