横田英治のReturn to Basics
「悩んだら、基本に戻ろう」
VOL.2 FW編
ベテランの域に達したゴルファーといえども、いまだに彼らの多くが「苦手なクラブ」に挙げるのがフェアウェイウッド(FW)。なぜ難しいのか。そして、どう打てばいいのか。「FWはどういうクラブなのか」というゴルフの基本に立ち返り、横田英治プロがアマチュアの悩みを解決します。
FWでボールを上げる意識は捨てよう
フェアウェイウッド(FW)について、大きな2つのことを理解していただきたいと思います。
1つは、FWは転がすクラブであるということ。
(1)14本の中でドライバーの次に長さがある、(2)ロフトが立っている、(3)地面の上にあるボールを打たなければならない。球が上がりにくい3条件が揃っているのに、無理に上げに行こうとすれば失敗するのは自明の理です。FWを手にするときは、球を転がす意識を強く持ち、「上がったら副産物(儲けもの)」くらいの気持ちで挑んでください。
また、「FW=転がすクラブ」という意識があれば、仮に160ヤード先にバンカーがある場合、入る可能性のあるバンカーを外して狙うという選択肢も出てきます。これまではバンカーの上を越すことしか頭になかったのが、リスクを回避する1ランク上のコースマネジメントを考えられるようになるのです。
3番も5番も、キャリーはそれほど変わらない
そして2つめですが、その前に。
男性ゴルファーの場合、3番ウッド、5番ウッドの2本を入れている方が多いと思います。実は、この2本のFWはキャリーがほぼ同じだということを知っておきましょう。
アイアンでは、9番と8番ではキャリーが10ヤード違い、ランは変わらないので、トータル飛距離も10ヤードの差になります。8番と7番、7番と6番にも同じことが言えます。
ところが、よりロフトが立ったロングアイアンになると、その関係が変わってきます。6番と5番ではキャリーの差が7ヤードになり、5番と4番では4ヤードとさらに縮まってきます。ただし、数字の小さな番手のほうがランが多くなるため、トータルではショート〜ミドルアイアンと同様に10ヤードの差が出るのです。
3番ウッドと5番ウッドの関係もロングアイアンと同じです。キャリーは3番が205ヤードに対して、5番は200ヤード。ランは3番のほうが5ヤード転がるため、最終的には10ヤードの飛距離差となって現れますが、キャリーだけ見ると5ヤードしか変わりません。
したがって、190ヤード先の池を越えるには、ロフトがあってクラブが短い5番ウッドのほうがよりやさしいのです。
「ショートバック・ビッグフォロー」をイメージして振ろう
「190ヤード先の池越え」に限らず、基本的にFWは3番ではなく5番を選ぶこと。なぜなら、ゴルフ場には微妙に傾斜があり、使える状況が限られる3番の出番は少ないからです。また、左足下がりのライでは3番より5番のほうがキャリーが出ることも覚えておきましょう。
では、3番が使える状況とは?
「左足上がり」「フェアウェイが広い」「ライがいい」。この3条件が揃ったときには3番を選んでもいいと思います。
FWの特徴は「ソール幅が広い」「ソールが滑りやすい」「重心深度が深い」。ですから、これらの特徴を活かすようなスウィングをしましょう。とくに大事なのは、ソールをいかにうまく使うか。自分から見て右サイド(ダウンスウィング)の意識が強いと、打ち込むようにリーディングエッジから入りやすくなってしまいます。これではソールを滑らせることができず、ロフトをさらに立てることになるので、ますますボールが上がらなくなってしまいます。
反対に、ボールから先、スウィングの左サイド(フォロー~フィニッシュ)の意識を強く持つことで、入射角が緩やかになり、広いソール幅を使って、ロフト通りにコンタクトできます。すると、深い重心深度の効果もあり、ボールは高く上がっていきます。
イメージとしては、テークバックが小さくてコンパクトなトップから、大きなフィニッシュ。「ショートバック・ビッグフォロー」はスウィングの基本ですが、FWではより強く意識してください。
すぐにできる
実戦で役立つ
横田流テクニック
「FWの賢い選び方は?」
FWを購入する場合の賢いテクニックがあります。それは、「ドライバーよりもシャフトは重めにする」。なぜなら、FWは地面にあるボールを打つクラブ、すなわち地面を叩くクラブなので、硬い地面にクラブが負けないようにするため。ヘッド重量は決まっていて重くすることができないので、シャフト重量を重くして地面に対抗するのです。
「重いと難しい」とみなさん思っているようですし、実際に「カルカタ(軽硬)」シャフトが人気を集めています。でもFWに関しては、軽いシャフトは当たると飛ぶものの、挙動が安定しにくく振りにくい。一方、重いシャフトは挙動が安定して曲がりにくく、地面にも負けないので、スコアメイクを考えると有効です。
試打では軽いシャフトのほうが結果がよかったとしても、実戦では試打より力が入るもの。試打でよかったスペックよりもちょっとハードな重量帯を選ぶことをおすすめします。
FWを使うのは1ラウンドで4〜5回くらい。FWの曲がりはスコアの崩れに直結するので、これくらいの頻度であれば、重くても頑張って振っていきたいものです。プロフィール
横田英治(よこたえいじ)
1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまで多くのゴルファーにレッスンを行い、今季好調の岸部桃子プロも指導する。7月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」がオープン予定。レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。