moment 2018年9/10月号
海外紀行 ベトナム・タイ

無上のウェルネスリゾート

文・板倉由未子 写真・秋田大輔

10年、20年先も健やかな心身でいたい——。そう願う人びとの間で「ウェルネスリトリート」が潮流となっている。目的地は、2013年にオープンしたベトナム初となるアマン「アマノイ」と、数々の賞に輝くディスティネーションスパ「チバソム」。喧騒から離れた隠れ家リゾートでの“健康になる滞在”をトラベル&スパジャーナリストが体験した。

アマノイ 自分の心身と向き合う「ウェルネスリトリート」という旅

本文を読む

今、さまざまな旅を経験してきた人びとの間で、心身のメンテナンスを最優先にした旅が重要視されている。日々の喧騒の中で、いつの間にか崩れてしまった心と体のバランスを調えたいという、本能から生まれた現象かもしれない。なんといっても人生の幸福は、心身の健康があってこそ。あらゆる名声や地位を得て、物欲を満たしても、本当の安らぎや満足は得られない——そのことに気づき、体にいい食事、パワースポット巡り、ヨガなどの健康法、五感に深く響く体験を求めている。スパもそのひとつとして、日常や旅のスタイルとして定着しつつある。この流れにともない、今やラグジュアリーホテルにとってスパは欠かせないプロパティとなり、心身の健康をサポートするための滞在プログラムが打ち出されている。それが旅の印象を決定づける大きな要素となっているのだ。

今回、世界基準の名スパリゾートの中から2軒をピックアップ。ひとつめはベトナム南部のニャチャンにある「アマノイ」。PCやスマートフォンを始めとしたデジタル機器の多用によって生じる上半身のコリ、頭痛、不眠などの症状を、3泊4日で緩和する。もうひとつは、タイ中部のホアヒンにある「チバソム」。食事療法を中心に、心身の健康を司る腸内環境の改善を目指す5泊6日のデトックス滞在だ。それぞれの体験を通し自分の心と体と向き合えば、今後より良く生きていくためのヒントが得られるはずだ。

リゾートのエントランスから徒歩約20分で頂上にたどり着けるゴガ・ピーク。周辺を一望でき、その景色は記憶に残る美しさ。

リゾートのエントランスから徒歩約20分で頂上にたどり着けるゴガ・ピーク。周辺を一望でき、その景色は記憶に残る美しさ。

デジタルストレスを緩和する滞在

本文を読む

ベトナム南部のヌイチュア国立公園の風光明媚なロケーションにある「アマノイ」。2013年の開業以来、ピースフルなリゾートとして、ジェットセッターたちから愛され続けている。2017年1月、アマンでは初となる、2軒のスパハウスをオープン。トリートメントルーム、ジャグジー、サウナなどを完備した施設だ。これにともない、3種の目的から選べる「ウェルネス イマージョン プログラム」も開始。今回は、その中から「マインドフルネス、リラクゼーション&ストレス管理集中プログラム」を3泊4日で体験した。PCやスマートフォンなどのデジタル機器の使用過多で生じる首や肩の慢性的なコリや睡眠障害など、現代人の多くが抱えるトラブルの改善を目指すものだ。

初日は夜に到着。早速、レストランで夕食をとる。プログラムの体験者には、毎食ウェルネスキュイジーヌが供される。肉、アルコール、デザート、コーヒーは禁止だが、インターナショナル料理からベトナム料理まで多くの選択肢があり、食事量の制限もないので物足りなさは感じない。

本格的なプログラムは2日目からスタート。朝7時に起床し、朝食を食べる。毎日8時から、スパで宿泊者が参加できる「デイリー ウェルネス クラス」(60分 無料)が行われるので参加することに。この日は瞑想だったが、ヨガや気功など内容は毎日変わる。午前中、中医師であるイマージョン プログラム マネージャーとのコンサルテーションがある。

出発前に「アマン東京」でライフスタイル、食の嗜好、既往歴などに関するコンサルテーションを受けた内容を基に問診、脈診、舌診を行う。中医学では、気(エネルギー)、血(血液)、水(体液)が体のすみずみまで巡っていることが健康とされ、いずれかが不足したり滞ると、体に不調が現れると考えられている。ベトナムでは、古来、中医学が深く浸透している。「ドライアイ、鼻づまり、寝つきが悪い、手の平が乾燥して痒いなどは、“水”不足の症状。熱を冷ます働きのある水が足りていないので、皮膚の乾燥などが起きるのです」とイマージョン プログラム マネージャー。その後、症状を改善するためのトリートメントやアクティビティ、漢方茶などがアレンジされる。続いて「プライベートヨガ」(60分)を体験。呼吸が調い、心身が穏やかになる。ビーチクラブでの昼食後、プライベートビーチのデッキで海を眺めながらくつろぐ。夕方、スパで「ベトナミーズ マッサージ」。活力を増進するアロマオイルを使い、深い指圧で全身がほぐされる。コリが強い部分には、ガラスの容器を火で温め患部に置く“カッピング”が施される。トリートメント後は、血行が良くなり全身が軽くなる。夕食を終えて部屋へ戻り、22時には深い眠りについていた。

極上トリートメントで心身が蘇る

本文を読む

3日目は、朝8時からビーチで「プライベート気功」を体験。きらめく海を眺めながらゆるやかに体を伸ばすうちに、すっきりと目覚めてゆく。朝食後、絶景のクリフプールでくつろぐ。昼食はルームサービスにして、部屋で過ごし、午後はアンソン(平和なる山の意)スパハウスでトリートメントを受ける。まずは、このスパハウスでしか体験できない「バーニャトリートメント」(90分)から。ロシア由来の浄化儀式と東洋医学のエッセンスを組み合わせ、硬直した筋肉を和らげデトックスを促進するという。最初にスチームサウナに入りリラックス。その後、オークとユーカリの香り漂うヒートサウナに横たわり、水に浸したオークやユーカリの葉束で、体の背面から前面の順で優しく叩かれるうちに癒される。さらに、地元産の美肌効果のある黒土を顔と全身に塗布。途中、水風呂に入ったり、シャワーを繰り返すなどして新陳代謝を高めていく。トリートメント後は運動後のような爽快感があり、肌の透明感もアップ。続いて「アマンマッサージ」(90分)を受ける。リラクゼーション効果のあるアロマオイルを使ってマッサージされるうちに、心身の緊張がほぐれていく。レストランで夕食を楽しみ、22時に就寝。

4日目、レストランで朝食後、敷地内にある展望ポイント、ゴガ・ピークを目指す。リゾートのエントランスから頂上までは、徒歩20分ほどだ。ダイナミックなパノラマに感動する。チェックアウト前、イマージョン プログラム マネージャーと面会し、日常生活や食事に関するアドバイスの資料や瞑想音楽などが入ったUSBを受け取る。これで帰国後も健康的に過ごせそうだ。滞在中、イマージョン プログラム マネージャーは度々声をかけてくれたので、体調の変化を気軽に伝えられ、不安を感じることはなかった。顔色が良くなり、頭部や首肩などのコリも軽減。静と動(陰と陽)の要素がバランスよく盛り込まれたプログラムで、心身ともにリフレッシュできた。ストイック過ぎないので、リゾートバカンスを満喫しながら養生できる。

Retreat Programウェルネス イマージョン プログラム
「マインドフルネス、リラクゼーション&ストレス管理集中プログラム」

本文を読む

3泊から14泊の滞在期間で心身を再生させる「ウェルネス イマージョン プログラム」。3種類あり、「マインドフルネス、リラクゼーション&ストレス管理集中プログラム」は、東洋医学を基に外部ストレスを減らし、トレーニングとセラピーで体の内側から心身のバランスを調える。宿泊費、到着後と出発前のコンサルテーション、スペシャリストによる毎日のプライベートセッション(ムーブメントまたはセラピー)、スパトリートメント、グループセッションへの参加、スパハウスの利用(空き状況により不可の場合もあり)、ハーバルドリンクやヘルシージュース、1日3食のウェルネスキュイジーヌ、ホテルからニャチャンにあるカムラン国際空港間の往復送迎などが含まれる。

AMANOI

アマノイのヴィラの室内。

AMANOI

住所:Vinh Hy Village, Vinh Hai Commune,
Ninh Hai District Ninh Thuan Province, Vietnam
TEL:84-259-377-0777
URLwww.amanoi.com