moment 2017年 5/6月号
海外紀行 ハワイ

至福のリゾートゴルフ旅

文・堀内希珠 写真・星 武志

かつてビル・ゲイツが挙式の場として選び、今では世界のセレブリティ達に愛されるラナイ島。そして開発が再開され、変化を見せはじめたオアフ島コオリナ地区。生まれ変わったふたつのラグジュアリーリゾートで、屈指のゴルフコースに挑み、優雅な休暇を楽しむ−−。


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日本からホノルル国際空港までは直行便で約7〜8時間。国内線でラナイ空港へは約30分。この時季は日焼け対策を万全に。建物内は冷房が強いこともあり、羽織る物があると安心。ESTA(電子渡航認証システム)取得は忘れずに。時差は-19時間。通貨は米ドル(US$)で、1US$=約111円(2017年3月現在)。


Lanaiラナイ島

ひとりの男によって生まれ変わったラナイ島

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ホノルル国際空港からプロペラ機で約30分のラナイ島。東京都の6分の1ほどの大きさで、人口はおよそ3000人。島に信号はなく、町中にレストランが4軒、ガソリンスタンドはわずか1軒。世界に冠たる観光地ハワイとは思えない小さな島である。

ラナイ島は150年ほど前から個人に所有されてきた。ジェームス・ドール所有の時代はパイナップル生産世界一を誇り、パイナップル・アイランドとして知られた。キャッスル&クック社のデイビッド・マードックの手に渡ると、ラグジュアリーホテルとゴルフ場がふたつずつ建設され、リゾートアイランドとして変化を遂げた。しかし小規模リゾートの運営は難しく、風力発電により島の経済を補おうとするものの、事はうまく運ばずに手放す結果となった。そして5年前、「フォーブス」誌による世界長者番付7位のオラクル社会長のラリー・エリソンが3億ドルで購入した。

エリソンは養子としてごく普通の家庭に育ち、自らの力でアメリカンドリームを掴んだ人物だ。データベースを開発し、最初の顧客が米国中央情報局(CIA)という驚異的なスタートを切り、そこからオラクル社のIT革命を牽引した。シリコンバレーのIT長者が、いったい何故この島を購入するほどに興味をもったのか。

エリソンは海と自然を愛する男として知られている。セイリングに情熱を注ぎ、“海のF1”と呼ばれるアメリカズカップに参戦しつづけ、2010年には念願の初優勝を遂げた。学生の頃にはヨセミテ渓谷の美しさに魅せられ、アメリカ最大級の自然保護団体であるシエラクラブに入会し、リバーガイドやロッククライミングのインストラクターとして働いた。自然に溢れ未開拓であるラナイ島は、情熱的で環境保護主義者でもあるエリソンにとって、このうえもなく魅力的なサステイナビリティープロジェクトの地なのだろう。

島を購入後、エリソンはまず島民のための施設を整備。何年も閉鎖していたプールは海水プールとして生まれ変わり、ラナイ島初の公式フットボール場が造られ、61年ぶりに高校フットボールチームが結成された。映画館もハイグレードに改築され、スーパーマーケットにはオーガニック商品が並ぶようになった。それから富裕層をターゲットとしたリゾート開発を始め、8カ月と4.5億ドルをかけ全面改装。休業中も社員全員に仕事と報酬を与えた。島民達へ希望を与え、また信頼を得たのである。そうして島中が一丸となって造り上げた最高級リゾート「フォーシーズンズ リゾート ラナイ」が2016年2月にオープンしたのだ。

Four Seasons Resort Lanai
フォーシーズンズ リゾート ラナイ

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あの「楽園ハワイ」に滞在しているかのよう

空港出迎え時からラナイ・アンバサダーと呼ばれるパーソナルコンシェルジュが付き、滞在をサポートしてくれる。ホテルに到着すれば、ラグーンプール越しに青い海が絵画のように広がる。ロビーに置かれたアウトリガーカヌーは、海に向かって漕ぎ出すかのようだ。

コロニアル様式の建物内には、ポリネシア文化と海をテーマにしたモダンアートがそこここに飾られ、回廊沿いの色鮮やかな花が咲き誇るトロピカルガーデンが目を楽しませてくれる。

世界中から厳選された家具が配された客室は、シックで洗練された空間に最先端のハイテク設備が目を引く。75インチのテレビが壁にかかり、備え付けのiPadでホテルとのコミュニケーションが取れるほか、多彩な情報やサービスにアクセスできる。ベッドサイドで照明、室温、ロールカーテンなどのコントロールができるのも嬉しい。ハイテクといえば、お洒落なシリコン製のリストバンド型ルームキーは、滞在中鍵を気にする煩わしさから解放してくれた。

敷地内にはハワイで最上級を誇る「マネレ ゴルフコース」やテニスコート、海を一望するフィットネスジムもある。また乗馬や射撃、オフロードバギーなどのアクティビティーも島内に用意され、ホテルからの送迎や昼食のサービスが付くものもあるので気軽に参加できるのもいい。

優れたホテルに美食はつきものだ。「『Nobu』を招聘することで、ホテル全体の料理の質もあがりました」と、ラナイ・アンバサダーが請け合ってくれたように、世界各地の「Nobu」で味わえるグローバルシグネチャー料理はもちろん、ここにしかないローカルシグネチャー料理に舌鼓を打つ。

翌日。花と緑に囲まれたラグーンプールの周りに数多く設置されたカバナで、読書に耽るもよし、飲み物を手にゆったり過ごすもよし。そこからピンクや紫の花びらがちりばめられた小道を辿れば、フロポエビーチだ。海洋保護区であるフロポエ湾は竜宮城を思わせる美しい海。シュノーケリングやドルフィンウォッチングなど、好みのマリンアクティビティーに興じたい。

夜の帳がおりれば、プライベートビーチで波音を聞きながら満天の星を独り占めに。都会の喧騒とは無縁の大自然に包まれるひととき。遠い昔に見た絵葉書——星空の下、フラダンサーが踊る楽園ハワイ——、そんなロマンチックな気にさせてくれる島、リゾートなのである。

Four Seasons Resort Lanai

フロポエ湾の絶景を楽しめる370㎡もの「アリイロイヤルスイート」。三脚付き双眼鏡も置かれ、ハシナガイルカウォッチングも。

Four Seasons Resort Lanai

フォーシーズンズ リゾート ラナイ

住所:Lanai City, Lanai, HI 96763
TEL:1-808-565-2000
URLhttp://www.fourseasons.com/jp/lanai/

Manele Golf Course
マネレ ゴルフコース

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Manele Golf Course

ハンディキャップ2の「17番パー4・444ヤード」。崖越えに成功して向かうグリーン越しに、ラナイ島のシンボル、スイートハート・ロックが見える。

ニクラウス設計の絶景・難関コースに挑む

波が打ち寄せる断崖に寄り添うフェアウェイ、全てのホールから海を見渡せるという贅沢な景観をもつ「マネレ ゴルフコース」。ジャック・ニクラウスが設計したシグネチャーコースの中でも出色とされている。

パー72、7039ヤード。フェアウェイは広くストレートなホールが多いものの、ウォーターハザードが太平洋というダイナミックさ。海沿いにあるため風の影響を強く受け、風向きだけでなく時間帯によってコンディションが大きく変わるという。フェアウェイからグリーンまで潮に強いシーショアパスパラムが採用されており、スタート前のグリーンチェックはしっかりしておきたい。また粘りの強いラフには要注意。

名物ホールは12番(パー3・202ヤード)。海越えティーショットに誰しもが緊張する一方、青と緑の美しい眺望には魅せられる。かつてビル・ゲイツが挙式の場として選んだことに納得だ。

もうひとつは17番(パー4・444ヤード)。海越えティーショットと右ドッグレッグの難関ホールだ。通常の貿易風ではアゲインストとなり、ドライバーで届かない場合も。2打目以降はフェアウェイが狭くなるので、レイアップするほうがスコアメイクに繋がるかもしれない。

このコースの利用は、1日平均20〜25組程度。貸し切り気分でプレーができ、ゆっくりとランチも楽しめる。クラブハウスのレストラン「VIEWS」はその名の通り眺めが素晴らしい。スループレーでも、GPS搭載の乗用カートから軽食やドリンクのオーダーも可能だ。また、乗用カートに代わる最新の移動手段、ゴルフボードも4台導入され、芝の上でサーフィン感覚を味わえるのはハワイらしい。意外に誰でも簡単に操作でき、シニアゴルファーにも人気だという。

リゾートを去る前、ラナイ・アンバサダーにこの島の魅力を聞いてみた。アメリカ本土から来ている彼女は「人」と即答した。新しくなったリゾートをみなが自分の家のように大切にしているという。エリソンが島のビジョンを明らかにし、情熱をもって島の改革に打ち込んだことで、島民が精神的にも経済的にも潤い、いい循環が生まれているのだろう。

古代よりハワイアンは「マラマ アイナ(土地を大切にする)」という信念をもつ 。「フォーシーズンズ リゾート ラナイ」での満ち足りた日々は、「マラマ アイナ」による恵みだったに違いない。