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moment 2019年 11/12月号
レクサスを語る

LEXUS RX
SUVの
“パイオニア”の進化形

文・渡辺敏史 写真・川口賢典

レクサスの中核モデルRXがマイナーチェンジを果たした。滑らかで伸びのあるスタイリング、車との一体感が感じられる俊敏なハンドリングと走り、機能性を追求したインテリア——。
3列仕様のRX450hLにも注目しながら進化したラグジュアリーSUVの魅力に迫る。

RXが愛されてやまない理由

空前のSUVブームは初代RXから始まった

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 現在、レクサスのビジネスを台数面で支えている筆頭銘柄といえばこの車、RXだ。100カ国に近いレクサスのグローバル展開においても優等生というだけでなく、日本市場でもその大柄な車格にもかかわらず、NXに次ぐ支持を得るなど、局所的な人気かと思いきやまったく逆で、とにかく広範に及んでいる。

“局所的”とわざわざ記したのは、当初それは米国市場向けに練られた企画だったからだ。

 乗用車のプラットフォームをベースに地上高を確保した背丈の高いパッケージの車を作る。いわば今日的なSUVの成り立ちは、ラグジュアリーセグメントにおいてはレクサスが先鞭をつけた。

 1998年に登場した初代RXは、レクサスブランドの展開がなされる前の日本では「ハリアー」の名で販売されていたからご存じの方も多いだろう。このモデルの大ヒットが他社を巻き込んでのSUVカテゴリー隆盛のきっかけとなり、その波はアメリカから世界へと飛び火したというわけである。

マイナーチェンジで大きな進化を遂げた4代目の新境地

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 4代目となる現在のRXは、2.0L直列4気筒ターボと、3.5LV型6気筒ハイブリッドというふたつのエンジンバリエーションに、FFとAWDというふたつの駆動方式が用意されている。一昨年には、3列シートで7人乗りのロングボディが追加された。

 そしてRXはこの8月にビッグマイナーチェンジが施され、デザイン面でもメカニズム面でも大きな進化を遂げている。

 エクステリアは灯火類やバンパーなどが変更されており、ヘッドライトには全車LEDを採用、メーカーオプションで新技術のブレードスキャン®AHSを搭載することができる。世界初のこの技術により対向車や先行車への照射をカットするアダプティブハイビームの高精細化が実現、夜間の視認性を大幅に向上させたという。

 メカニズム面ではボディ骨格にスポット溶接や構造用接着剤の使用部位を拡大し車体剛性を更に強化。サスペンションのハブベアリングやスタビライザーなどの強度も高めて、動的性能はより熟成したものとなっている。

 使い勝手の面では3列シート・ロングボディの2列目に独立2座のキャプテンシートを選べるようになったほか、3列目シートは用途に応じてポジションを下げ、ゆとりのある着座姿勢をとることも可能になった。ミニバンのように大人6〜7人が余裕で座ることはできないが、オケージョナルユースでの対応力が強化された格好だ。

 今回、撮影用に用意されたのは2列目にキャプテンシートを配する3列シートのRX450hL。全長5000ミリ、全幅1895ミリのサイズはさすがに日本の路上で扱うには小さくはない。が、カメラを用いたパークアシストやバージョンアップされたレーンキープアシストなど、数々の先進技術が取り回しを巧くフォローしてくれる。

 新たに採用されたキャプテンシートのホールド感やくつろぎ感はさすがに3人掛けのベンチシートとはひと味違う。このクラスのSUVは、アメリカではショーファードリブンとしても用いられる機会が増えているが、そのようなニーズに対応できるだけでなく、大人4人が大きな荷物を携えて移動する際も、上質なひと時を提供してくれるだろう。

 その車内にあるインフォテインメントシステムが、Apple CarPlayやAndroid Auto™といった機能で、スマートフォンとのリンクを可能としたのも注目されるところだ。地図機能だけでなく自らの端末の音楽や映像コンテンツなどの連携も容易となるし、ハンズフリーなどの基本的な機能も整っている。もちろん従来の車載型のナビゲーションも機能を拡張し、エージェントとの対話形式に加えてWeb情報からの目的地検索も可能となった。

 また、地図データは混雑情報なども含めて最新情報に常時アップデートされる仕組みとなっている。

SUVの粋と遊び心を詰め込んで……

高級SUVの風格とアクティブな相棒としての躍動感

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 前後輪に駆動用モーターをもつ3.5LV6ハイブリッドユニットは時を追うごとに熟成感が増しており、今や音・振動においては、サルーンに搭載されるユニットと比較しても劣らない上質感をもっている。高速巡航でのシームレスなフィーリングもさりながら、タウンスピードでの力強くも滑らかなパワー感は一度味わうとちょっとクセになるほどだ。

 この動力源のスムーズネスに足回りのチューニングが巧く歩を合わせていて、RXの乗り味は特に普段乗りで多用する低中速域において、昨今のスポーティ指向なSUVとは完全に一線を画する穏やかさや豊かさを備えている。セルシオなどを通し、古(いにしえ)よりレクサスライドを知る身には、どことなく懐かしさも感じられる味わいだ。

 SUVに求められる行動力や積載力を備えながら、タウンライドでも際立つ上質な乗り心地をもつRX。その内外装の精緻な設えも含めてレクサスの供する世界観が多面的かつ明快に伝わるモデルに仕上がっている。世界で一番売れているという理由も、中身を知れば納得できるだろう。

わたなべ としふみ

1967年福岡県生まれ。二輪・四輪誌の編集を経て、フリーランスの自動車ジャーナリストに。以来、自動車専門誌にとどまらず幅広いメディアで活躍。その緻密な分析とわかりやすい解説には定評がある。著書に『カーなべ』などがある。

moment 2019年 11/12月号より