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LIFESTYLE

LEICA、HASSELBLAD
デジタル時代でも色褪せない、
所有する歓びが味わえるカメラ

デジタルカメラは「物としての魅力」がフィルムカメラよりも乏しいと評されることが多いです。そんな中、持つ歓びを享受することができる希有な存在が、ライカとハッセルブラッド。独特の操作感と工作精度の高さを誇るライカ、プロのための道具として誰もが憧れたハッセルブラッド。デジタルカメラにおいても孤高の存在として君臨する両者の魅力を考えていこうと思います。

Text:Fumihiko Suzuki

ライカとハッセルブラッドの歴史

ライカもハッセルブラッドも長い歴史を誇ります。ライカはドイツが誇る説明不要の高級カメラの代名詞。フィルムカメラの主流であった「35mmカメラ」の元祖であり究極として知られています。1914年、板状の乾板式フィルムを使う大型カメラしかなかった時代に、映画用のロールフィルムを流用したコンパクトサイズのカメラ「ウル・ライカ」を開発したのがはじまり。

当時の会社名は「エルンスト・ライツ」でしたが、ライツのカメラだから「ライカ」と呼ばれ、後に社名になりました。最も有名なのは1954年に「ライカM3」からスタートしたMシリーズ。フォーカシングは二重像合致式(※一眼レフなどのように、ピンボケだとボヤけて見えて、ピントが合うとくっきりと見えるというフォーカシング方法ではなく、ファインダー中央部の二重に見える像を重ね合わせるとピントが合うという方式)を採用しており、マウント(※レンズとボディの接続部の形状の規格)はライカMマウントです。これらの基本仕様は、現在のライカMデジタルでも一貫しています。

ライカM3は工芸品のごとき美しさ。手入れの行き届いたM3は、どんなライカよりも滑らかかつ静寂に動きます。独特の操作感、大きさ、静寂性などが決定的瞬間の撮影を実現したという側面もあるでしょう。

一方の中判カメラ(※フィルム面積が大きいロールフィルムを使うカメラ)の雄であるハッセルブラッドは、スウェーデン人のヴィクター・ハッセルブラッドによって生み出されました。彼自身、野鳥の写真を撮ることが大好きだったそうで、美しく自然を残すことができつつも手持ち撮影が行えるカメラを目指し、ロールフィルムを使う500C(1957年)、500EL(1965年)、500C/M(1970年)など、数々の名機を発表していきます。これらは「Vシステム」というシリーズで、レンズ、ボディ、フィルムバック、ファインダーなどを組み合わせる優れたシステム性、タフな使用も物ともしない耐久性、中判カメラとは思えない機動力など特筆すべき点は多く、「画質」や「信頼性」という面で評価されるブランドとして名を馳せ、コマーシャルフォトなどの世界でも定番として君臨してきました。

500C/Mは手のひらに収まるサイズ。大きなシャッター音、ノブを巻くことでロールフィルムを巻く動作、カメラの真上から覗くウエストレベルのファインダー、高画質6×6サイズのスクエアフォーマットなど、撮影知識に長けていないと撮れない、と思わせる敷居の高さも魅力的です。

写真家に愛されたライカとハッセルブラッド

ライカは多くの歴史的写真家が愛用していたという点でも価値を高めています。ライカ以外に小型カメラがさほど存在しなかったという理由もありますが、撮影者の目の延長として歴史的瞬間に立ち会ってきたのは事実です。「決定的瞬間」のスナップで知られるアンリ=カルティエ・ブレッソン、「イメージの釣り人」と評されるロベール・ドアノー、戦場カメラマンのロバート・キャパなど多くの偉大な写真家がライカを愛用しました。拳をレンズに向けるモハメド・アリ(トーマス・ヘプカー撮影)、チェ・ゲバラの肖像写真(アルベルト・コルダ撮影)など、一度は目にしたことがあろう歴史的名写真もライカで撮られています。そう、フォトジャーナリズムと共に歩んできたのがライカなのです。

ライカがスナップシューターならば、ハッセルブラッドはプロのための道具、表現者としての道具、といえるのではないでしょうか。写真を美術的観点から捉えたロバート・メイプルソープ、砂丘のシリーズで知られる植田正治、美しいモノクロ風景写真のマイケル・ケンナなど、構図、画質、テーマ性などを表現する場合に、6×6のスクエアフォーマットと高画質の中判カメラであることは有利だったのかもしれません。またコマーシャルフォトグラファーの愛用者は数知れず。いまでも職人的に活躍するプロ中のプロがハッセルブラッドを手にしています。

高価なだけの理由があるライカとハッセルブラッド

ライカは中古のライカM3やライカM4などで20万円以上、レンズもかなり古いものであれば10万円を切りますが、基本的には20万円以上を覚悟しなければなりません。現行のデジタル機の場合、ライカM10-Rで115万5000円、標準レンズのアポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.が107万8000円です(いずれも定価)。ハッセルブラッドも、中古の500C/Mと標準レンズのプラナー80mmF2.8のセットで20~30万円、現行のデジタル機のX1D IIが約70万円、標準レンズのXCD F2.8/65mmが約36万円。国産のカメラと比較すると明らかに高価です。

しかし、これには理由があります。実用性と販売数を重要視し、海外へのアウトソーシングも積極的に行うことでコストを抑える国産メーカーとは異なり、自社生産、少ロット、手作業の工程も多くする代わりに、品質・性能を最大限に高めるという方針を貫いているのです。手間がかけられていてクオリティーが高いものは高価。この価格設定は当然の帰結なのです。ハッセルブラッドを愛用したメイプルソープは、「ハッセルブラッドはカメラのロールスロイスだ」と表現したと言われています。

表現に寄り添うライカとハッセルブラッドの描写

カメラは写真を撮るためのギアですから、最も重要なのは画質です。画質を決定づける要素には、まずレンズ性能があります。ライカの古いレンズは特に味わい深く描写するものが多いと言われます。ボケ味やピント面にクセが強いレンズも多く、その個性が写真に情緒を生むのです。ズマール50mmF2、ズマリット50mmF1.5、ズミルックス35mmF1.4の第一世代などは特に有名。キレイに写るだけではないという点が評価されるというのはとても興味深いことです。

ライカの最新レンズは逆光にも強く、結像を妨げる収差類も抑えられているのですが、数値だけでは語ることのできない味わいが息づいていると言われることもしばしば。陰影を描き出す豊かな階調、鮮やかな発色、適切なコントラスト、そして味。これらが共存した描写は、写真表現と向き合ってきたライカだからこそ作り出せるものかもしれません。そして、小さなレンズではあってもズシリと重みがあり、いかにも「写りそう」という気持ちにさせてくれます。

Photo: Huw John, Cardiff
ライカM10Rで撮影。美しい陰影、隅々まで歪みのない描写をしています。

フィルムカメラ時代のハッセルブラッドは、ライカがライバル視していたカール・ツァイスが交換レンズ群を供給していました。ツァイスといえば、レンズの王様と称され、さまざなマウントに供給され続けている「プラナー」を筆頭に高画質の代名詞として知られています。ライカが味のある描写なら、ハッセルブラッドは飽くなき高画質への挑戦。そんな違いがある気がします。ただ、ツァイスレンズ特有の空気まで写し込む透明感のある描写、煌びやかな彩度などは固有のものであり、ハッセルブラッドで撮られた写真は比較的容易に見分けが付くかもしれません。デジタルになってからは自社設計で、後述するX1D II 50C用の交換レンズXCDレンズ群は全てスウェーデン設計ですが、大きな中判センサーに最適化しやすいという利点もあったのかもしれません。もちろん、驚くほど先鋭な描写をします。

X1D II 50Cで撮影した写真。小さな芽がすぐそこにあるかのような質感で切り取られています。

デジタルカメラになっても普遍の哲学

デジタル化をするということは、本来は利便性の追求です。しかしライカもハッセルブラッドも、培ってきた哲学を貫き通し、道具を大切にする人に寄り添っています。最新のM型ライカの「ライカM10-R」は4000万画素の高画素機ですが、バッテリーやカードスロットは底ブタを丸ごと開けないと現れず(ライカM3のフィルム交換方法と同じ)、フォーカシングも相変わらず二重像合致式。並行して、モノクロフィルム時代を支えたライカの名残を残すモノクローム専用機「ライカM10 モノクローム」、フィルムカメラ「ライカM-A」などまで、時代に左右されない機種をラインアップしているという点にも驚かされます。レザーケース、ストラップ、サムレスト、レリーズボタンなど、多くのライカ用アクセサリーが発売されており、自分だけの1台にカスタマイズしていくという楽しみもあります。使い込めば、愛着が沸いてこないはずがないのです。また、フルサイズミラーレス「SLシリーズ」、プロフェッショナル向け大型センサー搭載「Sシリーズ」など、デジタル時代に合わせた機種も展開しています。

ライカM10-R
Photo: Huw John, Cardiff
スマートなスナップ撮影を存分に楽しめるカメラ。二重像合致式、フレーム枠で構図を合わせる独特のファインダーも、「切り撮る」という感覚で楽しめるはず。

ハッセルブラッドは、現在は「Vシステム」「Hシステム」「Xシステム」の3つのカテゴリーでデジタルを展開しています。最もカジュアルに(プライスはカジュアルではないですが)ハッセルブラッドの世界を味わうには、中判ミラーレス機「X1D II 50C」がオススメです。5000万画素の中判CMOSセンサーを搭載しているものの、タッチスクリーン、見えのいい有機ELビューファインダー、Wi-Fiなど、利便性にも優れている中判デジタルカメラです。ボディはわずか650g。そして目で見たままに近い優れた階調表現を得意とするなど、まさにヴィクター・ハッセルブラッドが掲げた「高画質の手持ちカメラ」の理想型と言えるでしょう。アルミ製のグレーの筐体、鮮やかなシャッターボタンなど、デザインも目を引くものになっています。中判デジタルカメラと聞くとおののいてしまいますが、古くからの操作方法を踏襲したライカよりも扱いやすいかもしれません。

大きなセンサーサイズが作り出す余裕のある画質。手持ち撮影でも

ライカとハッセルブラッド。いずれも欠点はあるかもしれませんが、使い勝手を最優先にした無難なカメラとは異なり、表現、撮影という行為において、何を大切にするかという哲学がそれぞれの立場で貫かれています。趣味の世界においては、その美学こそが大切。ぜひ、こだわりのカメラを手に入れ、写真生活を楽しんでみましょう。

問合せ先

ライカ カスタマーケア

0120-03-5508
https://jp.leica-camera.com/

ハッセルブラッド・ジャパン

info@hasselblad.jp

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