moment 2018年 7/8月号
日本紀行 富山県 富山市

大自然の恵みを堪能する
富山旅

文・大喜多明子 写真・エディ オオムラ

高岡市、氷見市から富山市とめぐるなか、常に旅人を驚かせる風景がそこにはあった。3000メートル級の山々が連なる立山連峰の姿だ。その美しい山々に抱かれる地は、かつて北前船がもたらした繁栄の面影を残し、江戸期からの産業がしっかり根づき、もうひとつの美しい自然、富山湾の恵みで満たされていた。富山でしか経験できない風光明媚にふれる旅へ——。

高岡市→氷見市、射水市シロエビ、ホタルイカ…、富山湾の恵みを味わう

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富山は、山と海が人びとの暮らしのすぐそばにあり、豊かな自然が旅人にも眼福と口福をもたらしてくれる土地だ。北陸新幹線の開通から3年余、東京からのアクセスが良くなり、この地の宝を愛(め)で味わう旅への関心がぐっと高まっている。そんな気運に合わせるように、2015年に運行を開始したのが「ベル・モンターニュ・エ・メール」、通称「べるもんた」。週末にだけ運行されるこの列車は、城端線と氷見線を走り、その名の通り「美しい山と海」の風景が車窓から楽しめる。

今回は、この「べるもんた」での氷見行きが旅の始まり。新幹線の新高岡駅から乗り継ぐと、高岡駅では氷見線、城端線のホーム間の車両の移動、いわゆる入換が乗客を乗せたまま行われる。珍しい体験にワクワクするうち列車は出発、やがて右手に海が見え、海と空の青の間に立山連峰がまばゆいばかりの姿を見せる。いつか見たような、しかしここにしかない風景だ。眺めを楽しみつつ、富山湾の海の幸をネタに、車内で職人がにぎった鮨に舌鼓。ホタルイカにヤナギバチメ、そしてお目当てのシロエビにも出会え旅の幸先が良い。

シロエビは富山湾だけで漁獲され、淡いピンクの美しさから「富山湾の宝石」とも呼ばれる。水揚げの多くを担う射水市の新湊漁港では、4月から11月の解禁時期は、ほぼ毎朝船が出、戻ればすぐにセリが始まる。漁は古くから行われていたそうだが、おいしさが知られるようになった10年ほど前から、容易には味わえなくなった。名実ともに富山のブランド品である。富山の海産物に興味を持つ人も増え、港では昼セリを公開。土地の言葉で新鮮を意味する「きときと」を知る貴重な機会となっている。

氷見市氷見の由緒正しい地でくつろぎと美食を

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海岸線の絶景に歓声をあげ、時にうっとり遠くを見やるうちに、列車は終点氷見駅に到着。「ひみ」という美しい響きは、諸説あるが立山連峰の雪が一年中見える地にちなむともいわれる。すべての峰がくっきりと浮かび上がる最高の景観は、年に数日だけと地元の人は話すが、ここに滞在して刻々と移る風景を見るのも楽しい。ましてや、氷見には豊かな食材がある。そんな気持ちで訪れたのが、小高い山にある朝日山公園の一角、静かに佇む「誉一(よいち)山荘 オーベルジュ ドゥ ミクニ」だ。

駅から車で5、6分、樹齢1000年以上といわれ、幹回り12メートル、国の天然記念物にも指定されている上日寺のイチョウのそばを通り高台に上がる。百年余の歳月を重ねた料理旅館「誉一山荘」があった場所に、新たな歴史をつなぐべく、8年前、重厚な造りのオーベルジュが開かれた。庭やクラシックな趣のロビー、「ラグジュアリー・スイート」など一部の客室からは、市街地と富山湾、立山連峰を一望。邸宅の空気が漂うレストランでは、海外でも経験を積んだ澤部沢也シェフが、漁港や畑、市場で素材を厳選し、色鮮やかなコースに仕立てている。この日のメインは氷見牛のグリル。魚介だけではない富山の奥深さ、まさに旅の発見だ。

誉一山荘 オーベルジュ ドゥ ミクニ

誉一(よいち)山荘 オーベルジュ ドゥ ミクニ

住所:富山県氷見市幸町14-34
電話:0766-72-4841
チェックイン:15:00
チェックアウト:11:00
URLhttp://yoichi-sansou.co.jp/