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5回目を迎えたアートの祭典
新作を中心に解説!2022年夏・瀬戸内国際芸術祭を楽しむ旅

直島、豊島、小豆島など香川県にある12の島と、高松港、宇野港の2つの港を会場に3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」は、自然豊かな島々で現代アート作品を楽しめる一大芸術イベントです。ここでは、この春より展示されている注目作品と、8月5日(金)から始まる夏の会期に合わせて発表予定の新作の見どころに迫ります。この夏、大自然とアートに浸る旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

Text: Misa Haioka
Edit: Misa Yamaji(B.EAT)

現代アートの祭典、「瀬戸内国際芸術祭」はオフィシャルツアーがおすすめ

ベネッセアートサイト直島に新設された安藤忠雄さんの建築『ヴァレーギャラリー』。© Photo: 宮脇慎太郎

2022年で5回目の開催となる「瀬戸内国際芸術祭」は、「海の復権」をテーマに、自然とアートをコラボレーションさせた芸術イベントです。香川県にある12の島と2つの港を舞台に、世界各国からアーティストが参加し、アート作品を製作、展示しています。

「アーティストは島に入り込み、島の自然や文化、また島の人びととの交流により感じたことなどを表現するというのが瀬戸内国際芸術祭の特徴です。地域活性化を目的にした現代アートの祭典で、今年の展示作品数は214作品と19イベント(演劇などのパフォーミングアーツなど)にもなります。今回は、世界33の国と地域から104組ものアーティストに参加いただきました」とお話ししてくれたのは、瀬戸内国際芸術祭実行委員の合田健さん。

作品のすべてを一度に見て回るのはなかなか難しそうですが、できるだけ効率的にあちこち回りたい場合には、どうすれば? という質問に、オフィシャルツアーがおすすめですと合田さん。
「オフィシャルツアーでは、ガイドが作品のコンセプトや製作背景などをご説明するので、初めての方はもちろん、既にご来場いただいた方にも、より理解を深めていただけると思います。またチャーター船を利用するコースもあり、効率的に巡ることができます」と教えてくれました。

つづいては、一足先に今年初お目見えの4作品をクローズアップしてご紹介しましょう。

香川県・土庄町 コシノジュンコ作『対極の美–無限に続く円–』

高さ6メートルにもなる巨大な作品。© Photo: Keizo Kioku

まず1つ目は、小豆島の玄関口である、香川県土庄町の「アートノショーターミナル」に設置されている作品『対極の美–無限に続く円–』。

こちらはファッションデザイナー・コシノジュンコさんの瀬戸内国際芸術祭での3つ目の作品で、1990年に自身がデザインしたドレスを纏った女性がモチーフになっています。直線的な土台のうえに、3Dプリンターを使って作ったアクリル製の樹脂のパーツを組み合わせ、無限につづく円を表現することで、「対極の美」を表現しています。

ガラス張りのターミナル内に設置されているので、作品に光が反射してとても美しくなります。時間によって見え方が変わるのもポイントです。

作品名:対極の美–無限に続く円–
住所:香川県小豆郡土庄町港新町5165-201
開館時間:7:00~18:30
休業日:年中無休
料金:無料
作品詳細:https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/shodoshima/122.html

小豆島・寒霞渓 彫刻家・青木野枝作『空の玉/寒霞渓』

だんだんと鉄が錆び、自然と調和していく様子も見どころの1つ。
© Photo: Keizo Kioku

つづいては、同じく瀬戸内海国立自然公園の中心となる小豆島の寒霞渓の山頂に作られた『空の玉/寒霞渓』をピックアップ。彫刻家・青木野枝さんの作品で、塗装などを加えていない鉄の輪が連なる直径4メートルの球体型の見晴台です。

寒霞渓ロープウェイ山頂駅から徒歩で森を抜け、突然パッと明るく開けた場所に行き着くと、この作品があります。「小豆島の渓谷や瀬戸内海を一望できるこの場所が気に入り、見晴台を作りました。この球体の中に一度入って、もう一度外へ出るようなイメージで景色を目にすることで、圧倒的な開放感を感じてもらえると思います。朝でも昼でも、どんな天候でも、その時々の景色を楽しめると思いますよ」と製作者の青木さんが作品の楽しみ方を語ってくれました。

作品名:空の玉/寒霞渓
住所:香川県小豆島町(寒霞渓ロープウェイ山頂駅から徒歩約5分)
開館時間:屋外作品のため閉館時間なし(寒霞渓ロープウェイ運行時間はこちらから:https://www.kankakei.co.jp)
休業日:年中無休 ※設備更新工事、荒天等の場合はロープウェイの臨時休業の場合あり。
料金:無料
作品詳細:https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/shodoshima/371.html

直島・「硝子の茶室『聞鳥庵』」が常設された『杉本博司ギャラリー 時の回廊』

本来内省的な空間である茶室。全面に硝子を配したことで、掛け軸や花の代わりに風景でもてなす意味も込められている。
© Hiroshi Sugimoto, Glass Tea House "Mondrian", 2014 (c) Hiroshi Sugimoto, Photo: Sugimoto Studio
The work originally created for LE STANZE DEL VETRO, Venice by Pentagram Stiftung

現代アートの聖地として名高い、直島。これまで、瀬戸内国際芸術祭がスタートする以前から直島、豊島、犬島で「ベネッセアートサイト直島」としてアート活動の数々が行われてきました。「自然・建築・アートの共生」をテーマに作られた「ベネッセハウス ミュージアム」の開館30周年であるこの年、新たに2つのアート施設が誕生。

『杉本博司ギャラリー 時の回廊』は、30年近く直島でアートワークをされてきた杉本博司さんの写真作品や彫刻などを鑑賞できる展示施設です。中でも、ヴェネチア、ヴェルサイユ、京都での展示を経て常設に至った「硝子の茶室『聞鳥庵』」と、それを眺めながら過ごすことのできるラウンジスペースは、ぜひ訪れていただきたい場所です。

ラウンジへはオンラインチケットの購入が必要。ベネッセハウス宿泊者は予約なしで鑑賞できる。©杉本博司ギャラリー 時の回廊 ラウンジ風景、2022年 撮影:森山雅智

ギャラリーへの入場チケットを購入すれば、時間予約制(11時~15時)でお茶とお菓子を楽しむことができる。ラウンジには、この場所のために制作されたテーブル『三種の神樹』が置かれ、そこから「硝子の茶室『聞鳥庵』」とその先に広がる景色を堪能することができるのだそう。

ベネッセハウス宿泊者は、チェックイン~チェックアウトまでの時間内であれば何度でも入ることができ、夜はカクテルなどアルコールの提供(有料/木・金・土・祝前日のみ)もあるので、夕食後にゆっくりと訪れるのもいいかもしれません。

作品名:杉本博司ギャラリー 時の回廊
住所:香川県香川郡直島町琴弾地(ベネッセハウス パーク内)
開館時間:11:00~15:00(最終入館14:00)
休業日:年中無休
料金:1500円(呈茶付き) ※15歳以下の方とベネッセハウスにご宿泊のお客様は鑑賞無料。呈茶(別途有料)をご希望の場合は開館中にラウンジにてお尋ねください。
オンラインチケット購入先:https://www.e-tix.jp/sugimoto-gallery/?svi=49776306891582629570772680852124348022&avis_mid=58631106874560012072007366898970986874
作品詳細:https://benesse-artsite.jp/art/sugimoto-gallery.html

直島・建築家・安藤忠雄作『ヴァレーギャラリー』

屋内外で、1966年のヴェネチア・ビエンナーレで注目を集めた草間彌生さんのインスタレーション作品『ナルシスの庭』を見ることができる。
© Yayoi Kusama, Narcissus Garden, 1966/2022, Stainless steel spheres, Copyright of Yayoi Kusama Photo: Masatomo MORIYAMA

ベネッセアートサイト直島における安藤忠雄さんの9つ目となる、建築などにより構成される『ヴァレーギャラリー』。宿泊施設ベネッセハウスと地中美術館の間にある山間部に、ほこらをイメージして建てられた半屋外建築と、屋外を含めた周辺の空間を指すこの施設は、景観も自然も含めて“ギャラリー”として楽しむことができます。

館内、前庭、池にて展示されている『ナルシスの庭』。© Photo: 森山雅智

ギャラリーの内外にて、約1700個のミラーボールを用いた草間彌生さんの『ナルシスの庭』が鑑賞できるのもこの施設の魅力のひとつ。池のうえにもミラーボールが配置されていますが、そのひとつひとつは固定されていないため、風の動きにともないカチカチとぶつかり合って音が鳴るのも特徴です。屋外ならではの展示の醍醐味を体感して。

古くから直島島内に設置されている八十八体の仏像「直島八十八箇所」をモチーフに、豊島に不法投棄された産業廃棄物を処理した際に出るスラグを使って作られている。©ヴァレーギャラリーでの積石(小沢剛 2022年) 撮影:森山雅智

2006年から設置されていた小沢剛さんの『スラグブッダ 88-豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88体の仏』も、一部を改変し設置しています。豊かな自然とアート、建築を総合的に鑑賞できる、他にない美術館です。

作品名:ヴァレーギャラリー
住所:香川県香川郡直島町琴弾地
開館時間:9:30~16:00(最終入館15:30)
休業日:年中無休
料金:ベネッセハウス ミュージアムの入館料に含む(ヴァレーギャラリー現地でも同チケットを購入可能)
作品詳細:https://benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html

8月以降に開催される、必見のアート作品とは

最後に、8月5日(金)からスタートする夏の会期に合わせて発表予定の新作の中から、ユニークなアートを制作する海外アーティスト2名の作品について、瀬戸内国際芸術祭実行委員会・合田さんにその詳細を教えてもらいました。オープン直前まで制作がつづけられるため、画像はイメージ図のみですが、ぜひ直接足を運んで実物をご覧ください。

小豆島・ワン・ウェンチー(王文志)さんの『ゼロ』

2010年の1回目の芸術祭から作品を発表しているワン・ウェンチー(王文志)さん。竹を使った作品を数多く発表している。

台湾出身のアーティスト、ワン・ウェンチー(王文志)さんの作品『ゼロ』は、小豆島の中山地区で展示予定。
「国際的に活躍する、人気インスタレーション作家のひとりです。約4000本もの竹を使って作られる直径15メートルほどの球体の中に入り、床に転がって中山の美しい千枚田を眺めながら、自然と一体になる“調和の精神空間”を体験できる作品です」と合田さん。

作品名:ゼロ
住所:香川県小豆郡小豆島町中山
開館時間:9:30~17:00
休業日:会期中無休
料金:300円
作品詳細:https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/shodoshima/390.html

女木島・ニコラ・ダロさん作の『ナビゲーションルーム』

ニコラ・ダロさんは、今回が「瀬戸内国際芸術祭」初参加となる。

フランス出身のアーティスト、ニコラ・ダロさんの『ナビゲーションルーム』は、女木島中心部にある、かつて海の家だった建物を使って作られます。
「科学や歴史、神話や文学など、さまざまな切り口で彫刻や自動で動くオブジェなどを発表している作家です。今回は、オルゴールと、天体の動きを表す3台のスティックチャート(木の棒を組み合わせた海図)が連動し、接続するディスクが回転することで架空の航路を映し出す機械仕掛けのプラネタリウムを製作します」

作品名:ナビゲーションルーム
住所:香川県高松市女木町289
開館時間:9:20~16:30
休業日:会期中無休
料金:300円
作品詳細:https://setouchi-artfest.jp/artworks-artists/artworks/megijima/379.html

島々の自然と個性豊かなアートが融合する、非日常空間へ

日本国内をはじめ、世界中で活躍するアーティストの、ここでしか見られない特別なアート作品がラインナップする「瀬戸内国際芸術祭2022」。アート作品そのものだけでなく、食文化まで異なるそれぞれの島の自然や人びととの交流も楽しみながら、冒険に出るような気持ちでいろんな島へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

「瀬戸内国際芸術祭2022」を巡るツアーについて:
オフィシャルツアーでは、ガイドとともに作品を鑑賞しながら島の歴史や文化、食などを楽しめるコースが数多く展開されています。
オフィシャルツアー(香川発着・岡山発着)の詳細はこちらから。
https://setouchi-artfest.jp/visit/official-tour/

直島(一部犬島、豊島を含)を巡るオフィシャルツアーは「ベネッセアートサイト直島」のサイトにて、予約を受け付けています。
https://benesse-artsite.jp/program/

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