Lifestyle

横田英治のReturn to Basics
「悩んだら、基本に戻ろう」
VOL.5 バンカー編

練習する機会が少ないこともあり、アマチュアが苦手なショットに挙げることの多いバンカーショット。でも横田英治プロは、難しい原因は「普通のショットと真逆なことがすごく多い」からだと言います。バンカーショット特有の打ち方を知れば、もう恐れることはありません!

バンカーショットはフェースを開く?開かない?

ゴルフは道具が大切な競技だということは何度も触れてきました。バンカーショットで使うのは、もちろんサンドウェッジ。距離がすごく遠く、30~40ヤードもあるような場合を除いて、基本的には、バンカーショット用に開発されたサンドウェッジで打ちます。

次に問題となるのは、フェースは開くのか開かないのか。通常のショットと違い、「開く」が正解なのですが、その理由は「球を上げるため」ではありません。バンカーショットはフェースにボールが直接当たらないので、フェースを開いても、スクェアに構えてもボールは上がります。

それでは、何のためにフェースを開くのかというと、バウンスと呼ばれるソールの出っ張り部分がより出てくる(強調される)からです。この出っ張りがどういう役割を果たすかというと、クラブヘッドが鋭角に下りてきたときでも、砂に深く入りすぎずにスッと抜けていってくれる。そのバウンスをより効果的に使うために、フェースを若干開くのです。

ソールにバウンスがあるおかげで、ヘッドが砂に刺さらず抜けてくれる。フェースを開くことでバウンス効果がより強調される

ビッグバックスウィング→ノーフォローで振る

そしてもう1つ、通常のショットと大きく異なることがあります。「フェアウェイウッド編」でも説明したように、テークバックが小さくてコンパクトなトップから、大きなフィニッシュを取る「ショートバックスウィング→ビッグフォロー」がスウィングの基本です。
また、ボールから先、スウィングの左サイド(フォロー~フィニッシュ)の意識を強く持つこともお伝えしました。

ただし、バンカーショットに関しては真逆で、右サイドのアクションでプレーしたい。左サイド、すなわちフォローは出さなくていいです。
フェアウェイウッドのようにショートバックからビッグフォローのイメージで振ると、入射角が緩やかになるので、バウンスがはねてホームランになったり、スウィングスピードが足りずに少ししか飛ばない、といったミスが出やすいのです。

バンカー内では、クラブは上から下に振るとボールが上がる。一方、「球を上げたい」と下から上に振るとボールは上がらないという、通常のショットとは異なる現象が起こります。だから、いかにクラブを上から下に振るか、が大事な条件になってきます。
それを可能にするのが、ショートバックとは真逆の「ビッグバックスウィング」、そしてそこからの「ノーフォロー」です。実際にはノーフォローにはならず、ヘッドは惰性で動いてフォロー~フィニッシュがとれます。

ノーフォローの意識で振っても、実際には写真のようにフォロー~フィニッシュがとれる

体重配分は左右5:5でウェートシフトはしない

それでは、具体的な打ち方を見ていきましょう。

(1)バウンスを出すためにフェースを若干開く
(2)アドレスはピンのやや左を向く
(3)フェース面はピンのやや右に向ける
(4)アドレスの向きに沿って、ビッグバックスウィング→ノーフォローで振る
(5)ボールは、フェースの向きとアドレスの足の向きの間に飛ぶ

アドレスですが、ボールと両足の関係は二等辺三角形。ボールを左足寄りに置く人が多いのですが、基本的にはスタンスの真ん中です。レッスン記事の写真では左に見えることがありますが、あくまでも自分からすると真ん中。ボールを中心に、ピンのやや左を向くために回転しているので、正面からだと左に見えているだけなのです。
体重配分は左右五分五分です。ウェートシフトは絶対にせず、体が右にも左にも行かないように。馬にまたがっていて、この馬をつぶさない(強く挟まない)でスウィングを完結させるイメージを持つといいでしょう。

また、入射角が緩やかにならないよう、目線は常に低く保ちます。ボールを出そうとすると、目線が上がって右足体重になり、入射角が緩やかになってしまいます。そうするとバウンスがはねてトップし、土手にぶつかるケースが圧倒的に多いので、気をつけてください。

目線が上がると右足体重になって入射角が緩やかになるので、目線は常に低く保つ

すぐにできる実戦で役立つ横田流テクニック「バンカーの練習法」

普段はなかなかできないバンカーの練習ですが、ドライビングレンジに行ったときは、「イチ、ニ」でクラブを上げたらトップで止めて、そこから「ポン」とヘッドをボールの手前に落とすドリルを試してみてください。
クラブを流れるように振ると緩やかな入射角に、止めると鋭角になりやすいのですが、そのリズムの違いを利用したのが「止めて、ポン」です。

実は、この「止めて、ポン」はスウィングの練習としては最悪。なので、ボールを打つ合間に5球から10球、球数を決めて行うにとどめておきましょう。このドリルをすることで、バンカーのイメージが出やすくなります。

トップの形のまま少し停止し、そこからヘッドを落とす。この「止めて、ポン」ドリルで、鋭角に振り下ろすバンカーショットのコツがつかめる
プロフィール

横田英治(よこたえいじ)

1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまで多くのゴルファーにレッスンを行い、今季好調の岸部桃子プロも指導する。7月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」がオープン。
レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。

協力:千葉夷隅ゴルフクラブ

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