Lifestyle

横田英治のReturn to Basics
「悩んだら、基本に戻ろう」
VOL.4 アプローチ編

スコアメイクのカギを握るのがショートゲーム。ただし、パターマットを使って家で練習できるパッティングに対し、アプローチはぶっつけ本番になりがちです。練習を重ねる前に、ピンに寄せる精度を上げるクラブの選び方や打ち方を、横田英治プロに整理していただきましょう。

アプローチにはアプローチ専用ウェッジを使おう

まずは標準的な、基本である「半分飛ばして半分転がす」アプローチを考えてみましょう。アマチュアゴルファーの皆さんは、グリーン周りに来たときにどのウェッジを使っているでしょうか。

おそらく、「58度の1本のみ」と答える方が多いと思いますが、必ずキャディさんから52度と58度の2本をもらってグリーン周りにいきましょう。これはアプローチの絶対条件です。

2つ目の質問です。58度には違う呼び方がありますが、それは何でしょうか。そう、サンドウェッジです。では52度は? はい、アプローチウェッジですね。
つまり、52度というのはアプローチ専用ウェッジなのです。そして、58度はバンカー専用ウェッジということがわかります。

アマチュアの方が58度を多用するのは、プロが使っている影響があるのですが、実は58度は意外と難しいのです。なので、グリーン周りは基本的には52度をメインで使っていくことを強くおすすめします。
そして、これはちょっと52度では転がせない、上げなきゃいけないと状況判断をしたときに、やむを得ず58度でいくという考えを持っていただけるといいと思います。

そうすることによって、何が変わってくるかというと、たとえば20ヤード先のピンに打っていくのに、58度だと例えば腰の高さまでテークバックを上げるとしたら、52度だとその半分の大きさで届くのです。

単純に、振り幅が小さいほどミスヒットはしにくくなります。今まで58度を大きく振って、ミスヒットしたときにはグリーンオーバーやチャックリがあったのが、52度だと小さな振り幅で打てるので、トップしても奥のカラーで止まるし、ちょっとダフってもグリーンには乗る。うまく打てたときではなく、失敗したケースにトラブルが少なくなるので、ぜひ52度を選択しましょう。

58度だと腰のあたりまでクラブを上げないと届かない距離も、52度ならより小さなテークバックで届かせることができ、ミスヒットしにくい

“点”ではなく”線”で打てるセットアップ

52度を選んだとして、次はスウィングです。大事なのはボールに近づいて立つこと。ボールから離れて立つほど、飛球線後方から見たときに、ヘッド軌道がイン・トゥ・インの曲線(青いライン)になります。すると、ボールを打っていきたい方向である直線を(赤いライン)一瞬しかかすめることができません。つまり、ピン方向にまっすぐ打ち出せるインパクトのポイントは1点しかないのです。

一方、ボールの近くで構えるとヘッド軌道はストレートに近づくため、赤いラインと青いラインが重なります。ということは、ボールの位置がちょっと右や左にずれても、球の高さは多少変わりますが、まっすぐ飛んでいく確率が高くなる。セットアップでボールから遠く離れて立たないことが、アプローチを成功に導くうえでの最重要事項なのです。

ボールから離れて立つと、目標にまっすぐ飛ぶインパクトは”点”でしかないが、近くに立つと”線”になり、成功確率が上がる

すぐにできる実戦で役立つ横田流テクニック
「大きなエンジンで打つ」

“点”ではなく”線”でインパクトすることがアプローチ成功のポイント。これは、正面から見た場合のヘッド軌道についても同じことが言えます。

たった10ヤードのアプローチでも、スウィングの原動力となる”エンジン”がどこにあるかで、結果は大きく違ってきます。
手首をエンジンにしてクラブを上げようとすると、トップでヘッドは腰のあたりまで高く上がります。円弧の半径が小さいので、ヘッドがボールのある場所を一点しか通らず、インパクトが安定しません。

続いて、腹筋、体幹をエンジンにして振ってみます。すると、トップでヘッドはひざ下くらいまでしか上がりません。円弧の半径が大きく、ヘッドが緩やかな角度を描きながら下りてくるので、点ではなく線でボールをとらえることになり、インパクトの打点に多少のズレがあっても大きなミスを招きにくいのです。

小さなエンジン(手首)か、大きなエンジン(腹筋、体幹)か。どの部分を使って振るのかによって、アプローチの精度は大きく変わります。ターゲットまでの距離が近いので、ついつい手先を使ってしまいたくなりますが、確実に寄せ(乗せ)たければ大きなエンジンで振ることを心がけましょう。

手首でクラブを上げるとボールを点でしかとらえられないが、腹筋、体幹を使って上げれば円弧が大きくなり、線でとらえることができる
プロフィール

横田英治(よこたえいじ)

1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまで多くのゴルファーにレッスンを行い、今季好調の岸部桃子プロも指導する。7月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」がオープン。
レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。

協力:千葉夷隅ゴルフクラブ

2024 Winter

レクサスカード会員のためのハイエンドマガジン「moment」のデジタルブック。
ワンランク上のライフスタイルをお届けします。