Lifestyle

2022年7月15日発売
4年ぶりに刷新。M2搭載MacBook Airは“次の10年”を担う新スタンダード

基本コンセプトを10年以上大きく変化させないまま、もっとも人気あるMacでありつづけてきたMacBook Air。2022年7月にアップルが4年ぶりに刷新したM2搭載の新型MacBook Airは、時代とともに不変になったコンセプトをアップデートした製品に生まれ変わりました。次の10年を担う新しい標準を決める、大きなモデルチェンジの全容をジャーナリストが紹介します。

Text:Masakazu Honda
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

クリエイティブの世界に誘う、最高のデジタル文房具へ

MacBook Airの源流は、実験的な技術も含めあらゆる手段を尽くして作り上げられた贅沢なパーソナルコンピュータでした。薄型で堅牢、しかし使いやすく設計されたMacBook Airは、必要最低限の装備に絞り込むことで、道具としての完成度を高める一方で、機能の多さこそが製品の価値と捉えられがちだった当時のパーソナルコンピュータトレンドに対するアンチテーゼにもなっていました。

故スティーブ・ジョブズ氏が茶封筒から取り出してお披露目した初代MacBook Airは、アルミ押出材を削り出して作り上げた最初の製品でした。現在、それらを作り上げた技術やコンセプトはトレンドの中心となり、この業界において高品位な製品を作り出す際、さまざまな場面で応用されています。まるでスーパーカーのように研ぎ澄まされた特別な存在だった初代MacBook Airでしたが、アップルはその後、コンセプトはそのままに、学生からビジネスパーソンまで幅広くフィットする製品へと進化していきました。

このように紹介すると、まるで価格を引き下げるために妥協点を探し、カジュアルな製品へと衣替えしたように聞こえるかもしれません。しかし、MacBook Airが人気となったのは時代が変化し、そのコンセプトに世の中が追いつくことで多くの人にとってピッタリの道具になったからです。

発表された当時は異端だったMacBook Airはカバンの中に納めておくべきコンピュータの標準となりました。上位のMacBook Proはプロクリエイター向けに設計されていますが、MacBook Airはパーソナルコンピュータを必要とする大多数のユーザーにとって身近なパートナー。いわば“デジタル文房具”となってきました。

本当に欲しい要素だけを薄く美しい1枚に

昨年末に大幅刷新したMacBook Proの設計要素を取り入れ、隅から隅まで広がるディスプレイ、フルHD対応カメラなどを導入。新設計SoCのApple M2を搭載した

パーソナルコンピュータに求められる要素は、その時代によって変化しています。初代MacBook Airが登場した頃は、インターネットに接続して情報を操りつつ、さまざまな資料を作成したり、アイデアをまとめることが大きな目的でした。また、インターネットへと集まり始めていた映像や音楽、写真などのデジタルメディアを扱う中心となることも、もうひとつの役割だったと言えるでしょう。

そんな本当に必要な機能だけを取り出し、磨き込んだうえで、どの方向から見ても美しいウェッジシェイプのアルミニウムボディに包み込み、フォルムや機能はミニマルに。しかしミニマルに絞り込んだ要素は最大限に掘り下げることで、その魅力を深めてきました。かつて持ち運びが容易なモバイルパーソナルコンピュータは、ディスプレイの大きさ、キーボードのサイズや打ち心地、トラックパッドの大きさといった、コンピュータを操るうえでもっとも重要な部分を妥協した製品が大多数でした。

そこでMacBook Airは画面サイズやキーボードを妥協せず、広々としたトラックパッドも確保。一方で薄く仕上げることで持ち運びやすくしました。しかも、毎日持ち歩いても壊れにくく、外装の劣化が目立ちにくいよう、削り出しのアルミニウムとガラスを多用した外装で包みこむ贅沢な作り方としました。

このコンセプトは設計を新たにした最新世代のMacBook Airでも変わりません。しかし2022年7月に発売となる、すなわち今回紹介する刷新された新モデルは、これから数年のトレンドを見越して新しい要素をふんだんに盛り込んでいるのが特徴です。

MacBook Airの前モデルは2018年に刷新し、高精細なRetinaディスプレイなどを盛り込んだものでした。しかし基本的なレイアウトやフォルムは2011年モデルにまで遡ります。さまざまな改良は施されてきたとは言うものの、実に11年もの間、基本レイアウトを変えずにMacの中心モデルでありつづけてきました。言い換えれば、新モデルは新しい10年の歴史を積み重ねていく、新しいスタート地点とも言えるでしょう。

では新モデルでは、どんなところが一新したのでしょう? 大きくは2つあります。

まず、このモデルは端子レイアウトを最新のMacBook Proのトレンドに合わせて刷新しています。カメラ部を回り込むように最大化したディスプレイ、フルHD対応の高画質FaceTime HDカメラ、外観からは存在が完全に隠されている高音質なスピーカー、MagSafe 3電源ポートなどがそれらです。そこに初搭載となるApple M2プロセッサを採用しています。

2022年発売モデルは、パソコンとしては異例の4色展開。新色はApple Watchの同名色とやや異なる。Apple Watchに比べ、スターライトはゴールドにやや近くなり、ミッドナイトは光が当たった時の青味が強めに出る

そして4色のカラーバリエーション。従来のシルバーとスペースグレイに加え、エレガントなスターライト、シャープなイメージのミッドナイトが新色として用意されました。今回のこの新色が加えられたのは、この製品がMacの中で最も多くの人に愛されている製品だという証かもしれません。

●パワフルだがクール、そして創造的

初搭載となるApple M2のスペックそのものに目を奪われがちですが、MacBook AirではM2を搭載することで、どれほど“デジタル文房具”としての完成度が高まっているのか、の方がずっと重要でしょう。

先代モデルからファンレス、すなわち冷却ファンを搭載せず、どんな状況でもけたたましい音を出すことがなくなったMacBook Airですが、それは今世代にも引き継がれています。そんな設計を可能にしているのがアップル独自設計のプロセッサですが、M1からM2に進化することで発熱を増やさないまま18%も高速になっているのです。

10年以上前、MacBook Airが登場した頃とは異なり、今では写真や動画、音楽などのデジタルクリエイションに誰もがチャレンジできる時代になってきました。YouTubeをはじめとするネットサービスの環境変化もありますが、ツールが発達し、AIの進化がデジタル創作のハードルを下げたためです。

プロクリエイター向けに設計された動画処理専用回路を内蔵。高精細映像を扱う際の快適性が大幅に高められた

M2ではそうした“誰もがクリエイター”になれる現代に合わせ、より効率よく高品位な動画データを操れるようメディアエンジンという回路が追加され、デジタルクリエイションには欠かせないGPU能力が35%も強化されています。

さらに機械学習処理のパフォーマンスも40%以上高められています。この性能強化は、さまざまなAIを活用した自動処理の能力を高めるものです。処理速度が速くなるというよりも、より的確に自動処理が働くとイメージするとわかりやすいでしょう。

例えば年内にリリース予定の新しいmacOS Venturaでは“写真から被写体を自動的に切り抜いて貼り付ける”、“動画内から文字を検出して自動的にテキストへ変換し、さらに翻訳する”といったことが可能になりますが、それらの動作は応答性が改善するだけでなく、より的確な結果が期待できるようになります。

アップル以外が開発するデジタルクリエイションのツールも、この能力を積極的に使ったものが多く、ステップの多い手間のかかる作業を簡略化し、従来ならプロだからこそ知っていたノウハウを簡単に利用可能になってきています。

つまり動画に代表されるメディアデータを専用回路でパワフルに扱えるようになり、そして機械学習処理への対応力を強化することで、デジタルクリエイションを誰もが当たり前に行う世の中に対応できるようにしています。

これらの処理は従来、CPUにとって重荷と言える負荷の高い処理で、作業をつづけているとあっという間にバッテリーが減ったものです。しかしM2は専門性が高い回路を内蔵させたため、電力効率も高まっています。

結果として高いデジタルクリエイションの能力をもつパワフルなマシンであるにもかかわらず、バッテリー持ちがよく、発熱が抑えられたクールなマシンになっているのです。

●リモートワークやデジタルメディア再生も高品位に

もっとも実際のMacBook Airを手にしたとき、最初に驚きを感じるのはディスプレイ、スピーカー、カメラ、マイクなど、ユーザーとコンピュータの間を介在する要素がすべて、丁寧に作り込まれていることでしょう。

新型MacBook Airは、わずか11.3ミリという薄型に仕上げられており、キーボード脇にあったスピーカー部のメッシュ穴も廃止されています。底面にはMacBook Proにあるようなエンボス加工もなく実にクリーンな外観です。この薄さでは、まず“よい音が聞こえる”予感を持つ人は少ないでしょう。ところが実はスピーカー音質は前モデルよりも向上しており、Apple MusicやApple TV+で提供されるドルビーアトモスのオーディオトラックを立体的かつリアリティの高い音で再生する能力を持っているのです。

広々としたキーボードはフルハイトのファンクションキーに。スピーカーの開口部をヒンジ部に隠したことですっきりとした外観に

スピーカーはヒンジ部に隠されていますが、まさかそんな狭いところに押し込められたスピーカーから、これほど豊かな音場が生まれるとは想像もできないというくらいに、広く立体的な音が生まれます。

13.6インチとわずか0.3インチとはいえ大型化されたディスプレイは、上部のメニュー表示部分が広くなったことで作業性がよくなったうえ、最大輝度が25%も上がって視認性と動画視聴時の画質が上がりました。もとより色再現の正確さと広さはアップル製品が得意とするところ。ネット動画や音楽ストリーミングを十分に楽しめるだけの素養が、この薄いボディに満たされているのです。

さらにリモート会議が日常に定着した今、利用者の口元からピンポイントで集音する3マイクアレイ、フルHD対応の内蔵カメラ「FaceTime HDカメラ」が強化されていることも嬉しいポイントでしょう。顔認識機能を持ち、スキントーンを自動的に整えてくれるため、iPhone内蔵カメラ並みの画質でリモート会議に参加できます。

“これからの10年”を見据えた新スタンダード

たっぷりの機能を満載していたパーソナルコンピュータから、本当に欲しい要素だけを薄い1枚の板として切り出した初代MacBook Air登場から14年。

2022年に登場した新しいMacBook Airは、最新技術を組み込みつつ2022年という時間軸にふさわしい新しいハードウェアの基盤となっています。アップルはここをスタート地点に、新しいスタンダードを作っていこうとしているのです。しかもその完成度は、新しい世代のファーストモデルである本機においても極めて高いレベルにあります。もしこのタイミングで“カバンの中に収めるべき1枚の電子文房具”を求めているのであれば、最適な選択肢のひとつであることは間違いありません。

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