Smart Watch
高級時計ブランドがなぜ
スマートウォッチをてがけるのか?
スパイ映画で観ていたような憧れの多機能時計が具現化され、今やスマートウォッチは腕時計界を席巻しています。高級機械式時計を長年にわたり手がけてきたスイスブランドさえもスマートウォッチをリリースしています。もしかして憧れていた時計ブランドも手に入れられるかもしれない!気になる値段は?スマートウォッチを持っていないと時代に乗り遅れてしまうのでしょうか? 時計専門に執筆活動をされ、自身の著書も持つ篠田哲生さんに聞いてみました。
高級時計ブランドがスマートウォッチに参入し始めている理由
「まず事実誤認がありますが、ほとんどのブランドがスマートウォッチ(業界ではコネクテッドウォッチと呼ぶ)に力を入れている訳ではありません。気になる値段も機械式時計と同額か、もしくはそれ以上なので「憧れていたブランドでも、これなら買える!」という需要もありません。高級時計×コネクテッドウォッチの始まりは、2015年のタグ・ホイヤーですが、これはアバンギャルドなブランド哲学から考えれば納得のこと。さらに同社が、ファッションコングロマリッド(複合企業群)の傘下であるため、伝統的な時計文化からは少し離れた場所に位置しているからかもしれません。当時のボスがそういう新しいことに積極的だったからということもあると思います」。
高級時計ブランドの中でもいち早くスマートウォッチ(コネクテッドウォッチ)を手掛けたタグ・ホイヤー。専用のコネクテッドアプリとペアリングすることで機能の充実を図っているモデルです。
篠田さんによる今後の動向予測
「低価格帯、中価格帯のブランドはまだ可能性があるように感じますが、高級ブランドという観点ではLVMHグループ以外では縮小傾向にあると思います。タグ・ホイヤーは総帥アルノーの若い息子がCEOになったので、20代のデジタルネイティブなZ世代がトップになり始めたら、今後はもう少し展開があるような気もします。そもそもスマートウォッチ自体が、ライオフトラッカー化しており、もはや時計型である必要があるのか? とも言われている時代ですからソニーのWENW3(下部掲載)のようなデザインでバンドに集約され、高級時計とスマートデバイスが共存する方がリアリティがあるかもしれません。
バンド一体型デザインの新世代スマートウォッチ。Suicaほか充実した電子マネー対応で使い方もかざすだけのシンプルな機能から早くも注目されています。
Profile
時計ジャーナリスト
篠田哲生
1975年生まれ。講談社『ホットドッグ プレス』編集部を経て独立。時計専門誌、ファッション誌を中心に執筆中。自身の著書である『教養としての腕時計選び』(光文社刊)を昨年末2020年12月に発刊。
高級時計ブランドが手がけるスマートウォッチ
フラッグシップモデルであるビッグ・バンのコネクテッドウォッチ。ケースにはウブロが得意とする軽量で耐久性に優れたチタニウムを採用しています。定番型でありながらも最新テクノロジーを搭載し、洗練された1本へと仕上がっています。
スマートフォンを腕時計の機能を強化する存在として位置付けて開発された最初のコネクテッド・クロノグラフモデル、エキゾスペースB55。パイロットとヨットマンのためのウォッチとして、スマートフォンやアプリとのペアリングだけでなく、ブライトリングらしい耐久性、存在感の高さを知らしめるモデルとなっています。
高級筆記具ブランドで知られるモンブランのコネクテッドウォッチ。42mmのケースサイズながら、男女問わず着けることができるソリッドなデザインが大きな魅力です。専用アプリも用意され、旅行、フィットネスなど、シチュエーションを問わず活躍してくれるはずです。