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LEXUS LX600
レクサス LX600オフロードは荒野を行く孤高のラグジュアリーSUV。
クロールコントロールの威力を知る
【オフロード試乗編】

フルモデルチェンジしたレクサスのフラッグシップSUV「LX」はどのような進化を遂げたのか。レクサスならではの、圧倒的なパフォーマンスと上質な走りはどう実現されているのか。オフロードとオンロードの両方で試してみたが、まずはオフロードコース試乗の印象を報告しよう。

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Text: Tomomitsu Chiba
Photo: Hidekazu Nagamoto

想像をはるかに上回ったオフロードでの快適性

新世代LEXUSモデルの第1弾となる「NX」に続き、「LX」が生まれ変わった。そもそもLXはLEXUSでもっとも長い歴史を持つモデルで、新型LXは14年ぶりにフルモデルチェンジされて4世代目となった。ちなみに国内でのLXは2世代目。もちろんこのモデルは、LEXUSSUVのフラッグシップだ。

新型LXの開発テーマは「世界中のどんな道でも楽に、上質に」。単なるトヨタランドクルーザーのLEXUS版ではないのだ。そしてどこにでも行けることが目標ではなく、「どこにでもいけるからこそ、楽に走れる」ことを重視したのだと開発者は言う。そのためには、2950mmというホイールベースを確保しつつ、200kgにもおよぶ軽量化、運転しやすいドライビングポジション、オフロードでもクルマを対話できることを目指している。

2022年1月にフルモデルチェンジして登場した4代目LEXUSLX。新世代LEXUSの第2弾というべきモデル。LEXUS SUVのフラッグシップだ。
インテリアの上質さはさすがレクサスのフラッグシップと思わせるもの。写真は「LX600」のもの。
LX600オフロードのインテリアは写真の白のインテリア(ホワイト&ダークセピア)だけでなく、ブラックやクリムゾン、ヘーゼルの4色から選択できる。
「LX600オフロード」は5人乗りと7人乗りを選択でき、車両価格は1290万円で同じ。

エンジンは先代モデルの5.7L自然吸気から3.5L V型6気筒ツインターボに進化。排気量は小さくなったが、出力/トルクとも向上し、最高出力305kW(415ps)、最大トルク650Nmを発生する。トランスミッションは10速ATが組み合わされる。

今回はそんな新型LXの実力を確認する試乗機会を得た。オフロードと一般道での試乗が叶ったのである。オフロードコースではLX600オフロード、一般道では標準車のLX600、LX600エグゼクティブ、LX600オフロードの3グレードに試乗することができた。ここではまず、オフロードコース試乗の印象を伝えたい。

富士スピードウェイ内に新設されたオフロードコースは、なかなかハードなコース設定だったが、高い悪路走破性能を持つLXは、苦もなくすべてを走破することができた。

試乗コースは富士スピードウェイ内に新設されたオフロード。地形を生かして設計されたコースは滅多に遭遇することはないと思われるハードな設定。
搭載されるエンジンは3.5L V型6気筒ツインターボに進化。最高出力415ps/最大トルク650Nmを発生し、トランスミッションに10速ATが組み合わされる。

クロールコントロールは後退時にも使える!
成約者向けに、このオフロードコース走行体験プログラムも用意か

特筆したいのは、「走破することができた」のではなく、「快適に安心して走破することができた」ことだ。そして終始、守られているという安心感がとても強く感じられた。ちなみにLXの最大安定傾斜角は44度、登坂能力45度、最大渡河性能700mmとなる。これは従来と同様の性能を維持している。

とくに印象的だったのは、クロールコントロール。このスイッチを押して速度設定すれば、「こんな場所を走るの?」と通常なら不安になったり躊躇したりするような場所でも、ドライバーはハンドル操作するだけで、駆動力やブレーキを自動制御してくれるので楽々と進んで行くことができる。

その進み方も恐怖を感じるような「急加速」や「急ブレーキ」などは一切ない。クロールコントロールは速度を1~5km/hで設定できるが、たとえば5km/hに設定したらずっと5km/hで走るのではなく、0→5km/hまで徐々に、そして自然に加速していくのである。そうしたことからも安心感が感じられるのである。

過酷なオフロードコースを走ることで、LXのポテンシャルの高さを実感することができた。試乗車はLX600オフロード。

また悪路走破時の運転姿勢の変化の少なさも印象的だ。これがただ悪路を走破できるということではなく、「楽に」とか「上質に」ということなのだろう。

さらに凄いのは、このクロールコントロールは後退時にも使えることである。その作動も実にスムーズ。かなり使える装備と言えるだろう。オフロード、滑りやすい路面はもちろん、スタックからの脱出もこれなら可能となる。

狭い場所などではメインディスプレイ「マルチレテインモニター」にアンダーフロアビューを表示するのがおすすめだ。これは通常では確認できない車両の下側も映すことできるので、倒木や縁石、岩などを確認しつつ進むことができる。この効果は絶大だ。さらに世界初採用となる「バックアンダーフロアビュー」はリアタイヤ付近の状況を表示、林間走行、モーグル、岩石路などでの安全/安心な走行をサポートしてくれる。

路面や車両の状況を表示してくれるディスプレイ。
クロールコントロールのボタン(DAC/CRAWL)はディスプレイの下に設けられている。

ところで話は逸れるが、LXの成約者向けに今回試乗したオフロードコースでの走行体験プログラムを検討しているという。これほど過酷な場所に遭遇することは滅多にないが、LEXUSのエクスペリエンスとして、LXの持つオフロード性能やポテンシャルをオーナーに体験してもらおうという企画だ。LXのオーナーにはぜひともこのコースを走ることをおすすめしたい。貴重な体験であるとともに、愛車のLXが持つ高いオフロード性能を認識することができるからである。

さて、新型LX。悪路走破性能は歴代LX同様に高いものだが、新型は安心感が増し、そしてそれに加えオフロードであっても上質な走行性能を提供してくれていることがよくわかった。これが「楽に走れる」ということなのだと改めて実感した。新型LXのオフロード走行時の快適さは一度試してみる価値アリだ。

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【主要諸元】

LEXUS LX600オフロード(5人乗り)

全長×全幅×全高
5100×1990×1885mm
ホイールベース
2850mm
車両重量
2540kg ※
エンジン
V6 DOHCツインターボ
排気量
3444cc
最高出力
305kW(415ps)/5200rpm
最大トルク
650Nm/2000-3600rpm
トランスミッション
10速AT
WLTCモード燃費
8.1km/L
駆動方式
4WD
タイヤサイズ
265/65R18
車両価格(税込)
1290万円

※:7人乗り仕様は2580kg。

出典:Webモーターマガジン

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