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レクサスの今を語る
LEXUS LC500 Convertible

優れた運動性能だけでなく、エレガンスさと大人の色気を感じさせるレクサス LC。今回、渡辺敏史氏が試乗しリポートするのは、そのLCのコンバーチブルモデル。LCとしての統一感と、コンバーチブルならではの個性を調和させた唯一無二のモデルだ。

移動時間を豊かにする、コンバーチブルモデル

数多あるクルマの形態からあえてクーペを選んで乗る。それは今や相当ハードルの高い行為だ。普通とはちょっと異なるクルマに乗りたいという欲求はSUVが満たしてくれるし、当然ながら利便性はそちらの方が高い。多少の不便を厭わず、その佇まいの美しさや走りの気持ちよさにどこまで対価を投じられるか。そういう心の余裕がなければ手を伸ばすこともままならないものだろう。

それはつくり手にとっても同じことだ。今や2ドアクーペのマーケットはどの地域であれ縮小している。乗る側にすれば希少性は歓迎すべきことかもしれないが、きちんと収支を考えるべき立場からすれば、荷は重くなる一方だ。だからそういう現況の下、レクサスがLCをつくるということ自体にエンジニアの意地であったりブランドの矜持であったりというものを僕はくみ取ってしまう。

そのLCに先頃加わったのがコンバーチブルだ。このクルマが掲げるべきテーマは、移動の時間をいかに豊かにするかということ。その点において、オープンモデルは待望の投入ということになる。

レクサスのオープンモデルといえば過去にSCやIS Cがあったが、それらはいずれもメタルトップを採用していた。対してLCコンバーチブルは重量や格納容積、そしてデザインへの影響が小さい幌屋根を採用している。その表面は風合いも楽しめる撥水キャンバス地だが、全体は四層構造になっており、耐候性や遮音性などにも十分に配慮したもの。200km/hを軽く上回る最高速付近までテストを重ねて、バタつきや雨漏りなどをしっかりチェックしているという。

ちなみにこの幌屋根の開閉はセンターコンソールにフタ付きで収められたスイッチひとつで操作が可能だ。作動には音の静かな電動油圧式を採用し、全開も全閉も約15秒で工程が完了する。その動作は書道の筆運びに着想を得た緩急やなめらかさを追求したもので、50km/h以内であれば走行中でも開閉できるなど、ユーザビリティにも配慮されている。

オープン化に伴ってボディ側には隅々にまで補強が施された。フレーム本体はスポット溶接の増し打ちや構造接着剤によって固められる他、フロントピラー根元やリアのサスタワー部、そしてフロア下面には筋交いを張り巡らせてLCクーペに対しても見劣りのない剛性を確保している。加えて、後端にはヤマハが開発したパフォーマンスダンパーを装着し、走行時の微振動やノイズなどを効果的に抑制、すっきりした乗り味を実現したという。

日常と非日常を併せ持つ、圧倒的な個性

LCコンバーチブルに搭載されるエンジンはV8 5.0Lのみ。LCクーペに用意されるV6 3.5Lハイブリッドの採用は見送られた。後席背後のハイブリッド用バッテリースペースを活用して畳んだ幌屋根を格納することがパッケージ的な理由だが、エンジニアとしては今や希少になった自然吸気の高回転型V8のサウンドを浴びるように楽しんで欲しいという想いもあるようだ。

タウンライドでのLCコンバーチブルの走りは、LCクーペに対して遜色ないところに達している。常用域での静粛性はしっかり確保されており、オープンカーにありがちな車体回りからの震えや軋みといった低級な印象はうかがえない。強いていえば雨天時に幌屋根を雨粒がたたく音が少し響くものの、これは自然をより濃く楽しもうというオープンカーにとっては、風情のようなものだ。

こういった速度域で扱っていると感心させられるのは、LCクーペを上回る乗り心地のよさだ。もちろん、このタイミングで大きくリファインされたLCクーペの足回りをベースに、専用のチューニングを受けたサスのセットアップがうまくまとまっているということもあるだろう。一方で、屋根がないことによっていい意味で剛性バランスにしなりが効いていることや、オープン化に伴う約100kgの重量増がバウンドの収まりのよさにつながっている側面もありそうだ。

もちろん重量増の弊害はあるわけで、ワインディングでの加減速や操舵の切り返しで感じる敏捷性はLCクーペの側に一歩譲る。それでも存分にスポーティに振る舞えるのは、体躯がカッチリと仕上がっていることやイニシャルの応答性の高さが奏功しているのだろう。ちなみにLCコンバーチブルではクローズドコースの走行も経験しているが、全開負荷での周回にも音をあげないタフさは確認できている。何より、その域で快音を響かせるV8ユニットのサウンドはこのクルマの圧倒的個性といえるだろう。

LCコンバーチブルは、LCクーペに劣らないレクサスらしい上質な日常性をキープしながら、一方でオープンカーならではの非日常性を最大化したモデルだ。窓を開けるように気軽に屋根を開ければ、そこにいつでも広がる空や風が、乗る人の気持ちを贅沢に満たしてくれる。

渡辺敏史 Toshifumi Watanabe

二輪・四輪誌の編集を経て、フリーランスの自動車ジャーナリストに。以来、自動車専門誌にとどまらず、独自の視点で多くのメディアで活躍。緻密な分析とわかりやすい解説には定評がある。

LC500 Convertible

サイズ
全長4,770mm×全幅1,920mm×全高1,350mm
乗車定員
4人
燃料消費率
8.0km/L(WLTCモード)国土交通省審査値
エンジン
型式:2UR-GSE
総排気量:4.968L
最高出力(ネット):351kW(477PS)/7,100r.p.m.
最大トルク(ネット):540N・m(55.1kgf・m)/4,800r.p.m.
メーカー希望小売価格
1,500万円(税込み)

詳しい情報・お問い合わせ

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