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画像提供:KDDI総合研究所

The future of the sauna
より豊かな「ととのう」を求めて
テクノロジー技術で進化する次世代サウナ

高温のサウナと水風呂による超温冷交代浴によって、心身がリラックスしながら得もいわれぬ高揚感に包まれる――。「ととのう」という言葉が定番化し、今や各界のビジネスリーダーやエグゼクティブたち、また、若者や女性をとりこにしているサウナは多様化し、カルチャーとして新しいフェーズに入っています。その中で、最先端のテクノロジーや医学的知見を取り入れ、より豊かな「ととのう」を創造する次世代のプロジェクトをご紹介します。

進化する日本のサウナカルチャー

1964年に開催された東京オリンピックの際に、フィンランド選手団が持ち込んだことによって日本に広まったとされているサウナ。それ以来、半世紀以上にわたって中高年の男性ビジネスパーソンを中心とした憩いの場として定着してきましたが、数年前より熱いサウナと冷たい水風呂、外気浴のサイクルを繰り返し血流や自律神経の活動が活発になることで心身が「ととのう」効果に気鋭のクリエイターたちが着目したことでその世界が広がり、進化を遂げました。

さらに、新型コロナウイルス下においても、高級ホテル内のスタイリッシュなデザインサウナや、完全予約制の個室ソロサウナなど新施設が続々と誕生。密を避けた大自然でキャンプとともに楽しむテントサウナなど、新しいカルチャーが生まれています。その中で、これまでにないテクノロジーや医学・科学的知見、伝統文化の融合といった斬新なアプローチでクリエイトされている次世代のサウナ・プロジェクトを取材しました。

「ととのう」を可視化する移動式サウナ[Hoppin’ Sauna]

「Hoppin’Sauna」のベースとなるのは、KDDI総合研究所が2030年を見据えた未来のライフスタイルを提案する研究拠点「KDDI research atelier(リサーチアトリエ)」。そこに集まる先進的な生活を送る人々「越境走者=t’runner」とVIE STYLE株式会社、KDDI総合研究所が手がけるイノベーティブな移動式サウナのプロジェクトです。このプロジェクトでは都市部などの先進的生活者の共通言語、コミュニケーションの起点としてのサウナの可能性に着目し「いつでもどこでも、呼べばサウナがやってくる」をコンセプトに、労働生産性向上や医療費抑制への貢献を目指しています。

画像提供:KDDI総合研究所

そこで構築されるのは、一般にサウナの感性的な定義となっている「ととのう」を“可視化”するサイバーフィジカルシステム型サウナ。
「サイバーフィジカルシステム型サウナとは、フィジカル空間上の多様なデータを収集し、サイバー空間上で可視化や予測などの分析を行い、その結果をフィジカル空間にフィードバックすることにより個人のコンディショニングの最適化を図るシステムをもったサウナです」と教えてくれたのは、KDDI総合研究所の江島啓さん。

そのシステムは日本サウナ学会代表理事、加藤容崇氏監修の下、VIE STYLE社製VIE ZONEなどの脳波を測定できるバイタルセンターを使用。「ととのう」プロセスを可視化し、個人差や体調差を定量的に明らかにするとともに、さまざまなフィードバック手法による「ととのう」プロセスの可能性を検証するようです。

画像提供:KDDI総合研究所

「外気浴スペースには高解像度ディスプレイを設置し、5Gの技術でサウナの聖地や景勝地などの大自然を高精細映像として伝送するので市街地でも手軽に利用できます。さらに映像だけでなく、風の流れや環境音、気温、匂いまで車内で再現し、まるで自然の中にいるような空間を実現します」

「自動運転式での実装を想定しており、運転席が不要なためゆったりとした広い車内空間が実現できます」
画像提供:KDDI総合研究所

「ととのう」プロセスから大自然の演出まで最先端のテクノロジーを駆使した移動式サウナが、好きな場所と時間に自動運転でやってくる――。
“未来のサウナ”は、まずは手動運転式の実証モデルの2022年のリリースに向けて開発が進められています。

エクスペリメンタルなサウナレーベル[madsaunist]

madsaunistは、さまざまなイベント・プロジェクトの演出・プロデュースを手がけるShow DesignerのUK氏、上場企業の会社員でありながら、副業でSupreme BBQ/SaunaのCEOとして都内を中心にイベントプロデュースや新規事業開発のコンサルティングを行うYAS氏。そして、消化器外科医でありテントサウナ領域においては日本随一の見識を有するYsK氏のサウナギークの3人が結成したマニアックサウナ/バーニャ(ロシア式サウナ)のレーベルです。

画像提供:madsaunist

それぞれがSNSを中心に、サウナをよりよい空間にするための条件や対策、アウトドアサウナにおける理想の空間表現を発信する中で交流がはじまり、YsK氏が今多くの人に愛用されているロシア式テントサウナ「Ex-pro lgloo(日本名cube6)」を日本ではじめて直輸入したことなどをきっかけに結集。サウナ/バーニャ文脈におけるオリジナルのアプローチを「構想」+「創出」+「共有」することを目指し、日々実験や開発を展開しています。

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注目したいのは、サウナによって分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンの作用などの“ととのう”の科学的な解説やサウナ浴後に感じる幸福感の理由、サウナーが知っておきたい脱水とサウナ浴前後の摂取に向いている飲料といった、サウナにまつわる医学的知見の発信です。
「サウナの文化や歴史は古い一方で、医学的な知見としてはまだまだエビデンスレベルが低く、誤った情報や危険な入浴方法が散見されています。その現状を少しでもよくするため、至高のサウナを極めつづける人に向けて医学的な基本知識を基に、サウナに関する情報発信も行っています」とYsK氏。

ホームページ上で発信しているマニアックなサウナコラムは必見
画像提供:madsaunist

そういったサウナへの深い知見はオリジナルプロダクト製作にも反映され、本場フィンランドでポピュラーなかんらん岩、その含有成分「かんらん石」の割合が90%を超える国産サウナストーンや長時間にわたって高温で安定燃焼し、煙や臭いが非常に少ないクリーンな人工代替薪「バイオフレア」。ストーブの凹凸問題を解決しつつ、サウナストーンを効率よく温められるストーンタワーガードとステンレス天板など、オリジナルのプロダクトを数量限定販売または完全受注生産で販売(一部を除く)。

左:近畿大学が開発したバイオマス燃料バイオコークスを薪ストーブ、薪ボイラー用に商品化したものをサウナー向けに専用設計したバイオフレア。右:ストーンタワーガード&ステンレス天板
画像提供:madsaunist

「現在、伝統工芸家とコラボレーションしたラドル*や和草の専門家チームとタイアップして開発しているロウリュ用ハーブミックス、世界的な刃物文化が根付いた燕三条の技術者とともに開発しているプロダクトなど、『技(Waza)』を世界へ届けるために、日本が誇る伝統工芸家や芸術家、アーティストやクリエイターとのコラボレーションを展開し、7種類のプロダクトを開発しています。2022年はリリースラッシュになることでしょう」とUK氏。
*ロウリュやアウフグースをする際に、サウナストーンに水をかける専用のひしゃく。

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さらに日本発・世界初の“竹あかり”総合プロデュース集団「CHIKAKEN」の演出家、池田親生氏が演出協力した「公開実験」イベントなど、コンセプチュアルな思想とサウナをかけ合わせ、多種多様な現代アーティストと没入できる空間デザインや魅惑的な心的動線を創造する可視化実験イベントを開催しています。

竹あかりの演出を取り入れた公開実験の様子
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【取材協力】

●Hoppin’Sauna
https://future-gateway.jp/project/sauna/

●madsaunist
https://madsaunist.com

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