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Autumn 2025号 掲載記事

LEXUSのBEV(電気自動車)で旅するサステナブル ニッポン
伊豆ジオドライブとクラシックホテル&ゴルフの旅

どうして人は「自然の観察」や「自然との調和」に心惹かれるのだろう。それは結局、人による創造物が自然の中にある原理や真理を再構成したものであるからか。
悠久の自然の懐に飛び込んで走り、発見し、感じ、味わい尽くす旅が、伊豆半島にはあった――。

Photo:Takao Ota
Aerial Photography:Takahide Shimizu
Text:Kiyoto Kuniryo
Edit:Shigekazu Ohno(lefthands)

Autumn 2025号 関連の「川奈ホテルゴルフコースの名物ホールでプレイする。そこにはゴルフの根源的悦楽がある」を記事最後にご紹介しています。合わせてお読みください。

伊豆半島では、地球活動の痕跡地を舞台に人の営みが紡がれてきた。絶景が人の心を虜にする川奈ホテルゴルフコースもそうだ。
環境に優しいBEVに乗って
ジオサイトという地球が生んだ絶景を辿るドライブ旅へ

人間は頑張っても100年程度しか生きられず、時空をさかのぼって生き直すわけにもいかず、膨大な叡智のほんの一部分しか自身の内に蓄えられない。そんなことは百も承知だ。だからこそ、私たちは今、東伊豆の景色に打ち震えることができている。まさに今、「短命な小さき者」が「地球と時空が織りなした壮大な造形物」と対面している。この目覚ましい対比こそ、東伊豆の旅で味わうことのできる奇跡といえるだろう。

今回の旅は、東京ミッドタウン日比谷のレクサス充電ステーション(営業時間:6時〜26時)からスタート。My LEXUSアプリから事前予約が可能で、充電状況の確認もスマホでできる。充電している間、1階のカフェラウンジ「LEXUS MEETS…」(営業時間:11時〜22時)をはじめとする各店舗で優待特典を受けながら、出発する前にゆったりと気持ちのセッティングも行える。

より詩的にいうなら、地球と時空の共創が生み出したアート。それが、伊豆半島にいくつもあるジオサイトだ。より解説的にいうなら、火山や地殻変動といった地球活動の痕跡をつぶさに観察できる場所のことであり、伊豆半島ジオパークの見どころとなっているスポットを指す。

例えば、火山の噴火によって形成された威容を誇る山々、海岸や湖岸の崖を悠久のリズムで彩る地層、風雨や波で溶岩が侵食されて生まれた磯や洞窟、かつての火山活動の余熱で温められた地下水が温泉となって勢いよく湧き出す大噴湯――。

これらの地質や地形は、地球そのものの歴史を物語る。また、人間のくらしや文化と密接に結びついて、その土地ならではの歴史の舞台にもなってきた。あいあい岬のようなダイナミックな景観の中で、純粋に地球の息吹を感じてみるのもいいが、伊豆は自然と人間の関わり方について、あらためて想いを馳せることのできる場所でもあるようだ。

伊豆東部火山群の溶岩がつくった河津七滝の近くには、河津七滝ループ橋が存在する。直径80メートルもの二重のループで高低差45メートルを解消した造形物は、1978年の伊豆大島近海地震の際に起こった崖崩れを契機に生み出された。20万年前まで噴火を繰り返していた火山=天城山の険しさを克服するための、人間の努力の結晶だ。また、天城山の一部である稲取細野高原に東伊豆風力発電所が重なる景観からは、人間が自然と調和して生きる未来へのヒントを垣間見ることができる。

伊豆と本州の衝突で数100万年前の海底火山の噴出物が隆起し、地表に出現。波で削られて洞窟(海食洞)になった。やがて洞窟の拡大に伴い、天井の一部が崩れ、大きな天窓が生まれた。下田市の「龍宮窟」は、まさに自然の彫刻だ。伊東市の「大室山」に代表されるスコリア丘は、マグマのしぶきが火口の周りに堆積してできた地形。伊東市の「一碧湖」は、約10万年前の噴火でできた火口湖。周囲の崖の地層は、噴火で吹き飛ばされた火山弾を多く含む。

この時代に生まれてきてよかったと、心から思う。「悠久の自然」と「私」と「この秋」をつないでくれるのは、LEXUSのBEV「RZ450e」。BEVであれば、走行中に二酸化炭素や窒素酸化物を排出しない。伸びやかな加速がありながら、「RZ450e」の車内は常に静かで快適だった。すなわち、自然にとっても人間にとっても優しい旅が実現していた。ゼロエミッションを実現するLEXUSは、物理的にも精神的にも「大いなる自然と遥かなる時空と小さき人間が幸福に交わる旅」にふさわしい。


門脇埼

眼下に広がるのは、遥かに望む大室山からあふれ出てきた溶岩。
まさに地球と時空による壮大な造形だ。
奇跡を目の当たりにし、思わず息を呑む――。

約4,000年前の大室山の噴火時、溶岩の一部が相模灘に流れ込んで海を埋め立て、城ヶ崎海岸のダイナミックな地形が生まれた。門脇灯台や門脇つり橋を擁する門脇埼からは、溶岩が波に洗われる絶景をさまざまな視点で味わえる。

伊豆半島ジオパーク/ジオサイトとは

ジオパークは「Geo(=地球)」と「Park(=公園)」からなる造語。2025年6月1日現在、日本ジオパーク委員会が47地域を「日本ジオパーク」と認定し、その中の10地域が「ユネスコ世界ジオパーク」にも認定されている。伊豆半島ジオパークは、そのひとつだ。

ジオパークは世界遺産の認定でも知られるユネスコのプログラムであり、「地質遺産として保護・教育・持続可能な開発の観点を含んだ総合的な考え方によって管理されたエリア」を指す。伊豆半島は、その全域が「地質・地形から地球の過去を知り、未来を考え、現在の活動につなげる場所」として評価・認定されている。

図表データ提供/(一社)美しい伊豆創造センター

太古から続く大地の営みを目の当たりにすることができる稀有な場所

私たちがくらしている地球は、プレートと呼ばれる10数枚の岩盤に覆われている。そして陸地や海は、地球内部のマントルの対流に伴って、さまざまな方向に動くプレートの上に乗っている。日本列島付近には、下の図のように4枚のプレートが折り重なっていることをご存知だろうか。伊豆半島を乗せているフィリピン海プレートは年間数センチメートルの速度で北西に移動し、現在も本州を南側から押しつづけている。


約2,000万年後の2025年、芸術の秋を伊豆半島で堪能する

今から約2,000万年前、伊豆半島は本州のはるか南(現在の硫黄島付近の緯度)に位置する海底火山の集まりだった。現在、西伊豆町の一色には、まさに約2,000万年前の地層が露出している場所がある。やがて火山島になり、次第に陸地を拡大していった(未来の)伊豆半島は、フィリピン海プレートに乗って移動しつづけ、約100万年前に本州に衝突。約60万年前、ついに現在のように本州と地つづきの半島になった。

左:伊豆半島は稀有な存在だ。本州の中で唯一、フィリピン海プレート上に位置している。右:海底火山時代から陸上火山時代まで、火山こそが伊豆半島ジオパークで最大の創造主だ。
図表データ提供/(一社)美しい伊豆創造センター

半島になってからも、数十万年は天城連山に代表される大型の火山があちらこちらで噴火を繰り返してきたが、約20万年前に活動が終わり、豊かな生態系を育む森林が生み出されていく。それと入れ替わるかのように、約20万年前からは小さな火山の集まりである独立単成火山群(伊豆東部火山群)が活動を始めている。この火山群は、今後もどこかで噴火が起こるかもしれない活火山からなる。1989年の噴火によって誕生した伊東市沖の手石海丘は、伊豆東部火山群でもっとも新しい火山である。ジオサイト(ジオパークの見どころ)は、上記の地球活動によって生み出された遺産群だ。これらは東伊豆エリアを中心にしてピックアップしたものにすぎず、伊豆半島全域を視野に入れるなら、まだまだ膨大な数のジオサイトが存在している。伊豆半島ジオパークの魅力は奥が深い。

左:溶岩が海に流れ込み、波に洗われていく。火山と海の時空を超えたコラボレーションも見どころだ。右:溶岩からできた伊豆石は古くから土木や建築に利用されてきた。江戸城の石垣にも用いられている。

今、古代からの自然の営みをひとつの遺産と位置づけて学び、生活資源や観光資源として活かし、楽しみ、人間との調和をもって未来によりよく活かしていくことが求められている。それこそが、伊豆半島ジオパークおよびジオサイトの存在意義である。

古代ローマの哲学者セネカは、「すべての芸術は自然の模倣にすぎない」と言った。伊豆半島が日本に向かって動き出してから約2,000万年を経た2025年、芸術の秋をアクティブにしてクリーン、コンフォートかつヒーリングに満ちたドライブ旅で味わい尽くしてみないか。サステナブルの意味を、五感を刺激する体験を通じて学ぶことができるはずだ。


伊豆の豊かな自然に育まれた
ジオサイト案内

クルマで行ける伊豆のジオサイトを厳選してご紹介。そこに見るのは、海底火山時代から約2,000万年もの期間を経て、地球が造形してきた壮大なアートの数々。山から海まで、心震わせる絶景に合いにでかけてみよう。


尾ヶ崎ウィング

伊豆の東海岸には、波によって削られた「波食台」が数多くある。写真のほぼ中央、龍宮島の周囲に見られる平らな磯もそうだ。奥に見えているのは白浜海岸。この白い砂浜も火山からの贈り物。海底火山から噴出された白い軽石などが海の青とコントラストをなし、美しい景色を創出。
※ジオサイトに選ばれてはいないが、絶景スポットとして人気。

東海岸沿いの国道135号線を南下すると、下田市に入ってすぐに相模湾を一望できるパーキング「尾ヶ崎ウイング」の看板が。パーキングから南方を眺めると写真の景色に出合える。

稲取細野高原

稲取細野高原は、約80万年〜20万年前に噴火を繰り返していた天城山の一部。秋が深まるにつれて、白銀から黄金へと色が移り変わるススキの花穂で情緒が増す(見頃は10月下旬から11月上旬)。隣接する三筋山からは、天城連山と相模湾に浮かぶ伊豆諸島の大パノラマが眺められる。

国道135号線の稲取温泉「稲取細野高原」看板から約15分。東伊豆町稲取の山側、標高422メートルに位置する。面積は125ヘクタール(東京ドーム26個分)。第1駐車場(41台)、第2駐車場(103台)。

峰温泉大噴湯公園

日本では珍しい自噴泉を見学できる。9時30分から15時30分まで、1時間おきに合計7回、1分間ほど噴湯口が開かれる。100度の温泉が毎分600リットル、高さ約30メートルまで噴き上がる様子は圧巻。踊り子温泉会館など、峰温泉が供給されている近場の施設で入浴して帰るのも一興である。

国道135号線から県道14号線を河津川沿いに北上。毎週火曜・金曜はメンテナンスのため定休。駐車場(乗用車10台、障がい者用3台)は河津桜まつり期間中(2026年2月7日(土)~3月8日(日))のみ有料。

佐ヶ野川遊歩道

伊豆東部火山群のひとつである鉢ノ山が約3万6,000年前に噴火した際、流れ出した溶岩の一部が現在の佐ヶ野川に沿って流れ下りた。その溶岩が冷えて固まるときにできた柱状節理などの火山的景色に佐ヶ野川の渓谷の景観が相まって、ダイナミックにして癒しの感覚に満ちた場所に。

佐ヶ野川と県道14号線が交差する付近から佐ヶ野川に沿って遊歩道が整備されている。県道沿いに駐車場あり。普通車4台、マイクロバス1台駐車可能。遊歩道までは歩いてすぐ。

爪木崎

約500万年前の海底火山の地下で、マグマが冷えて固まる際の収縮によってできた柱のような形状の岩――、柱状節理が見もの。また、須崎半島は幕末に黒船艦隊が植物を採集した地域。水仙群落や多様な海浜植物で知られる爪木崎においては、昭和天皇も熱心に植物の調査をされたという。

爪木崎は、伊豆半島の南東部に突き出た須崎半島の最南東部。国道135号線沿いの交差点「柿崎」を須崎方向へ。最初の信号を左折し、上りカーブの最終地が爪木崎公園の駐車場。
伊豆の豊かな自然に育まれた味な名産品

伊豆の豊かな自然の味わい方は、観て感じることのみにあらず。ずばり、食することによっても極上の喜びを与えてくれる。ここでは、「山の恵み」と「海の恵み」に加えて、伊豆半島で唯一となった貴重な酒蔵も紹介する。

伊豆の山の恵み「水わさび」

伊豆は温暖な低地と冷涼な山地からなる半島だ。水わさびは、山地の冷涼な気候と清冽な渓流によって育まれる名産品。わさびの栽培面積・生産量で日本一位を誇るのが静岡県であり、伊豆半島では300年ほど前から盛んに生産されてきた。天城わさびとして江戸に出荷され、押し寿司や握り寿司に用いられてきたという。現在、天城山系の豊富な湧水をかけ流しにして栽培されるわさびは、FAO(国際連合食糧農業機関)から「静岡水わさびの伝統栽培」として世界農業遺産に認定されている。

清涼な湧き水で育つアブラナ科の多年草であるわさびは、日本の固有種。農薬や肥料をほとんど使わない伊豆の水わさび栽培は、環境にも優しい。畳石式のわさび田は里山の美観を守るだけでなく、巻貝やハコネサンショウウオといった水生動物の生息地にもなり、生物多様性の維持・向上に貢献している。
いずのわさび Instagram@izu_no_wasabi

伊豆の海の恵み「金目鯛」

伊豆半島沿岸をクルマで駆けると、各地のジオサイトに加えて漁村が発達している光景も印象的。ドライブしながら、半島滞在中の食事に、あるいは土産用に、金目鯛の姿を思い浮かべ、思わず舌なめずりしてしまう人もいるのでは。伊豆半島は、最深部2,500メートルの駿河湾(日本で一番深い湾)と最深部1,600メートルの相模湾(日本で二番目に深い湾)に囲まれているため、金目鯛が生息する水深200〜800メートルの深海まで港からたやすくたどり着ける。漁場と港の近さにより、新鮮な金目鯛の水揚げが可能となっているのだ。

金目鯛の水揚げ量日本一の港は下田港。また、東伊豆の稲取漁港は立縄釣り(一本釣り)の水揚げ量の多さで知られ、ブランド魚「稲取キンメ」で食通をうならせる。金目鯛といえば煮付けが一般的だが、伊豆に揚がる新鮮な金目鯛は刺身や鮨にしても最高。濃厚なうまみと甘みが舌の上でとろける。
徳造丸 https://1930.bz

伊豆半島唯一の酒蔵 「万大醸造」

伊豆箱根鉄道 修善寺駅からクルマで約10分、伊豆市年川に伊豆半島で唯一の酒蔵がある。その名は「万大醸造」。戦前の伊豆には、いくつもの酒造会社が存在していた。万大醸造は「豊楽」や「萬耀」といった自社銘柄を展開するのみならず、「脇田屋」「坦庵」「韮山」といった伊豆の歴史とともにあった銘柄を継承している。仕込み水となる清浄な年川湧水は、とてもやわらかい。また、西伊豆町大沢里で天城山系の地下1,000メートルから汲み上げる深層水も使用。ジオパークの地ならではの酒づくりが光る。

伊豆では、わかっているだけでも1300年代から酒がつくられてきた。その歴史を一身に受け継ぐのが昭和10年設立の万大醸造。わさび酒やニューサマーオレンジ酒といったリキュールも手がける。伊豆の酒屋で見つけたら、ぜひとも土産にしたい。
万大醸造 https://izu-bandai.com
ジオサイトから生まれた絶景コース
川奈ホテルゴルフコース

当初は牧草地をつくるつもりだったという。しかし、創設者の大倉喜七郎氏は、世界に名だたるゴルフコースをつくると決めた。この地が、牧草よりも芝生が育ちやすい溶岩台地だったからだ。1936年、日本で初めてゴルフ場を併設したホテルが誕生した。

ホテルと海とゴルフコースが美しく調和した景観は、この地を訪れたアメリカ屈指の実業家、ローレンス・ロックフェラーをも魅了。1965年、ハワイ島にゴルフ場を擁するマウナケア・ビーチ・ホテルを開業させた際、川奈ホテルを手本としたといわれている。

世界ゴルフ場100選に数えられるシーサイドコースの魅力

伊豆の自然に抱かれて、忘れ得ぬ一打が生まれ、忘れ得ぬ一望が記憶に刻まれる。
今、創設者の大倉喜七郎氏の思惑どおり、世界が川奈を認めている。

英国人のC.H.アリソンが設計した富士コースは、川奈の溶岩台地の地形をそのまま活かした絶景リンクス。写真の11番ホール(619ヤード・PAR5)は、左手側に富士山を望みながら、海沿いの灯台に向かって打っていくというシチュエーションに胸が高鳴る。
コース沿いの海岸は、まさにジオパークのよう。富士コースでは脱出が困難な「アリソンバンカー」がそこかしこで待ち構える。天意と人意のそれぞれが生み出した地形を楽しみながらラウンド。

一度はプレイしてみたい2つの名門コース
大島コース

水平線の向こうに大島を望む絶景リンクス。大谷光明が設計した「大島コース」は、ホテルが開業する以前の1928年に完成。川奈ホテルの原点となっている。

左:ホールが海岸に沿っている景観をそのまま表現しているのが3番ホール(373ヤード・PAR4)。中:4番ホール(351ヤード・PAR4)のニックネームは「Good-Bye」。谷越えの左ドッグレッグで左は海。すなわち、ボールは海に「おさらば」となりがち。右:深い谷を越えて打ち下ろし、吊り橋を渡ってグリーンに向かうのが6番ホール(147ヤード・PAR3)だ。ニックネームは「S.O.S」。思わず叫びたくなる。

富士コース(ホテル宿泊者限定)

「富士コース」の誕生は、川奈ホテルの開業と同じ1936年。米国ゴルフマガジン誌が発表した「世界のトップ100ゴルフコース2023〜2024」で53位に選出。

左:海に浮かぶインフィニティーグリーンの左手前に3連のアリソンバンカーが並ぶ7番ホール(393ヤード・PAR4)。中:11番(619ヤード・PAR5)は、長大にして雄大な灯台ホールとして有名。右:15番ホール(480ヤード・PAR5)の左は断崖絶壁の海。岸壁を駆け上がる海風が非常に強く、風の読みが明暗を分ける。
モデル はなさんが語る祖父との思い出が詰まった川奈ホテル

家族との記憶、不可逆な時間、それでも変わらないもの——。はなさんにとって川奈ホテルは、幸せの象徴となっている。単なるホテルではない。心の深い場所にある宝物と結びついている。

このエントランスを抜けてロビーに向かうたびに、はなさんの脳裏には懐かしい記憶がよみがえる。変わらないものを探しに、今でも川奈ホテルを訪ねている。

幼い頃に触れていたものが
今でも残っているのがありがたい

「1910年生まれの祖父は当時の人としては背が高く、周りのほかのおじいちゃんよりも圧倒的に大きかったですね。その祖父の血を引いているので、私も背が高くなったのだと思います(笑)。祖父と一緒にコースを回ったことはないのですが、スイングを教わったことはありますよ」

はなさんの祖父である陳清水さんは、日本プロゴルフ殿堂のレジェンド部門にも選ばれている、まさに伝説のゴルファーだ。その祖父が川奈ホテルゴルフコースの専属プロだったご縁もあり、幼少時のはなさんは毎年、夏休みになると家族で川奈ホテルに滞在していたという。

「祖父の陳 清水は川奈ホテルゴルフコースの専属プロでした。」

陳 清水(ちん・せいすい)
1910年、台湾生まれ。1927年、野村駿吉らに才能を認められて来日。1935年、全米オープン出場。1936年、戸田藤一郎とともにマスターズにアジアの選手として初出場。1937年、日本オープン優勝。日本プロゴルフ殿堂入りを果たしている。

「川奈ホテルは、親戚一同で毎年のように夏休みを過ごした場所。幸福だった少女時代の思い出がいっぱい詰まっています。」

「アマチュアゴルファーとして活躍していた私の父は、川奈で生まれています。私が赤ちゃんだった頃から、夏の家族旅行は川奈ホテルと決まっていて、毎年楽しい時間を過ごしてきました。親戚一同が集結していましたね。大人たちがゴルフをしている間、子どもたちはプールで遊ぶのが定番の過ごし方でした」

大人にとっても、子どもにとっても、何日いても、毎年訪れても、決して飽きることがない。それが、川奈ホテルゴルフリゾートの実力なのだろう。

「今はもうできませんが、昔はプールサイドに飛び込み台が2つもありました。そこからバシャンと飛び込んだり、プールサイドでストロベリーアイスを食べたり――。本当に楽しかったですね。当時はホテル内にゲームコーナーもありました。そこに通じる廊下の床は、桜の木にコールタールを染み込ませた木のレンガでできているそうで、私はその香りが大好きでした。今でも同じ場所には同じ香りが充満していて、あの頃の思い出が鮮烈によみがえります」

はなさんは、大人になった今も川奈ホテルを愛してやまない。

「大人になった今、思うのは、日本にいながらにして異国を旅しているような気分になれるのがすごいということ。それが、東京からのアクセスがいい伊豆の川奈にあるわけですからね。そして、何よりも私にとっては、幼い頃に見ていたもの、触れていたものが今でも残っていることがありがたいと感じています」

「川奈ホテルは、子どもの頃の楽しい思い出を真っ赤なリボンでラッピングしてくれた、私にとっての特別な場所なんです。」

かつてのはなさんは、大人たちがチェックアウトの手続きをしている間、いとこたちとロビーで将棋くずしをして遊んでいたという。その将棋の盤と駒は現在、ロビーを見下ろす2階の廊下沿い、ソファー前のテーブルに置かれている。かけがえのない記憶の断片を随所に宿しながら、川奈ホテルは今日も、世代を跨いで通う顧客たちを迎えている。

南国情緒がたっぷりのプールは、もちろん今でも現役だ。「プールで遊び疲れたら、ホテル内のサンパーラーに行って、ロールケーキやプリンアラモードで元気を補給するのが、いつもの流れでした」
「子どもの頃、ゴルフクラブ一式をつくってもらったことも。まだ、ウッドの素材に本物の木が使われていた時代です」
はな
モデル・タレント。神奈川県横浜市出身。17歳からモデル活動を始める。現在はファッション誌で活躍するかたわら、FMヨコハマ「Lovely Day♡~hana金~」のナビゲーターも務めるなど、幅広く活躍している。2003年にパンダ大使、2017年に国宝応援大使、2019年に奈良国立博物館評議員に就任。
世界のゴルファー垂涎のリゾート
川奈ホテルへ

日本のホテル黎明期に創業し、戦前・戦後を通して西洋の優雅なホテルスタイルを伝えてきたクラシックホテル。川奈ホテルは、時代を切り拓いたバロンの夢から始まった。

自然豊かな敷地。この贅沢な景観も含め、長年、日本のリゾートホテルの在り方までも示してきた。

1900年代初頭の英国留学で貴族文化の
真髄に触れたバロンの想いは今も色褪せない

朝、海に面した部屋の窓を開けてみる。目に飛び込んでくるのは、空と海による青のグラデーションと名門ゴルフコースの万緑だ。逗留する者は、この青と緑の美しさに微笑みかけることだろう。そこに身を置く時間に体験するのは、バロンの夢を肌身に感じ、その夢の具現化に成功した彼と握手を交わすこと――。

バロンとはすなわち、川奈ホテルを創業した大倉喜七郎男爵である。大倉財閥の二代目として生まれ、生粋の洒落者として知られた彼は、1900年に英国ケンブリッジ大学に留学し、8年にもおよぶ滞在中、学友たちとの親交を深め、貴族の思想やくらしを知る。帰国後、彼の地で体験したカントリーエステートを日本に築くべく、豊かな自然と美しい眺望に恵まれた川奈の土地を求めた。

左:メインロビーの装飾や調度品には「いつしか自分も英国貴族のような城を持ちたい」というバロンの想いが凝縮。右:昭和初期には映画館としても使用された第二ロビー。

1936年の開業以来、川奈ホテルは昭和天皇や上皇陛下、上皇后陛下らの訪問の栄誉を受け、ボリス・エリツィン元ロシア大統領との首脳会談の舞台にもなるなど、数々の逸話を残しながら、今日もバロンの夢を綴りつづけている。

「川奈復刻ディナー」。伝統のフィレステーキ・バロン風(男爵風)は、バロンが愛した逸品。
新婚旅行で川奈ホテルに宿泊したマリリン・モンローが二度も食したという、名物のオムライス。
大きな窓と海に向かって突き出した空間演出に心が踊るティールーム「サンパーラー」。
宿泊者専用温泉施設「ブリサマリナ」では、大海原に浴しているかのような開放感を堪能。
広いバルコニー付きの「本館オーシャンビュープレミアムツイン」では、朝陽も夕陽も星もインテリアの一部となる。

川奈ホテルのご予約は、トヨタファイナンス トラベルデスクへ

宿泊料金

ベストアベイラブルレートでご案内します。

レクサスカード会員さま特典
レクサスの BEV(RZ、UX300e) 新車・CPO オーナーさまも対象

期間限定Special Promotion 1泊にてご宿泊の場合

●毎朝食無料(1室2名さま分)
●お部屋のアップグレード(空室状況による)※1
●アーリーチェックイン(空室状況による)※1
●レイトチェックアウト(空室状況による)※1
●Wi-Fi利用無料
対象期間:2025年10月20日(月)から2026年1月19日(月)チェックイン日分

2連泊以上ご宿泊の場合

●ホテルクレジット($50相当/滞在
●毎朝食無料(1室2名さま分)
●Wi-Fi利用無料
●お部屋のアップグレード(空室状況による)※1
●アーリーチェックイン(空室状況による)※1
●レイトチェックアウト(空室状況による)※1
※ホテルクレジットの金額は時期により変動性となります。

※1 ご希望の際は予約時に承ります。回答は当日現地にてご確認をお願いします。

ご宿泊に追加してゴルフコースをご希望の方は、宿泊予約時にお申し出ください。ただし、ゴルフコースが大会などのイベントで手配できない場合もありますので、ご了承ください。


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旅行代金は実費発生します。お申込みいただいたサービス提供者へのお支払いとなります。
お申込み条件を満たさない場合、ご紹介をお断りさせていただきます。

LEXUS LUXURY HOTEL COLLECTION では、お客さまに最適なホテル選びをご提供させていただくため、トヨタ ファイナンス トラベルデスクにてお電話での手配を承っております。
世界中にある約 2,000 以上のホテルごとにさまざまな特典がご利用いただけます。
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