Travel

ロコ気分で楽しむハワイ旅
2025年、ハワイで行きたいロコに人気のレストラン2軒

世界的に地産の食材を積極的に使うファインダイニングが増えてきているが、ハワイも例外ではない。舌の肥えたロコたちが集まるのは、ハワイ産の食材を魅力的な料理に仕立てるレストラン。ここ2年以内にオープンしたおすすめの2軒を取材した。

Photo:Akira Kumagai
Coordination:Maya Kudo
Edit&Text:Misa Yamaji(B.EAT)

1)ハワイとイタリアのエッセンスが融合した
モダンアメリカンレストラン「CINO」
店内のバーカウンター。カクテルなどを楽しむことも可能。

近年、ハワイでもっとも開発が進んでいるワード地区は、ラグジュアリーなコンドミニアムや商業施設、オフィスなどが続々誕生している注目のエリア。旅人なら必ず一度は行くという人も多い「ホールフーズマーケット」がある場所といえばピンと来る人も多いだろう。

そんなワード地区に2023年9月27日、誕生したレストランが「CINO」だ。

扉を開けると、満席の店内の熱気に圧倒される。ゲストは7割近くが近隣に住む地元民。仕事帰りのビジネスマングループから、食事を楽しむカップル、女性グループと洒落た人たちが集まり(ほぼアメリカ人)、雰囲気はまるでニューヨークのレストランのよう。

アンディ・ウォーホルの絵画が印象的なアールデコとトロピカルのエッセンスが融合した、ハワイでは珍しい都会的なインテリア。
シェフのアーノルド・コープス氏。

「CINO」の料理を指揮するのは、ハワイ出身のシェフ、アーノルド・コープス氏。ラスベガスのイタリア料理店で17年間腕を磨き、満を持して故郷に戻ってきた。

地産の野菜や魚など、ローカルの食材を最大限に活かしたイタリアンベースのアメリカ的な料理に、チョップハウスの要素を取り入れたシンプルな肉のグリルなどでゲストの舌を楽しませている。

メニューはアラカルト。二人で来たなら、アペタイザー、鮮魚が並ぶ“クルードバー”、食材のうまみをシンプルに引き出した“グリル”、そしてアメリカンな雰囲気満載のサイドディッシュ、パスタなどから好きなものを選んでいくのがいいだろう。

「Big Eye Tuna」26ドル。

この日、獲れたての鮮魚が並ぶ「クルードバー」から選んだメニューは、ハワイ近海で取れるメバチマグロをセビーチェスタイルにした一皿。ヴィネグレットの爽やかな酸味、しょうゆと柑橘の奥深い味わい、そして地元の農家が育てたマイクロシソとチャイブが、絶妙なバランスで調和する。カリッとしたチュイルが食感のアクセントを加え、口の中でさまざまな味の層が広がる。

ほとんどのゲストがメインの付け合わせに頼むという「Twice Baked Potato」18ドル。

店の絶大なる人気のサイドディッシュ「Twice Baked Potato」は手間のかかった一品。

一見、シンプルなベイクドポテトのように見えるが、ラセットポテトをじっくりローストし、一度マッシュ。そこにマスカルポーネとパルミジャーノを練り込み、再度焼き上げることで、外はカリッと、中はクリーミーな食感に。カリカリのパンチェッタとピクルス風味のペッパーがアクセントになり、どの料理にも寄り添う万能なサイドディッシュとなっている。

「Crab Spaghetti」38ドル。

ウニバターソースが絡むカニの身がゴロゴロ入った贅沢な「Crab Spaghetti」は、CINOを訪れるならぜひ試したい一皿。

ガーリック、シャロット、白ワインで風味を引き出し、バジル、パセリ、タラゴンなどのハーブが爽やかな香りを加える。さらに、北海道産のウニとオシェトラキャビアがトッピング可能。食材のうまみを重ねた、アメリカンらしい濃厚な味わいがクセになる。

オランダ産仔牛のリブアイを1ポンド使用し、ミラノ風カツレツを彷彿とさせる一皿は、爽やかなポモドーロソースとチェリートマトの酸味で。「Veal Parmesan」88ドル。

パスタやアペタイザーは味を重ねた独創的なものが多い一方、グリルやメインの料理はシンプルな仕立て。

熱気あふれる店内で、ロコに混じって食べるモダンアメリカンは、雰囲気も含めて日本では味わえないご馳走だ。

CINO

住所:987 Queen St, Suite 100, Honolulu, HI 96814
電話番号:808-888-3008
営業時間:日曜~木曜 17時~21時、金曜・土曜 17時~23時
URL:https://www.cinohawaii.com

2)ダイヤモンドヘッドの麓で楽しむ、コンテンポラリー・ハワイアン・キュイジーヌの注目店「Arden Waikiki」

ワイキキの喧噪から少し離れたダイヤモンドヘッドエリアは、ハワイ屈指の高級住宅地。長年住む富裕層も多く、落ち着いた雰囲気が魅力の場所。

2023年、このエリアに誕生した「アーデン・ワイキキ」は、カピオラニ公園とダイヤモンドヘッドを望む絶景とともに、ハワイらしいエッセンスを感じる独創的な料理を、ゆったりとした空間で楽しめるレストランだ。

間近にダイヤモンドヘッドが見えるダイニング。

シェフは、カナダ・マニトバ州出身の日系カナダ人、マコト・オノ氏。

日本料理店を営む日系カナダ人の両親のもとで育ったマコト氏は、自身も料理人になりロンドンや香港などで経験を積みながらバンクーバーで地元の食材を使ったファインダイニングのシェフとして働いていた。ハワイに移住を決めたのは、妻でパティシエのアマンダ氏の家族がいることから。今までの環境とまったく違う地で、料理をすることが楽しいと話す。

「ハワイはいろんな文化がミックスしたところが魅力。自分自身のルーツに通じるところがあるし、料理にもいろんなエッセンスを加えながら、ハワイの空気のようなリラックスした雰囲気のレストランにできれば」とマコト氏。

シェフのマコト・オノ氏(右)と妻でパティシエのアマンダ・チャング氏。

彼が大切にしているのは、ハワイの地産の食材をなるべく使い、土地に根付く文化などにも光を当てること。情熱をもって農作物を育てている生産者なしでは料理がなりたたないと、彼らに敬意を表し、取引のある生産者の名前がメニューに記載されている。

「はまち刺身、リリコイポン酢 ハラペーニョ」 29ドル。

料理は、ハワイらしいパシフィック・リージョナル・キュイジーヌの流れを感じるが、そこにマコト氏のルーツから自然と湧き出てくる独創性が加わる。

例えば「はまち刺身、リリコイポン酢」は、はまちの刺身に鰹出汁とパッションフルーツの果汁でつくったポン酢をソースとしてたっぷりとかけることで、おなじみの刺身が爽やかな味わいに。薬味代わりのハラペーニョがよいアクセントになっている。

「キャベツ アヒマヨ 天かす マスの卵」 25ドル。

キャベツのバター焼きは、マコト氏の幼少の記憶と遊び心が結びついて生まれた一品。

ローストしたキャベツをメイン食材に据え、マグロのコンフィオイルでつくったマヨネーズに天かす、青のり、トンカツソース、マスの卵をトッピング。ナイフとフォークで切り分け、食べてみると、それはまさに“野菜たっぷりのお好み焼き”の味だ。

「ウル チェダーチーズ ヨーグルト クリスピースパム」 16ドル。

また、ハワイの食文化の物語を感じられる料理も面白い。

例えば、かつてネイティブハワイアンの主食のひとつだったウル「パンの木の実」。近年あまり使われることがなくなった食材を、シンプルにベーコンやネギとともにローストし、ヨーグルトソースやスパムチップをトッピング。親しみのある現代の料理になり、人気のメニューになっている。

その他、鹿が繁殖しすぎているマウイ島の鹿を、食材として活かすことで地域に貢献するという意図から誕生した“鹿のタルタル”などもここならではの料理だろう。

「ライエバニラパンナコッタ イチゴとグアバのソルベ エルダーフラワーのジュレ アーモンド」 19.99ドル。

最後は、香港のデザートレストランで経験を積んだパティシエ、アマンダ・チャング氏のデザートを忘れずに。

一皿に、ハワイらしいフルーツの鮮烈な香りや酸味、甘み、食感なども考えて組み合わせた皿盛りのデザートは、食事の最後のクライマックスとなる。

店内のバーカウンターでは、ハッピーアワーのオリジナルカクテル「ネグローニのかき氷」9ドルがおすすめ。

アーデン・ワイキキでは、毎日17時から18時までハッピーアワーを開催。

この時間だけ提供されるカクテル「ネグローニのかき氷」はぜひ試してほしい逸品。マウイ島のジンとカンパリ、パイナップルシロップとハワイの乾燥梅“リーヒンムイ”をあわせたものを削りたてのかき氷に注ぐカクテルは、常夏のハワイにぴったりの味だ。

広々としたダイニングは、明るい時間から地元の人たちですぐに満席に。

まずはバーエリアでこの一杯を楽しみ、その後、窓際の特等席へ移動しよう。

夕陽がダイヤモンドヘッドを染める景色とともに、至福のディナーが始まる。

*上記記事内の価格はすべて税抜き価格です。

Arden Waikiki

住所:2885 Kalakaua Ave, 2nd Floor Honolulu, HI 96815
電話番号:+1 808-791-5151
営業時間:17時~21時(営業時間は変動の可能性あり)
URL:https://www.ardenwaikiki.com

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