東京の注目店
あなたは王道派?進化系派?百花繚乱、今ホテルバーのカクテルが面白い
空前のホテルオープンラッシュとなっている東京。宿泊だけでなく、それぞれの個性あるバーもまた面白い。今注目されるのは、王道系から進化系まで多様化したカクテルの世界だ。ホテルだからこそ楽しみたい王道のカクテルを「The Okura Tokyo」で、進化系カクテルを「東京エディション虎ノ門」にて取材した。めくるめくカクテルの世界を知れば、きっとあなたも味わってみたくなるだろう。
Text:Misa Yamaji(B.EAT)
王道派はチェック。The Okura Tokyoに伝わる伝説のカクテル
現代まで受け継がれている王道カクテルはあまたあるが、あえて“ホテル”で飲む王道カクテルなら「ブルショット」ははずせないだろう。
「ブルショット」とはコンソメスープとウォッカを合わせて作る伝統的なカクテルだ。
つまり、極上の「ブルショット」は、上質なコンソメスープがなければ生まれない。だからこそ、時間をかけて煮込んで作られるコンソメスープがあるホテルでなければ、なかなか“本物”にはお目にかかれないのだ。
アメリカで生まれたといわれるこの「ブルショット」の由来は、一説によると禁酒法時代まで遡るという。
公に酒を嗜むことができなかった窮屈な時代に、スープボウルに注がれたウォッカとコンソメスープで作った魅惑の飲み物で、人びとは禁酒法を出し抜いたのだ。
そんな歴史の残り香を感じさせるこのカクテルを味わいたいなら、「ブルショット」を名物としているThe Okura Tokyo「オーキッドバー」が最適解だろう。ここではクラシックなカクテルをさらに洗練させ、創業当時から変わらないレシピで提供しつづけている。
使う材料は、コンソメスープとウォッカ、胡椒のみ。一見シンプルに見えるが、実はバーテンダーの技量が試される。
「オーキッドバー」のこだわりは、熱々の状態のコンソメスープから作ること。
冷たいコンソメスープから作ると、ウォッカが強調され、えぐみがでてしまう。だから、バーテンダーは熱々のスープを氷の入ったワインクーラーの中でステアしながらじっくりと冷やしていく。
この冷やし加減の見極めが実に難しい。ホテルで一から作っているコンソメスープはゼラチン質が多く含まれるため、冷やしすぎると煮凝り状態になってしまう。とろりとした絶妙なタイミングで引き上げ、ウォッカと合わせる必要があるのだ。
注文してから30分ほど時間がかかるのも、こうした理由から。
「ブルショット」を楽しみたいなら、まずは最初の一杯に「マティーニ」など好きな酒を頼み、そのときに一緒に注文するのがいいだろう。
銘木を使った一枚板のカウンターに座り、できあがるのを待つ間に流れるゆっくりとした時間もまた、ほかのカクテルにはない魅力だ。
The Okura Tokyo 「オーキッドバー」
住所:東京都港区虎ノ門2-10-4 プレステージタワー 5階
電話番号:03-3505-6076
営業時間:15時~24時
URL:https://theokuratokyo.jp/dining/list/orchidbar/
進化系カクテルなら物語を感じる「東京エディション虎ノ門」へ
ちょっと秘密めいた体験をしてみたい。
そんな人にぴったりなホテルバーが、禁酒法時代以前のアメリカのクラシックカクテル黄金期にインスパイアされた「Gold Bar at EDITION(ゴールド バー アット エディション)」。
こちらのユニークなところは、ホテルバーでありながら、ロビーや客室などのある高層フロアと離れた地上階にあるところ。ひっそりとした黒い扉が別世界への入口だ。
こちらはオープンからわずか1年余りにもかかわらず、Asia’s 50 Best Bars 2023 第56位に選出されたという実力派。
さらに、2023年のメニュー『Two Faces』シリーズ は、The World’s 50 Best Bars 2023のベストカクテルメニューアワード「Siete Misterios Best Cocktail Menu Award 2023」でトップ3にも輝いた。
光と影。物事の二面性をさまざまなカクテルで表現した『Two Faces』に続き、今こちらで楽しめるのは、カクテルで時空を超えた体験ができる『Once Upon a Future』というシリーズだ。
テーブルにつき、キャンドルの光を頼りにメニューをひらけば、タトゥーアーティストのHaruka Sasaki氏のイラストとともに7種のカクテルが記載されている。
「メトロポリタン」、「三木さんのポップコーンサワー」「江戸前コリンズ」など、王道のカクテルをもじった遊び心あふれる名前が見て取れるだろう。
さらに、ここでちょっとした仕掛けがある。
渡されたブラックライトペンでメニューを照らすと、未来をイメージしたカクテルの名前と色鮮やかなイラストが7種類、余白から浮かび上がってくるのだ。読み取れる名前は「非現実的ミドリサワー」や「クミンとマンゴーの握り」など、もはや暗号のよう。どんなカクテルなのだろう?と、その世界観に引き込まれてしまう。
これらの14種類のカクテルは、バー・ディレクターの齋藤秀幸氏率いるホテルのバーテンダーたちが、過去と未来を対比させた7つのテーマで、自由に表現したもの。
印字されたものは過去、ブラックライトで照らすと現れるメニューは未来をイメージしているので、比較して飲んでみるのも楽しい。
例えば「メトロポリタン」は、往年のディスコカクテル「コスモポリタン」から発想を得て作ったカクテル。これに対比して、未来のディスコカクテルは?とイメージして作られたのが「非現実的ミドリサワー」だ。これは、本物のメロン果汁で作られており、クラシックなレシピのリキュールで作る従来の「ミドリサワー」とはまったく違う味わいとなっている。
過去と未来をつなぐメニューから気になるものを選び、ほろ酔で、夢と現(うつつ)を彷徨ってみるのはいかがだろうか。
東京エディション虎ノ門 「Gold Bar at EDITION」
住所:東京都港区虎ノ門4-1-1 東京エディション虎ノ門1階
電話番号:03-5422-1630
営業時間:火曜・水曜・木曜 18時~25時、金曜・土曜 18時~26時
定休日:日曜・月曜
URL:https://www.goldbaratedition.com/
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