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東京の注目レストラン
東京で、香港さながらの味を楽しむならこの店へ。「港式料理 鴻禧 (こうき)」

旅の楽しみのひとつは食にあり。海外になかなか行けない今、現地に行かなくても本場の味を楽しめるレストランへ小旅行はいかがでしょうか? 今回の行き先は東京・新橋で楽しめる“香港”です。あの香港の名店「福臨門」の系譜を汲むシェフが、クリスピーチキンやフカヒレをはじめ、本場さながらの味を提供する、話題の新店をご紹介します。

Photo:Hiroyuki Tamagawa
Text:Keiko Moriwaki
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

臨場感あふれるキッチンを目の前に、本場の味を楽しむ

ここ数年、四川や辺境中華などマニアックで刺激的な中華料理が話題を呼んできましたが、今年2022年は広東料理の当たり年!? と思われるほど、あちらこちらで広東料理の新店オープンが相次ぎました。

そんななか、往年の食通たちの注視を集めているのが、ここ「鴻禧」。西新橋の外れにこの夏オープンした港式料理のお店です。

調理の様子を間近で見られるカウンター席。

店名の“港式”とは、香港スタイルという意味で、文字どおり香港そのままの味と料理がこの店のコンセプト。それも、シェフのトミーさんこと、チャム・チイコウ氏が、あの香港の名店「福臨門魚翅海鮮酒家」で研鑽を積んだ大ベテランと聞けば、食指の動く方も多いのではないでしょうか?

シェフのチャム・チイコウさん。愛称はトミー。

香港生まれの香港育ち。16歳から中華一筋のトミーシェフは、実に数多くの店で修業を積んできました。

中でも、料理の基礎を培ったのは、今は亡き香港の名店「香満楼」だったそうです。それからも、香港「アイランドシャングリ・ラ香港」の「夏宮」等々で研鑽を積み、2000年、37歳で来日。2年後には「福臨門魚翅海鮮酒家」東京店に招かれたトミーシェフ、そのあとは、同店の大阪店や名古屋店にも出向。都合14年半、福臨門の厨房でさらに腕を磨き、「福臨門魚翅海鮮酒家」(以下「福臨門」)の味をしっかり引き継いだ料理人の1人です。

「福臨門」を出たあとは、ウェスティンホテル「龍天門」を経て錦糸町「サウスラボ南方」のシェフに就任。錦糸町という場所にもかかわらず、都心からお客さまも足を運ぶほど評判を呼んだ「サウスラボ南方」でしたが、コロナ禍で惜しくも閉店。あの名シェフは、今どこに?と気を揉んでいた最中、同店が開店。早くも話題を呼んでいます。

「脆皮炸鶏」を揚げるさまを、カウンター席から眺めることができる。

細長い店内には個室も用意されていますが、特等席はやはりカウンター席。

厨房を前にして気さくなトミーシェフとの対話も弾むなか、鍋を振る音や立ち上る香りなど五感を刺激する臨場感も美味しさのエッセンスでしょう。中でも、思わず、目を見張るのがクリスピーチキンこと“脆皮炸鶏”です。ご存知「福臨門」の名物料理のひとつで、クリスピーの名の如く薄くパリパリの皮とあふれ出る澄んだ肉汁、そしてジューシーな身がなんといってもこの料理の持ち味です。

その日のゲスト分を一気に揚げて、皆でシェア。一羽で8人分。

その美味しさを引き出すポイントが独特の揚げ方。トミーシェフによれば「60℃の低温から180℃ぐらいの高温まで、少しずつ油の温度をあげながら、鶏全体に油を掛け回すようにして揚げていく」そうで、その回数、なんと100回余り。シャーッという快音をたて、色づいていく鶏を、正面のカウンターから見られるのも同店ならでは。

カウンターと厨房の間に耐熱ガラスを置けばこその迫力は満点。このパフォーマンスも、ご馳走でしょう。とはいえ、トミーシェフの真骨頂といえばやはりスープと乾貨(かんか)。

トミーシェフ自身「『香満楼』では料理の基礎を学び、『福臨門』では素材を見る目と乾貨のノウハウを勉強した。」と語ります。その力量を味わいたいなら、フカヒレや燕の巣などの高級乾貨が登場する25,000円のコースがいいでしょう。乾貨のなかでは比較的馴じみの深いフカヒレですが、ここでは、香港人垂涎の希少な海虎翅を使用。金糸といわれるほど太い繊維を持つそれは、歯応えがありつつも口当たりはなめらか。麺を食しているような食感も醍醐味です。

琥珀色の上湯が美しい「野菌忳水魚」。

このフカヒレ特有のゼラチン質のうまみを引き立てているのが、さまざまな料理のベースとなる上湯(ショントン)。フレンチのコンソメにも匹敵する広東の最高級スープです。

「鴻禧」のそれは、「福臨門」譲りのテイストながら、トミーシェフ流に若干アレンジ。「『福臨門』は、金華ハムと老鶏、豚の赤身肉でしたが、うちでは、豚肉をうまみの濃いすね肉に変え、もみじ(鶏の足先)を加えている。」そうです。約6時間、煮立たせぬようゆっくり炊いたスープは、雑味のない透明感のある味わいが秀逸。味わうほどに、深淵なうまみが味蕾に染み入り、深い余韻が舌に残ります。この上湯があってこそ、乾貨の味に輝きが増すといっても過言ではありません。

これをベースに下拵えしたすっぽんを加え、蒸し煮にしたのがご覧のスープ“野菌忳水魚”です。具は、乾貨の編笠茸と衣笠茸。すっぽんのうまみと上湯の滋味が重層的な味わい醸し出すなか、衣笠茸のシャクシャクとした食感が心地よいアクセントとなっています。

煮込んでいる最中の鮑。これで4日目。

また、トミーシェフの面目躍如たる逸品といえば、干し鮑。乾貨のなかでも、もっとも高級かつ扱いが難しいといわれている食材です。

同店では、35,000円のコースから“干し鮑の煮込み”(追加料金でさらに大きいものへの変更が可能)がお目見え。トミーシェフのお眼鏡に適ったのは、干し鮑のなかでも最高級品といわれている岩手県吉品産の干し鮑。

4日がかりで戻した鮑を、老鶏(ロウケイ)ともみじ、豚すね肉とともに水からゆっくりと煮込むこと2〜3日間。べっこう色になれば完成という、手間暇かけて作る自信作です。

最後に登場する「海老ワンタン麺」麺は香港の卵麺を使用。

トミーシェフのスープへのこだわりは、麺にも見られます。

通常なら、上湯は使われない海老ワンタン麺にも上湯を使う贅沢ぶり。しかも、海老は上質な車海老を使用。プリプリした歯応えとコクのあるあまみは、車海老なればこそでしょう。なるほど、この車海老の食感とうまみには、味わいの深い上湯がベストマッチ。コースの〆を飾るのにふさわしい佳品となっています。

料理は、クリスピーチキンやスープなど全13品ほど出る、おまかせのコースのみで15,000円から。紹興酒はもちろん、ワインも豊富に揃っています。

料理に合わせてシャンパーニュや紹興酒、ワインなど6種類を組み合わせたペアリング(8,000円)で、料理とのマリアージュを楽しむのも一興でしょう。


港式料理 鴻禧 (こうき)

港区西新橋2-13-6 ミタニビル1F
TEL:03-6268-8863
18時、20時30分 から選択(完全予約制)
定休日 日曜日、祝日
コース 15,000円~
https://koushiki-ryori.com/


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