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琵琶湖畔のオーベルジュのレストランがリニューアル。ローカルガストロノミーの注目店「SOWER(ソウアー)」

穏やかな水を湛えた琵琶湖畔には、川魚を使った郷土料理や、独自の発酵文化が育まれています。滋賀の人気オーベルジュ「ロテル・デュ・ラク」に2022年4月にオープンした「SOWER(ソウアー)」は、そんな滋賀独特の食文化、そして気候風土に魅せられたアメリカ人シェフが腕を振るうレストラン。エトランゼの眼差しを通して息吹を吹き込まれた、新しい料理に注目が集まり、全国のグルマンたちがその味を求めて足を運ぶレストランになっています。

Photo:Masakazu Kuroiwa
Text:Misa Yamaji(B.EAT)

外国人シェフが魅了された琵琶湖の食文化

大阪や京都にお住まいの方には、クルマで1時間半ほどで到着する絶好のドライブデスティネーションの琵琶湖。その北側のほとりに佇むオーベルジュが「ロテル・デュ・ラク」です。

関西圏からのリピーターも多い人気オーベルジュが、2022年4月に満を持してメインレストランをリニューアル。 新しく誕生した「SOWER」は、宿泊者はもちろん、宿泊者以外でも楽しめるデスティネーション・レストランとしてすでに耳目を集めています。

「ロテル・デュ・ラク」のアウトドアスペースからの眺め。神様が住むという竹生島が浮かぶ湖を見渡せる。

「SOWER」のシェフに就任したのは、アメリカ・ロサンゼルス生まれのコールマン・グリフィン氏。サンフランシスコの三ツ星レストラン「benu(ベヌー)」でスーシェフを務めたのち来日。東京では“世界一予約が取れない”といわれるデンマークのレストラン「noma」が開いた、レストラン「INUA」(ミシュラン二ツ星)でもスーシェフを務めた人物です。

彼は、「INUA」で働いていたときに、レストランに集まる各県からの日本の食材の種類の豊富さ、素晴らしさに気がつき、日本の地方への興味が高まっていったと話します。

特等席は広いキッチンを囲むカウンター席。シェフのコールマン・グリフィン氏をはじめ、スタッフがキビキビと動く様を眺められる。

琵琶湖畔に暮らし、見つけた豊かな食材を料理に

そんなときに、「SOWER」のシェフ就任の話が舞い込みます。パートナーでサービスマネージャーでもあるキャシーとともに二つ返事で受けたと言うコールマン氏。

滋賀に移住したのは2021年6月。そこから創業メンバーの食材調達チームとともに琵琶湖周辺の食材を求め、体験し、自分のなかでどう表現するかを考えてゆきました。

「このエリアは自然にあふれていて住んでいても気持ちいいですね。食材も豊富だし、独特の文化がある。例えば鮒寿司。僕もいろんな作り手のものをいただいたけれど、作る人によって味が全然変わるから面白いよね。チームメンバーで食材の調達を主に担っている諏佐さんが見つけてくれる食材を中心に、どんな料理にしようかと考えるのが楽しいです」。

まさに、このエリアのこの食材こそが、ここで食事をしていただく価値、すなわちユニークな体験につながると教えてくれました。

食事の始まりには、使われる食材の生産者たちの地図が配布される。

そんな食材に対する興味と愛はどこまでも広がるばかり。「このあたりは、春の山菜が素晴らしい。それから、川魚。琵琶マス、鮎、ウナギにスジエビ、氷魚、ナマズ……。いろんな種類があって、それぞれに特徴的。大好きな食材です」と話し出したら止まりません。

ちょっと見せたいものがあるんだ、そう言って厨房から持ってきてくれたのは大きな琵琶マス。

「琵琶マスを、自分で自然乾燥してエイジングしているんです。身もうまみがのるし、皮を乾燥させることで焼いたときにパリッとした食感が生まれるんです。それにすごく自然な状態で保存できるしね」とニッコリ。

1週間レストランでエイジングした琵琶マス。

こうして改めて話を聞くと、琵琶湖周辺には素晴らしい食材、そして食文化があるということに気づかされます。鮒寿司をはじめ、味噌や醤油などの発酵食、福井からつながる鯖街道、そして川魚を獲る伝統漁……。

長い時間かけて人々の暮らしとともに作られた食文化は、早くから“FARM TO TABLE”の文化が根付く場所で料理をしてきたコールマン氏にとって、違和感なく体に入ってきたのでしょう。

そうした食材や食文化を理解した上で、コールマン氏が料理をする上で最も大切にするのはバランスだと語ります。食材の力に頼りすぎるのもダメだし、味を重ねすぎてもダメ。食材を見極め、どう調理すれば美味しくなるかを一番大切に考えているそう。

「甘鯛、とうもろこし、玉ねぎ、きくらげ」

あくまで自然に、複雑なことや、奇をてらったことはしない。
そう、語るコールマン氏ですが、彼の眼差しを通して解釈された日本の食材を使った料理は、新しい味わいの連続です。

例えば、「非常に日本的な魚」とお気に入りの甘鯛の料理は、ウロコをパリパリに立たせて、シンプルに焼き上げて。付け合わせは、薫香を付けたとうもろこしのピュレにオニオンジャムに、なんときくらげをトッピング。フランス料理ではクラシックなとうもろこしと玉ねぎの組み合わせに、甘鯛のウロコのサクサクとした食感や、きくらげのコリコリとした食感を楽しめる一皿となっていました。

「アカイカとそうめん南瓜」

続く、アオリイカの料理もとてもユニーク。細切りにしたアカイカの下にはそうめんかぼちゃが。ソースともなっているクリアなスープには、ほのかな甘みと酸味があり、かつ力強いうま味も感じられます。実はこのスープ、キャベツやみょうがを水キムチの要領で発酵させたもの。さらに、スープに落としたイカの切れ端などを乾燥させてつくったオイルと、イカに絡めたハーブの香りが、さらに複雑でなんともいえない魅力的なアクセントになっています。 

シェフのコールマン・グリフィン氏。

こうした発酵の使い方は、鮒寿司にはじまる、滋賀に根付く発酵文化を意識しているのか……と質問すると、そういう面もあるが、それがすべてではないそう。

「『INUA』のトーマスシェフから発酵についての技法は学びました。確かにリンクしているところはあるよね。もともとあるローカルな発酵食材は面白いと思うけれど、僕が作る料理の技法として、あえて“発酵”を多用しようとは思いません。それは単なるテクニックの一つ。そうした発酵のテクニックを使って味に深みを出すこともあります。でも、一番はその目の前にある食材をどうしたら美味しく食べられるか。バランスを考えて、お客さまに喜んでもらえるように料理しています」。そう答えてくれました。

「いのちの壱、ビワマス、枝豆、塩漬けレタス」

そして、今回のコースの締めは、なんと琵琶マスと枝豆の土鍋ご飯!

「僕の料理はジャンルにとらわれずに、自由な発想とアイデアを大切にしています。この料理は、“いのちの壱”というおいしいお米を美味しく食べてもらいたいと考えました。お米をさらりと土鍋で炊いて、焼いた琵琶マスと一緒に食べたら絶対美味しいよね、と考えたんです」。

目の前でシェフ自らが一人分ずつ取り分けてくれる。

最初に見せてくれたエイジングした琵琶マスは、皮目をこんがり、身はふっくらと焼き、藁で香りをつけてから炊き上がったご飯に乗せます。お客さまの前で混ぜる前に、皮を切り身から、一枚一枚丁寧にはずすのがコールマン流。そのあとは豪快に混ぜて、一人ずつお茶碗によそってくれます。そして最後にはずした皮をトッピング。発酵レタスのピクルスとともにいただきます。

「こうすれば、クリスピーな皮のテクスチャーを感じられるでしょ」とコールマン氏はニッコリ。一口食べればさらっと炊き上がったお米に、もちっとした枝豆が混じりあい、ふっくらとした琵琶マスの香りと甘みが立ち上ります。そして最後にパリパリと香ばしい皮の音・香り・味わいが追いかけてくるという魅力的な一品になっていました。

型にはまらない自由闊達なアイデアがちりばめられたコース料理は、全13品。臨場感あふれるキッチンを眺めながら食べる“湖北キュイジーヌ”は滋賀の新しい魅力を私たちに伝えてくれます。

ディナーを満喫するには宿泊がオススメ

「SOWER」の食事は外来でも楽しめますが、クルマでの旅ならぜひ「ロテル・デュ・ラク」に宿泊をすることをお勧めします。翌日起きたときに、目の前に広がる緑と琵琶湖の風景に、心が洗われるでしょう。ディナーのときに心置きなくアルコールを楽しめるのも魅力的です。

朝食は、グラノーラや新鮮な卵、古代小麦を自家挽きして焼いたパンで作るタルティーヌが楽しめます。

ちなみにどうしても日帰りでレストランを楽しみたい、というゲストには、最寄り駅までの送迎もしてくれるので、その場合は事前に予約を忘れずに。

湖畔に面した気持ちのよい客室。

琵琶湖を巡る、古くて新しい食の冒険が味わえるオーベルジュへ、ドライブがてら出かけてみてはいかがでしょうか。

SOWER(ソウアー)

住所:滋賀県長浜市西浅井町大浦2064(ロテル・デュ・ラク内)
電話番号: 0749-89-1888
コース料金:16,500円~(税サ込み)
定休日:火・水曜(ほか、不定休もあり)
https://restaurantsower.com/
※ロテル・デュ・ラク宿泊の場合、1泊2食付き2名1室の1名料金38,500円~(税・サ込み・入湯料別)


特約店「ロテル・デュ・ラク」ではレクサスカード会員さま専用の特別プランがございます。
詳細はこちらから

プレゼント

レクサスカード会員の皆さまへ「ロテル・デュ・ラク」朝食付宿泊券を1組2名さまの方にプレゼントいたします。穏やかな琵琶湖畔で過ごす優雅な休日をお楽しみください。*宿泊はロッジではなく、ホテル棟の客室になります。「SOWER」の食事は付いておりません。下記フォームからぜひご応募ください。

※使用期限は2022年12月1日(木)から2023年5月31日(水)まで。2022年12月20日(火)~2023年1月3日(水)、2023年4月29日(土)~2023年5月7日(日)までの繁忙期、冬期休館日(2月中旬を予定)は適用外。

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