Yokota's Golf Lesson Series
エキスパートに学んでランクアップ!
横田英治の『プロフェッショナルの思考』
VOL.6 パッティング前に行う準備
技術もさることながら、プロとアマチュアで大きく差があるのが「ゴルフに対する考え方」。技術の習得には時間を要するが、横田英治プロが明かしてくれた「プロフェッショナルの思考」には、アマチュアゴルファーも今すぐ取り入れられ、スコアアップにつながるポイントも多い。最終回は、実戦でパッティングを行う前にやるべきルーティンを学ぼう。
撮影協力/アクアラインゴルフクラブ(アコーディア・ゴルフ)
グリーンに乗る前に傾斜を把握する
パッティングでは、「ストロークを真っ直ぐ」「芯で打つ」といった技術的なレッスンはよくありますが、実はその前にすべきことがあります。打つ前の準備がすごく大事なので、最後にそれをお伝えしたいと思います。
グリーンに向かってフェアウェイを歩いていくときに、30ヤードくらい手前の地点に来たら、グリーン全体をまず見るようにしてください。ちょっと離れたところから、グリーン面だけではなく、グリーンの周りも含めた全体の様子を意識することで、大まかな傾斜が伝わってきます。
これが、いざグリーンの上に立ってからでは、自分の足元の状況(=傾斜)は見にくくなってしまいます。グリーンオンしたからと安心しないで、歩きながらも全体の景色を見るようにしましょう。バッティングの勝負はここから始まっているのです。
グリーンまで残り100ヤードくらいに来たら、カートから降りて歩いたほうが絶対にいいです。フェアウェイの傾斜を感じられるし、そのホールの基本的な傾斜は、例外もありますがそんなには変わらないので、歩くことで、全体的にこういう傾斜だなというのがわかると思います。
最近流行の「エイムポイント」も、足の裏の感覚で傾斜を調べています。歩くことも同じで、人間の感覚をパッティングに生かしましょう。
「最後の1~2メートル」の読みが大事
例えば、ピンまで8メートルのところにボールが乗ったとします。傾斜を見るときに、もちろん全体を見るのですが、より重要なのは8メートルのうち、カップまで最後の1~2メートルです。
なぜかというと、ボールの転がりの勢いが弱まって、傾斜の影響を大きく受けるのが最後の1~2メートルだからです。
ロングパット、ミドルパットに関して言うと、全体の大まかな傾斜はもちろん大事ですが、ボールが前に進もうとする自走能力、エネルギーがなくなったときに大きく切れます。
前半の4メートルくらいまでは、ボールに自分が行こうとするエネルギーがあるので、そう大きく曲がりません。
前への推進力が弱まってから曲がってくるので、ラインに迷った場合には、後半のラインのほうを重要視して打つと、とんでもない読み違いにはなりにくくなります。
逆に言うと、転がり始めではしっかりボールにエネルギーを与えないといけないので、ちゃんとパターの芯に当てコンッと打つ必要があります。スタートでもう曲がっているようでは話になりません。
「ラインの最後の1~2メートルを読む」と言いましたが、アマチュアゴルファーの方は、ラインがわからないとついストレートに打ってしまいがちです。
そうではなく、わからない場合でも50パーセントの確率では当たるので、フックかスライスのどちらかに決めること。
グリーン上には真っ直ぐのラインはなく、必ずどちらかに曲がります。真っ直ぐに狙ってしまうと100パーセント外れることを意味するので、どちらかに決めて打ちましょう。
素振りとセットアップは本番の準備
ラインを決めたらいよいよパッティングに入ります。ルーティンは(1)素振り、(2)セットアップ、(3)打つ、という順番です。
素振りはカップを見ながら行います。下を見つめながら素振りする方が多いのですが、必ず打ち出す方向、決めたラインを見ながら行ってください。このとき、素振りの強さやスピードをイメージして距離感を合わせます。
次のセットアップは、パターのフェース面をラインに合わせるという大きな意味があります。これは方向性に直結します。
そして、本番では素振りと同じ振り幅を振る。素振りで距離感、セットアップで方向性を整え、それを合わせて打つのですから、ミスの度合いは圧倒的に少なくなります。
ところが、アマチュアの皆さんは素振りとセットアップがおろそかゆえに、いざ打つときになって「スライスの上りだからこうしよう」と、方向も距離も調整しようとする。それではうまくいかないのも当然です。
本来、最後の「打つ」のときには全部の準備が出来上がっていないといけません。
それまでなんとなくやっていた方は、ルーティンの重要性を再確認して次回のラウンドに生かしてください。
「カップの入口」を決め、そこから入れる
「最後の1~2メートル」が大事だと説明しました。傾斜的にスライスだというのはわかったとして、具体的にどう読めばいいのでしょうか。
プロの場合は「カップのどこから入れるか」、つまり入口をまず決めます。スライスラインだったら、カップの左サイドから入れると決める。すると、少なくともラインよりは左に打ち出してこないといけません。
ボールのある位置、すなわち正面からカップを見たら、センターは文字通り真ん中ですが、上手な人はラインで考えるので、ライン的にはカップの左(正面から見て)がセンター、言い換えると入口になります。
なかなかラインが読めなかったら、グリーンにバーッと水をまいたらどういうふうに流れていくか、といった具体的な映像を自分の中で作ると、イメージが湧きやすいと思います。
カップの入口を決めて、その入り口から入るように打つ。スライスラインであれば、ずっとボールがカップの左側を転がっていることになります。
これは「プロライン」「アマライン」の話とも関係してきます。
スライスラインを例にとると、曲がり幅を多めに読み、カップの左側からカップに寄ってくる軌道を描くのがプロライン(カップの左に外れる)。一方、浅めに読むのがアマラインで、スライスならボールはカップの手前から右に反れていきます(カップの右に外れる)。
プロラインの場合、外れたと思ったパットでも100球打てば何個かは入るんです。でもアマラインは、100球とも確実に外れる。
なぜなら、カップの下側に外すアマラインはどんどん離れていくのでノーチャンスなのに対し、カップの上側に外すプロラインは、ときには想定した以上に寄ってくることもあるので、カップインの許容範囲が広いのです。
このことも頭に入れて、ライン読みを心がけるといいでしょう。
ショートパットでの注意点は、繰り返しになりますが、真っ直ぐのラインというものは絶対にないということ。距離が短いからとカップ真ん中に強めに打つと、「お先に」の距離でも外してしまうことになります。
真っ直ぐだなと思っても、カップの真ん中に立っているピンの右の側面、あるいは左の側面を狙う。ピンの幅の中でもいいから左右にラインを決めると、ショートパットが入る確率はぐんと上がります。
ピンの右側を狙うのか、それとも左側なのか。短いパットであっても丁寧にラインを読んでほしいと思います。
横田英治(よこたえいじ)
1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまでに多くのプロ・アマチュアゴルファーにレッスンを行っている。2022年6月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」をオープン。レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。なお、横田プロ自身もレクサスユーザーで、RXを愛用している。
PRESENT
会員制ゴルフサロン「クラブハウス」の体験レッスンを希望される方3名(先着)に、グラファイトデザインのスイング練習器具「アライメントスティック」2本セット(非売品)をプレゼントします。クラブハウス(TEL043-441-5466 担当・小内氏)までご連絡下さい。
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