Lifestyle

Good clubs make a good score.
ゴルフクラブ・アナリスト鹿又芳典の
「ゴルフクラブのお話ししましょう!」
VOL.6「クラブに仕事をしてもらおう」

クラブフィッターの第一人者・鹿又芳典さんが、スコアアップやスキルアップにつながる賢いゴルフクラブ選びについて語るこのコーナー。第6回のテーマは「シャフトについて」。既製モデル自体のバリエーションが増えているほか、カスタム用にもさまざまなシャフトがあります。スコアやショットを向上させてくれるシャフトは、どのように選べばいいのでしょうか。

クラブが短くなるほどシャフトは重くなる

ドライバーで220ヤード前後打つ方のヘッドスピードだと、ドライバー用シャフトの平均重量帯は40~50グラム台というのが主流です。
そして、フェアウェイウッドからユーティリティ、アイアンといく流れの中で、必ず「長いクラブよりも短いクラブのシャフト重量が軽くならない」ことが鉄則。ドライバーが50グラム台だったら、フェアウェイウッドは最低50グラム台を確保してください。

参考例でいうと、平均的な女子プロのセッティングは、ドライバーが50グラム台で、フェアウェイウッドも同じ50グラム台か、ショートウッドで60グラム台前半ぐらいまで。ユーティリティは60~70グラム台、そしてアイアン70~80グラム台という設定が今はとても多いです。

女子でいちばん使用率の高いアイアン用のスチールシャフトが80グラム台で、カーボンだとそれよりちょっと軽いほうがいいので60~70グラム台。みなさんも、そのあたりの重量帯を目安に探していくといいと思います。

選び方1「振りやすさを重視」

今、シャフトの多様化がとても進んでいます。中でも顕著なのがドライバー用とアイアン用で、その理由は、ヘッドが変わってきているから。
ドライバーのヘッドはスピン量が少なくなり、飛ばしやすくなっています。アイアンも高機能になって、ロフトが立ちつつ、球の高さをしっかり出さないといけないヘッドになっているので、そういう弾道が打ちやすいようなシャフトが次々に開発されてきているのです。

そういう背景がある中で、シャフトを探す際には大きく分けて2つの選び方があります。
1つは、自分が振りやすいものを選ぶ。自分のスウィングのタイプだったり、テンポだったり、持ったときの重さの感じ方だったり、とにかく自分主導で振りやすいと思うものを使うという選び方です。
ただし、振りやすい=現状に合っているということなので、自分のパフォーマンスを上げるわけではありません。したがって、そのシャフトが自分には振りやすいけれど、どうしてもスライスしてしまうということも起こり得ます。その場合は、球がつかまりやすいヘッドを組み合わせて補ってあげる。振りやすさはシャフト、弾道に対する機能はヘッドに求めるのです。
この選び方には、振りやすいから常に同じテンポで振っていけるという長所があります。

選び方2「シャフトの機能を重視」

「振りやすさ」とは真逆のもう1つの選び方とは、「シャフトに機能を求める」。「自分はドローをしっかり打ちたいから、ドローが出やすいシャフトを選ぼう」「ボールが上がらないから、少し上がりやすいシャフトを選ぼう」、あるいは「ミート率が悪いから、ボールに当てやすいシャフトを選ぼう」といった選び方です。

この基準で選んだ場合、シャフトに機能を求めているので、うまく打ったときにはすごくいいパフォーマンスをします。ただし、自分主体ではなく、結果を主体にして選んでいるので、自分のフィーリングをシャフトに合わせる練習が必要になります。

極端にわかりやすく言うと、軽くて長いシャフト。うまく打ったらすごくいいパフォーマンスを発揮します。でも、うまく打てるように練習しなければ、使いこなせなくなってしまいます。
逆に、自分主体で選ぶなら、ある程度重くて短いシャフトのほうが安定してボールに当てられます。でもこの場合、安定して当たる一方、パフォーマンスは上がらないので、ヘッドの機能だったり自分の頑張りだったりでカバーしないといけません。

自分はどちらを求めるのか、というのをしっかりと見極めてシャフト探しに臨んでほしいと思います。

シャフトを探す際には大きく分けて「振りやすさを重視」するか「機能を重視」するか、という2つの選び方がある

スウィングのタイプにシャフトを合わせる

2つの選び方があるのはシャフト全般の話ですが、中でもアイアンのシャフトは今、すごくバリエーションが増えています。その理由は、昔のアイアンとは明らかにヘッド形状が違う「飛び系ヘッド」の登場にあります。
飛び系ヘッドはソール幅が広く、重心深度が深く、なおかつバウンスも少ない。これらの効果により、打ち込まなくてもしっかりボールが上がっていく形状のアイアンが増えているのです。

そういうアイアンのヘッドに対しては、先端が少し動いて、ボールの打ち出しを高くしてあげられるシャフトのほうが、ヘッドの機能をさらに発揮させることができます。
逆に、打ち込むタイプのスウィングをしていて、アイアンも打ち込むタイプのヘッドを使っている方が、先が動くシャフトを組み合わせると、方向性が悪くなってしまったりします。
なので、自分の使うヘッド、スウィングタイプを十分に理解した上でシャフトを探していくと、より自分のパフォーマンス、ヘッドのパフォーマンスを生かしやすくなると思います。

使いたいクラブの純正シャフトを基準に「決める」

例えば、日本シャフトの80グラム台のアイアン用スチールシャフトといっても「NSプロ」「ゼロス」「NSプロneo」があって、それぞれシャフトの剛性が違います。さらに、スチールだけではなくカーボンシャフトもあります。

これらの中から選ぶのは大変な作業ですが、まず「決める」ことが大事です。振りやすいものがほしいのか。それとも、自分が求める球筋を手に入れたいのか。これまでお話ししてきた「2つの選び方」という考えです。

「決める」ことをしたうえで選ばないと、その選択が成功したのかどうかがわかりません。もし失敗したとしても、「こういうふうにやって失敗したから、次はこうしてみよう」と学習することで、だんだん自分に合ったものが見つかってきます。

そのときに基準となるのが、自分が「使いたい」「そのコンセプトにピッタリだ」と思うブランドのモデルの純正シャフトです。
「ゼクシオ」や「グローレ」など、必ず各メーカーは年齢やキャリア、ヘッドスピードに合わせたブランドを持っています。それらのブランドの純正シャフトは、ターゲット層に対して一番合いやすいように作られているので、そこが基準になりやすいのです。なので、自分が合っているか合っていないかわからなかったら、そのモデルの純正品に入っているカーボン、スチールシャフトがベースになると思って間違いありません。
純正シャフトをベースに、「それよりももっとこうしたい」というふうに踏み込んでいって探すといいと思います。

鹿又芳典(かのまたよしのり)

1968年東京都生まれ。初級者からトップアマ、プロまで多くのゴルファーから信頼を集めるクラブフィッター。年間の試打クラブ数は2000本に及び、雑誌、テレビなど各ゴルフメディアでも活躍。ゴルフショップマジック(千葉県)代表

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