Lifestyle

Good clubs make a good score.
ゴルフクラブ・アナリスト鹿又芳典の
「ゴルフクラブのお話ししましょう!」
VOL.4「アイアンの”上下”について」

クラブフィッターの第一人者・鹿又芳典さんが、スコアアップやスキルアップにつながる賢いゴルフクラブ選びについて語るこのコーナー。第4回は「アイアンの”上”と”下”のクラブのセッティングについて」がテーマです。今回も、ベテランゴルファーには目からウロコの新常識が出てくるので注目!

アイアンのいちばん上の距離に重なるクラブを入れる

アイアンでは、「何ヤードまでキャリーで打てるのか」がすごく大事になってきます。というのも、ゴルフ場に行くと低い球を打ちたい状況が出てくるからです。例えば、球がいくら転がってもいいから、左右に曲げたくない場面。また逆に、左右にはちょっと曲がってもいいから、高さやキャリーをしっかり出したい場面もあります。
ラウンド中はこうした状況に必ず遭遇しますが、それを技術でクリアしようとすると難しくなります。

例えば160ヤードをキャリーで打たないといけない状況で、パー3でティーアップしてあったら、アイアンのほうがラインも出しやすく、打ちやすいと感じると思います。
でも、左足下がりのフェアウェイから、池越えのグリーンに向かって160ヤード打とうと思ったら、アイアンだと打ち出しが低くなり、キャリーが出にくいので厳しい。
そのときに、自分の技術で160ヤードのキャリーを出すよりも、簡単で確実な方法があります。

それは、アイアンのセッティングは7番からで、7番アイアンで160ヤード打つ人であれば、それより1つ”上”のクラブに、同じ160ヤードを高い球で打てるユーティリティやフェアウェイウッドを入れてあげるのです。
球質をクラブで打ち分けられるようなセッティングにすると、コースですごく使いやすくなります。

アイアンで打ついちばん上の距離のところには、高い球で同じ距離を出せるクラブを入れておいたほうがいい。「クラブセッティングは10ヤード刻みのピッチで」というのは、もう10年前の古い常識です。

残り160ヤードで手前が池ではなくバンカーだとしても、砲台のグリーンだとしても、結果的には同じように高い球が必要になります。なので、同じ距離で弾道を打ち分けられる2本のクラブを入れておくことが、スコアメイク上ですごく大事になっていくのです。

160ヤードを刻むという選択肢は、たぶんプレーヤーの中ではありませんよね。なぜなら、「狙いたい」「乗せたい」「せめてグリーンの周りには持っていきたい」距離なので。例えライが悪いところからでも、この距離であれば同じ結果を望むのがゴルファー心理なので、その望みに対応しやすいクラブを入れておいたほうがいいと思います。

同じ「ユーティリティ」でも大きく違う

今の例の続きになりますが、7番アイアンと同じ160ヤードを打つクラブとして、どういったユーティリティなり、フェアウェイウッドを選ぶべきか。
特性としては、形状がアイアンに近ければ近いほど、アドレスしやすく、左右のブレを減らしやすくなります。
反対に、フェアウェイウッドに近ければ近いほど、打ち出しが高く、最高到達点をしっかり出してくれやすい。

また、ユーティリティでもモデルによってソール幅が違います。ウッド型といっても、よりウッドに近く、球が上がりやすいユーティリティがあれば、よりアイアンに近いものも。
多様なモデルが発売されているので、もともとアイアンが得意で、アイアンの感覚で打ちたい人であれば、アイアンに近いユーティリティから、ロフトが立っていくに従って、ソール幅が広いモデルにチェンジしていけばいい。

球を上げるのが苦手で、とにかく上がりやすいものを探すなら、ウッドに形状が近いユーティリティでロフトの寝ているものから、7番ウッドや9番ウッドにつなげていけばいいのです。

形状がアイアンに近ければ近いほど、アドレスしやすく、左右のブレを減らしやすく、反対にフェアウェイウッドに近ければ近いほど、打ち出しが高く、最高到達点をしっかり出してくれやすい。

アイアンの “下” こそ距離の階段を作りたい

続いて、アイアンの”下”の話をしましょう。モデルによって、ピッチングウェッジだったり、アプローチウェッジだったりしますが、自分が使っているアイアンセットでいちばんロフトの寝ているウェッジ。それよりも飛ばさないクラブをどういうふうに考えるのか、はとても重要です。

先に述べた”上”のクラブよりも、もっとターゲットが狭くなる。「絶対にグリーンに乗せたい」ではなく、あわよくば寄せたい距離です。例え難しいライからだとしても、狭いターゲットを狙いたくなります。

女子プロの間では、ピッチングウェッジの下に3本入れるのが主流。男子プロも4、5本のウェッジを入れている。推奨するのは、アイアンセットのいちばん寝ているクラブのロフトから4度ピッチにすること

「自分は100ヤード以内が得意だから、クラブ2本あればいい」「1本あれば足ります」という方は、好きなようにしてもらえばいいです。でも厳密に言うと、最低でも15ヤードくらいのピッチできれいに、しかもいろいろな場所から距離を打ち分けたい。
それなのに、ピッチングウェッジの下にサンドウェッジ1本だけで終わってしまっている人が少なくありません。

推奨するのは、アイアンセットのいちばん寝ているクラブのロフトから4度ピッチにすること。ヘッドスピードによって変わりますが、4度ピッチでだいたい10〜15ヤードくらい変わります。
なので、アイアンセットの中でいちばん寝ているクラブのロフトが何度か、というのをまず知ってほしいと思います。

今使っているアイアンのピッチングウェッジが42度で、その下に50度のウェッジしか持っていないのであれば、間に46度のウェッジを入れる。フルショットで、10〜15ヤードピッチの距離の階段をきれいに作りたいのは、”上”ではなくて”下”のクラブです。

今、女子プロの間では、ピッチングウェッジの下に3本入れるというのがだんだん主流派になってきています。男子プロだと9番アイアンの下からもうウェッジになって、4〜5本入れている選手が多いです。

ウェッジ、ショートゲームの重要性をすごく認識した上でクラブ選びをしているプロがとても多い。技術が高いプロでさえそうなのだから、アマチュアはもっとクラブに頼ったほうがいいのです。

鹿又芳典(かのまたよしのり)

1968年東京都生まれ。初級者からトップアマ、プロまで多くのゴルファーから信頼を集めるクラブフィッター。年間の試打クラブ数は2000本に及び、雑誌、テレビなど各ゴルフメディアでも活躍。ゴルフショップマジック(千葉県)代表

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