横田英治のBack to Basics
「悩んだら、基本に戻ろう」
VOL.1 ドライバー編
長く続けているうちに、自分なりのアレンジが入ってきて、スウィングがどんどん崩れてしまいがち……。これがゴルフの、奥深くも難しいところ。悩んだり迷ったりしたときは、基本に戻るのが実は近道なのだ。レッスン経験豊富な横田英治プロが、クラブ別の「戻るべき基本」と、実践で役立つテクニックを紹介。第1回はドライバー編をお届けします。
ドライバーは、実はやさしいクラブだった
ドライバーを苦手にしているゴルファーの方は多いと思います。でもドライバーは、実はみなさんが思っているよりもやさしいクラブなのです。
その理由は3つあります。まず、14本のクラブの中で、ボールが当たるフェース部分の面積がいちばん大きいこと。2番めに、クラブの中で唯一、ティーアップして打てること。そして最後が、平らなところ(ティーイングエリア)で打てること。ドライバーには、これら3つの好条件が常に揃っています。
クラブが長い。ロフトが少ない。だから難しいとマイナス面ばかり挙げるのではなく、こうしたプラス要素に目を向けることで、自分の脳に刻まれている、ドライバーに対する「曲がる」「怖い」といった意識をとってあげましょう。
同じヘッドスピードの女子プロとの違いは…
とはいえ、現実の話をすると、「女子プロが250ヤード飛ばすのに、同じヘッドスピードの自分は当たってもせいぜい220〜230ヤード……」という方が多いと思います。
両者のどこに違いがあるかといえば、打ち出し角とスピン量です。女子プロは打ち出し角が高く、スピン量は少ないのに対し、アマチュアは打ち出し角が低く、スピン量が多い。これが、ヘッドスピードは変わらないのに飛距離の差が生まれる原因です。
では、どうして打ち出し角が出ず、スピン量が多いのか。それはヘッドの入射角です。アマチュアの多くは、上から打ち込むような鋭角な軌道でボールをとらえるため、打ち出し角が低く、スピン量も多くなってしまいます。ですから入射角を修正すれば、女子プロの飛距離に近づけるのです。
左ひじが胸の上に来るようにアドレスしよう
とはいえ、これまで培ってきたスウィングをガラッと変える必要はありません。アドレスするときに、左ひじのポジションが胸の上に来るように構えるだけで完了です。
このようにセットした左手に右手を添えると、肩のラインはスクェアかややクローズになります。この状態からテークバックすれば、クラブがスムーズにインサイドに上がり、ダウンスウィングでもインから下りてきて、入射角が緩やかなインパクトを迎えることができます。
アマチュアに多いセットアップが、左ひじが胸の上ではなく、胸の横に来るようにセットしてしまうパターン。そのポジションにある左手に右手を合わせようとすると、右肩が前に出て肩のラインが開いてしまいます。クラブはアウトサイドに上がり、ダウンでも外から鋭角に下りてきて、上から打ち込むインパクトになるのです。
また、左ひじが胸の上に来るアドレスでは、身体の右サイドのエリアを使えるので、テークバックがスムーズに上がり、パワーやスピードをためることができます。
一方、左ひじが胸の横に来るアドレスだと、極端に言うと身体の左サイドのエリアだけでクラブを振るスウィングに。それではパワーもスピードも出ず、飛距離アップは望めません。
ちょっとしたテクニックですが、これをやるかやらないかで大きな違いが出ます。ぜひみなさんにも採り入れていただきたいと思います。
すぐにできる
実戦で役立つ
横田流テクニック
「朝イチのティーショットはどう打つ?」
ドライバーショットの中でも、とくに神経を使うのが朝イチ。「ちゃんと飛んでくれるのか」という不安もあるし、後ろの組が見ているプレッシャーもかかってきます。朝イチのティーショットを乗り切るためには、「自分なりのルールを作っておくといいでしょう。
私がおすすめするのは、「ベストではないが、朝イチはベターを選ぼう」という考え方。具体的には、ナイスショットを狙うのではなく、”質のいいチョロ”を打ちにいくのです。そのための準備は3つあります。
●ステップ1
ティーアップの高さを通常に比べて2/3に低くする
通常が3センチの方であれば、2センチにします。ティーアップを逆に高くするアマチュアが多いと思いますが、どんな球筋が出るかわからない朝イチの状況では、上がるとそれだけ曲がるリスクが増えてしまいます。
●ステップ2
グリップを通常より1インチ短く持つ
ダフると距離がまったく出ません。転がって、ランで距離を稼ぐチョロが目標なのですから、グリップは短く持ちましょう。短く持つことでミート率が上がる効果もあります。
●ステップ3
グリップを通常より30%強く握る
これも、逆にグリッププレッシャーを弱めて握ろうとする方が多いはず。でも、経験値や練習量が少ないゴルファーが柔らかく握って振ろうとすると、スウィングそのものがクネクネと緩んでまともに当たりません。
”質のいいチョロ”が打てれば、ボールはそこそこ転がり、フェアウェイの幅に置くことができます。ボギーで終えれば上々のスタート。その後もボギーが続くようなら、そのままリズムに乗っていけるでしょう。
プロフィール
横田英治(よこたえいじ)
1971年広島県生まれ。15歳でゴルフを始め、1996年プロテスト合格。これまで多くのゴルファーにレッスンを行い、今季好調の岸部桃子プロも指導する。7月1日、東関道・千葉北インターから500メートルという恵まれた立地に会員制ゴルフサロン「クラブハウス」がオープン予定。
レクサスカード会員の皆様が入会の際には入会特典として「クラブハウス オウンネームゴルフボール1ダースをプレゼント。