Lifestyle

日本が誇る手仕事
「OIGEN」がアップデートする南部鉄器の伝統

くらしの中で使い込まれ、手入れをしながら長く使いつづけることができる南部鉄器。岩手県の厳しい自然とともにくらす人びとにとって、いろりにかけた鋳鉄の釜で炊かれたご飯や鉄鍋で調理した汁の美味しさは、日々の喜びであったに違いない。「OIGEN」は、21世紀の生活様式の中で南部鉄器がもたらす美味しさや喜びを探求しているブランド。機能性とデザイン性を兼ね備えた数々のアイテムを使うことで伝統は継承され、今に、そして未来へと続いていく。

Text:Tomoko Shimizui
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

豊かな自然風土がもたらした南部鉄器の伝統

北上川流域に良質な砂が流れ込み、また北上山地には良質な鉄や粘土、燃料となる木材も豊富な岩手県。

鉄器産業はこの地で、約900年前の平安時代末期に、奥州藤原氏が江州(現在の滋賀県)から呼び寄せた鋳物職人に仏具などをつくらせたことが始まりと伝えられている。

近代に入り、昭和34年(1959年)頃には、岩手県でつくられてきた鉄器が「南部鉄器」と呼ばれ普及していった。

「OIGEN」の工場における鉄器の鋳造風景。職人の技術と経験が仕上がりを左右する。

鉄鋳物(鉄器)は、熱して溶かした鉄を砂で作った型に流し込み、温度が下がり固まったら、砂型を崩すことででき上がる。

砂型の中には製品の形をした空洞と、溶けた鉄を流し届ける「湯道」と呼ばれる鉄が走る道があり、「湯道」の的確な設計は、鉄と砂の性質を熟知した職人でないとできないという。

製造するアイテムの大きさや特徴によって適切な鉄の温度も異なるため、作業には経験も必要だという。最終的な製品のでき具合は、型の中の砂の粒子が固まった鉄の表面にそのまま映し出される「鋳肌の美しさ」によって判断される。

大正時代のものと思われる及川源十郎鋳造所の工場。当時は鉄や木炭、また完成した製品は「馬コ」と呼ばれる荷馬車で運ばれていた。

水沢エリアで嘉永5年(1852年)に創業した及川源十郎鋳造所は、明治・大正時代は主に飯を炊くつば釜、汁用の鍋、牛馬などの家畜用のカイバ桶などを製造していた。

昭和22年(1947年)には及源鋳造と改称、1970年代から外部のデザイナーを起用し、機能性に加えデザイン性でも評価を高めていった。現在では、日本はもとよりニューヨーク近代美術館(MoMA)でも紹介されるなど海外でも広く「OIGEN」の名称で知られ、生活に寄り添いながら南部鉄器のさまざまな楽しみ方を提案している。

例えば1776年に誕生し、現在に至るまで50年以上のロングセラーとなっている「万能鍋」は、石膏原型職人の「作った料理をそのままテーブルに出したい。温かいまま食べたい」という想いから生まれたアイテムだ。蒸す・炊くなどさまざまな料理に活躍し、専用の鉄蓋を使ってパンをトーストしたり、ハンバーグやグリル野菜を楽しむステーキ皿としても活用できる。

ニューラウンド万能鍋22cm(W300×D230×H85mm、底径120mm、深さ59mm)20,900 円(税込み)

鉄瓶で沸かすことで湯がまろやかに

南部鉄器と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、鉄瓶かもしれない。鉄瓶で沸かした湯は軟水化して舌触りがまろやかになり、お茶やコーヒーの風味をより一層引き立てる。

鉄分の補給にも役立つことから、近年では毎朝の日課として白湯を飲むために鉄瓶を購入する人も増えているという。鉄瓶に水を入れてフタを外すかずらして10~15分ほど弱~中火にかけ、沸騰したら火を止めて湯呑やマグカップに注ぎ、体温より少し高めの50度程度に冷ませば飲み頃の白湯になる。

鉄瓶で沸かした白湯は、丁寧にくらす1日の始まりにふさわしい。
左:南部鉄瓶の伝統模様「アラレ」があしらわれた、代表的なデザインの鉄瓶。
東雲アラレ1L(W212×D172×H181mm、底径124mm)19,800 円(税込み)
右:鉄瓶としてはもちろん、テーブルウェアやインテリアとしても映えるフォルム。
鉄瓶 八千草 1.2L(W200×D152×H208mm、底径122mm)24,200 円(税込み)

あつあつの料理を、そのままテーブルに

ずっしりとした重みのある鉄鍋もまた、南部鉄器を代表する昔ながらのアイテムだ。鉄蓋の重みで熱と食材のうまみを閉じ込め、美味しさを引き出すことができ、プロの料理人たちからも人気を集めている。

グリル料理や煮込み料理から炊飯まで幅広い調理が可能で、「OIGEN」ではレシピの開発や普及にも力を入れ、さまざまな鉄鍋の楽しみ方を提案している。
モダンなデザインが食のシーンにさりげなく馴染むのも、人気の理由だ。

クックトップやココットなど、「OIGEN」の鉄鍋はオーブンから取り出してそのままテーブルへ運べば、スタイリッシュな器へと変身する。
左:大きめの魚や野菜がごろごろ入る、角形で深さのある鉄鍋。
クックトップ 角浅形(W346×D195×H134mm、底径240×158mm、深さ65mm)24,200 円(税込み)
右:食材のうまみを逃さず、短時間で芯まで火を通すダッチオーブンは、アウトドアシーンでも活躍。
ダッチオーブン天火 両手 22cm(W342×D230×H184mm、底径182mm、深さ116mm)33,000 円(税込み)

使い込んで自分だけの道具に育てる

無骨で丈夫な南部鉄器は、使う人が「育てる」道具だ。鉄瓶や鉄鍋と並んでファンが多いフライパンは、日々の調理の中で油が馴染み、黒く艶やかに味わいを増していく。手入れをしながら長く使い込むことで一生の相棒となり、次の世代へと受け継いでいくことも可能な南部鉄器を、さまざまなシーンで大切に活用したい。

玉子焼きを返しやすい角度にこだわった最新作。玉子焼きはもちろん、少量のおかずを作るのにも便利。
鉄のたまご焼きkokotama(W328×D145×H66mm、底径124×124mm、深さ33mm)8,800 円(税込み)

OIGEN

電話番号:0197-24-2411
URL:https://oigen.jp/

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