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進化しつづけるライカの「ライカM11/ ライカM11モノクローム」は心を揺さぶる名機だ

ドイツのライカがそのブランドの象徴ともいえるM型ライカのボディを、実に5年ぶりに刷新し「ライカM11」を発売したのは2022年1月のこと。デジタルカメラの世界において5年の月日は実に長い。光を捉える眼となるCMOSイメージセンサーは、最大6,030万画素に。さらに2023年4月には、モノクローム撮影専用の「ライカM11モノクローム」を発売。職人が作りあげる工芸品といえるカメラは、カラーであっても、モノクロであっても驚くほどに日常を情感あふれる写真として切り撮ることができる。手にした者の心を揺さぶる名機の最新機種を紹介しよう。

Text:Masakazu Honda
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

手仕事と最新技術が融合して誕生した新しい「ライカM11」

「ライカM11」1,298,000円(税込み)

ライカのカメラが、その堅牢で耐久性に評価を受けてきたことは、1914年のはじめてのライカから続くものだ。その名声と評判は、同じくライカ銘が刻まれたレンズの優れた光学性能からも得られているが、同時に設計技術と職人による精巧な工芸によって確立されたカメラボディからも得られてきた。

ブラックモデルは従来機に比べ20%もの軽量化を果たしフィルム時代のM型ライカに近いサイズと重量に。

熟練工による手作業での組み立てによる優れた質感、耐久性、操作感は、数値化される性能を超え、レリーズを押し下げ、シャッター幕が切られるその一連のプロセスを芸術的なフィーリングの領域にまで高めている。

その完成された感触、感性に訴えかける完成度の高いボディの系譜は、1954年に発売された「ライカM3」に端を発している。その後、さまざまな時代を生き抜き、レンズ交換式カメラの主流がレンジファインダー式から一眼レフ式へと変遷する中でも進化を遂げ、1984年に発売した「ライカM6」でライカは唯一無二のメーカーとして復活を遂げた。

その後、ライカは2006年にデジタル撮像素子を搭載した最初のM型デジタルカメラ「ライカM8」をリリースし、2008年の「ライカM9」で35ミリフィルムと同サイズのセンサーを搭載。2017年の「ライカM10」ではデジタル主流の時代に対応して内部設計を一新。フィルムカメラ時代と同じ厚みのボディを実現した。

現代の名機として、その高い完成度から多くの派生モデルも生み出した「ライカM10」。それをさらに見直し、伝統的なM型ライカのデザインを踏襲しつつも、進化をとげたのが現行モデルとなる「ライカM11」だ。伝統と最新技術の完璧なる融合。フィルム時代の名機に迫り、それを超えていく領域にまで昇華されたのだ。

象徴的なのはライカ伝統のベースプレートを廃止し、デジタル専用に見直された設計に更新。USB端子が配されるなど利便性をもたらすとともに、より大きなバッテリーを搭載可能にした上でボディ剛性を高めることにも寄与している。

これ以外にも、見た目こそ変化は少ないものの、実際のダイヤルやボタンの機能配列など伝統的な設計をデジタル時代における最適な設計となるよう見直し、新しい時代の標準となる高い完成度を目指したのである。その結果、現代的ニーズを満たす製品へと脱皮しながらも、名機「ライカM6」と同等のサイズ、重量感を実現した。

カラーバリエーションはブラックとシルバーの2種。ボディトップが軽量なアルミ素材となったのはブラックモデルのみ。シルバーは従来どおり真鍮製だ。

5年という月日の間、デジタルカメラの世界は大きく進化していた。その間、新しいイメージセンサー、新しいイメージ処理LSIを採用する機会は幾度となくあったが、新陳代謝の激しいデジタル技術にあっても、ライカは次の世代にも通用するベンチマークとして「ライカM11」の画質を高めている。

基準感度のISO 64では15ストップの広大なダイナミックレンジを実現。暗部から明部まで幅広い光をとらえ、細やかに階調を表現する能力を「ライカM11」に与えている。その自然で上品な印象は、フィルム時代の作品作りにも通じる繊細さとデジタル時代の高い解像力、高感度もあわせ持っている。

ISO感度は最高50,000までの設定が可能で、最高1/16,000秒の高速シャッターを実現した電子シャッターを新たに搭載。暗いシーンはもちろん、極めて照度が高い状況でも、大口径レンズの描写力を活かした撮影を楽しめる。

ライカがデジタルによるイメージ処理技術においては、パナソニック社と技術提携している事に間違いはない。しかし、ライカはデジタルデバイスの世代交代ごとに刷新することをいさぎよしとせず、ライカ自身の存在意義でもある精密機器としての完成度、得られる写真イメージそのものの“質”を高め、自在に操れるようにすることを狙い、次の新しい5年、いや10年を超える時代を支える新しい基盤を作り上げたのだ。

15stopという広大なダイナミックレンジは、シャドウからハイライトまでの階調を丁寧に描き分ける。

モノクローム写真の魅力に開眼する一台

ライカは同時にモノクローム専用CMOSイメージセンサーを搭載するモデルも刷新した。モノクローム専用モデルが初めて用意されたのは2012年の「ライカMモノクローム」である。その後は歴代モデルの中で愛されつづけ、「ライカM10」世代でも用意されていた。カラーセンサーモデルの発売から14カ月を経た「ライカM11モノクローム」は2023年3月に登場した。

「ライカM11モノクローム」1,386,000円(税込み)

写真を自らの“表現手法”として捉えるならば、モノクローム専用モデルの存在は無視できないものだ。

日本語では「白黒写真」と表現されることもあるが、モノクローム写真は明るさの違いを捉えた写真ではない。アナログ写真の時代には、さまざまな光学フィルターと組み合わせ、また現像プロセスや印画紙への焼き付けを工夫することで、色彩のある世界に対して表現者が独特の深み、世界観を盛り込んできた。

色彩に頼らずに主題や構図、光と影、テクスチャーに焦点を当てた表現は、むしろカラー写真よりも高い表現力をもたらしていたともいえる。写真家にとっては、より大きな挑戦で、芸術的な視点を養うためにもモノクローム写真への学びは重要だ。

「ライカM11モノクローム」で撮影。

この、モノクロームの写真には特有の雰囲気と感情的な深みを、デジタルという新しい技術で再現し、より手軽に使いこなせるようになっていることが、モノクローム専用モデルの存在意義でもある。

しかし、デジタル技術の観点から、モノクローム専用センサーを備える意義はある。カラーフィルターを通さず、すべての光をイメージセンサーで捉えるモノクローム専用モデルは、より高い実効感度、深みのある階調表現、解像度をもたらし、映し出す被写体の質感を克明に映し出すという利点も備えている。

デジタル専用モデルとして完全に生まれ変わり、完成度を極限まで高めた「ライカM11」と共通の基盤に成り立つモノクローム専用モデルとして、まったく同じMレンズを共有できる「ライカM11モノクローム」は、写真の世界へとさらに深く根ざした作品づくりに取り組みたい写真家にとって、変え難い選択肢といえる。

写真の「ライカM11」に装着しているレンズも、「ライカM11モノクローム」で使用可能。

スタンダードなカラーイメージセンサーモデルでも、味わい深い幾つかの色再現を追い込める調整が可能になっていた「ライカM11」だが、モノクローム専用とすることで、色彩に頼らず、写真の構図、ライティング、シェイプ、テクスチャーなどの視覚要素を操ることに集中できる。

「ライカM11モノクローム」の作例。繊細なディティールを細やかに表現できる。

中間トーンが豊富でなめらかな一方、黒や純白がほとんど現れない画像の作りは、どことなくコントラストが不足するように感じるかもしれない。しかし、中間トーンの描き分けこそがモノクローム写真の醍醐味であることに、使いつづけていると気づくだろう。もとよりモノクロームフィルムで撮影した写真を印画紙にプリントするという手法のなかで確立されてきた表現手法が、デジタルのなかでも失われないよう極めて丁寧に造られている。その豊かな表現力はカラー写真よりもリアリティを感じさせ、味わい深い作品性は新たな表現を“創造”する満足感を撮影者にもたらしてくれる。

日常に持って歩きたくなる一台。

タイムレスな外観と精巧なボディは、長く年月を超えて愛される製品であり、もはや説明が不要な数々の名作レンズとともに撮影に没頭できる「ライカM11」、および「ライカM11モノクローム」だが、その価値のひとつは、やはり名作揃いのレンズ群にある。レンジファインダーならではのコンパクトなレンズ群は、それぞれが特徴的な光学特性を備え、その描写の違いを楽しめるのが、レンズ交換式カメラのもっとも大きな楽しみ、醍醐味であることはいうまでもない。

あなたがこのカメラを手にすることになれば、趣味と利便性を兼ね備えたパーソナルな写真撮影の道具として、「ライカM11」、「ライカM11モノクローム」はほかに変え難い存在となることだろう。

ライカ カスタマーケア
電話番号:0570-055-844
URL:https://leica-camera.com/ja-JP/

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