伝統の技を見極める、審美眼の持ち主が選んだクルマ
私がLEXUSに乗る理由〜個性派オーナーが語る「LEXUSのあるライフスタイル」/LEXUS LC500×山口豊氏
千葉県松戸市にある翠雲堂は、1932年創業の寺院建築・仏像製作・仏具製作を手がける企業である。その5代目当主である山口豊氏が乗るクルマは、LEXUS LC500。日本の伝統文化を守り、職人技の継承に努める人物が、日本の先端技術と美意識の粋であるLEXUSをどんな理由で選んだのか。工場と展示場が併設された本社を訪ね、話を聞いた。
Text:Shigekazu Ohno(lefthands)
Photo:Takao Ota
300年後に残る仕事と、V8の鼓動
寺院建築の新築と修繕、修復、さらに仏像製作や仏具製作など。信仰文化を支える仕事をひとつの窓口で受けられる“日本で唯一の存在”としての信頼を勝ち得てきたのが翠雲堂である。千葉県松戸市に広大な工場を構え、全国の寺院のニーズに応えるべく奮闘を続けているのが、同社の5代目当主、山口豊氏だ。
「仏具屋というのは、日本文化のすべてをカバーしているんです」
その言葉に誇張がないことは、工場や展示場が併設された本社を見学させてもらい、肌で感じられた。例えば漆、金箔、金粉、蒔絵、金物、木工、和紙、織物、宮大工の木組みなど。翠雲堂の仕事には、寺社建築を頂点とする日本の手仕事が、総動員されているのだ。
中でも本社内にある「黄金の間」は、その象徴ともいえるだろう。かつて個人邸の仏間として翠雲堂が手がけた12畳の空間を、およそ40年後に譲り受け、移築したものだ。床は漆塗り、壁と天井は金箔と金粉で仕上げられている。当時の製作費はおよそ8,000万円。山口氏は、現在の金の価格は当時の20倍近くにも跳ね上がっているので、同じものをつくるとすれば材料代だけで相当な額になるだろうと語る。
「今では手に入らないくらいの量の金を使っていますからね。でも、大事なのは金額ではなく、40年経っても美しいということなんです」
日本には四季がある。木は反り、割れ、金物には錆や緑青が出ることもある。「最高の職人が最高の素材を使い、最高の技を駆使してつくっているのだから、完成した瞬間は美しくて当然。真価が問われるのは、そのあと時間が経っても美しいかどうかなんです」と山口氏は語る。
「私がいつも言っているのは、300年後に自分たちの手がけた仕事を見てみたい、ということなんです。それくらいの先を見据えて、未来に遺すつもりでつくっているから、国宝や文化遺産になった未来の姿を見てみたい、そんな思いになれるんです。それが私たちの仕事に対する覚悟であり、誇りなのです」
ゆえに、山口氏は職人に一切の値引きを求めない。値を下げれば、どこかで質が落ちたり、手間を省くことにつながる。手間を省けば、技が鈍る。技が鈍れば、文化は失われる。
「いい職人には、いい仕事を続けてもらわなければいけない。全国にいる一流の職人に、トップレベルの仕事をさせつづける。それが私たちの責務であり、日本人としての矜持なのです」
翠雲堂の仕事は、単にものをつくることではない。寺院建築を手がけ、仏像をつくり、仏具を納め、さらに修復まで行う。何十年、何百年先まで遺るものをつくる心意気だから、木魚ひとつをとっても、素材となるクスノキの巨木を10年以上も乾燥させてから彫る。鏧子(けいす)は、一枚の銅板から叩き出して成形する。いずれも、今や日本にわずか数人の熟達した職人にしかできない技だという。
「これまで1,000年続いた技を、なんとなくの再現ではなく本物でやろうと思ったら、もうできる職人さんの数は限られているんです。だから、うちには本物にこだわる“想い”のある全国のお寺さんから、お声がけをいただいているのです。そして申し訳ないですが、多くの方に順番を待っていただいている状態です」
山口氏自身の仕事は、職人の手仕事を見極めるところにある。いわば、プロデューサー的な役割ともいえるだろう。
「誰よりも目利きであること。職人が仕上げてきたものを見れば、すべてわかります。ちょっとした調子の変化があれば、さては作業の途中で電話に出たのかなとか、そういうところまで伝えて、完璧に仕上げてもらいます」
見えない裏側まで手を抜くことなく完璧に磨く。外から見えない部分にも決して手を抜かない。「それが日本の美学であり、粋である」と、山口氏は語る。
その同じ厳しい審美眼で、山口氏はクルマも見る。
現在の愛車はLEXUS LC500。都内の自宅から松戸市の会社まで、毎日往復で約50キロメートルを走る。「お客さまや職人、取引先を回れば、一日の走行距離が150キロメートルを超えることもある」というアクティブドライバーだ。
「いいクルマこそ、自分で運転しないともったいないですよね」
かつてはGS450hに乗っていたという山口氏。LEXUSとの日々は、すでに10年以上になり、販売店で担当してくれているO氏への信頼も厚い。ある日、店頭に置かれていたLCをすすめられ、試乗した。
「乗ってみたら、直感的にこれだと思いました。つい、その場でオーダーしましたよ、値段も聞かずに」
決め手は、5リットルV8自然吸気エンジンの吹き上がりのよさだった。ターボでもスーパーチャージャーでもない、アクセルに対して素直に応える感覚。官能的な音、スムーズに伸びるエンジン回転、ダイレクトな鼓動が快楽として感じられた。
「V8の5リットルなんて、環境上の問題から、もうこの先出ないでしょう。だから、ずっと大切に乗っていきたいと思っています」
山口氏がLEXUS LC500に惹かれた理由は、エンジンだけではなかった。内装、立て付け、素材の扱い、細部の仕上げ、そのすべてに、日本トップクラスの職人の仕事を感じたという。
「ふだんから本物の職人仕事を見ている目でLCの内装を見て、ああ、ちゃんとした仕事をしているなと感心しました。先端技術は言うに及ばず、ちゃんと一流の技術者が誇りをかけてつくっているということが感じられたんです」
山口氏の審美眼は、たったひとつの小さな不具合すら見逃さなかった。革巻きステアリングを握った際、ステッチのわずかな乱れに違和感を覚えたというのだ。営業担当のO氏に相談すると、すみやかに交換が行われた。その対応にも、ものづくりに対する真摯さと誠実さを感じたという。
「見えないところまできれいに磨いてあるし、クレーム対応にも鮮やかに応えてみせる。LEXUS LC500には、日本のものづくりの美学と矜持がちゃんと息づいていました」
現在のLCは2代目。鮮やかなストラクチュラルブルーのボディカラーは、営業担当のO氏がすすめたものだという。フロントグリルをブラックに替え、カーボンのリップスポイラーを装着し、ブレーキキャリパーを赤にした。偶然にも、その配色は翠雲堂のロゴカラーとも響き合う。
「何台ももっていてもしょうがないでしょう、乗る自分は一人ですから。『これが自分のクルマだ』と胸を張れる、気に入った一台があればいい」
10代の頃からずっとドライブを楽しんできた山口氏は、富士スピードウェイでのLEXUSオーナー向け走行体験にも参加した。一般道では試せない急加速、急減速、ハイスピードでのコーナリング、濡れた路面での急ブレーキなどを体験し、初めて自分のクルマの限界の高さを知った。
「急ブレーキも怖くなくなりました。電子制御が見事に働くから、安心して委ねられる。クルマの本当の性能を知ることで、運転する気持ちが楽になりました。これは安全のためにも、楽しみのためにも、LEXUSオーナーはぜひ体験した方がいいと思います」
スポーティーでありながら、日常の足としても使える。寺院を回る仕事の足として、そして走る楽しみを与えてくれる相棒として、LEXUS LC500は山口氏の毎日に欠かせない存在となっている。
愛情の深さを窺わせるエピソードとして、車内では音楽もラジオも聴かないという話を披露しておこう。
「何しろ、V8のエンジン音が一番の音ですから」
その言葉は、どこか山口氏の仕事観とも重なる。機械化や効率化が進む時代にあって、それでも手でつくること、時間をかけること、素材の力を引き出すことにこだわりつづける。「エンジンもまた、文化である」と語る山口氏にとって、LEXUS LC500は、単なる移動手段ではない。それは、日本のものづくりがまだここまでできるというひとつの証明であり、自らの仕事に向かう心持ちにおいても後押ししてくれる存在でもあるのだろう。
300年後に遺る仕事を標榜する人物が、今この時代に選んだ一台は、今日も日本のものづくりの誇りを乗せて、力強い鼓動を響かせながら街を駆け抜けている。
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