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全国のLEXUSオーナーが家族で集い、交流する場
クルマと自然に触れる体験が盛りだくさん。
「LEXUS CAMP 2025」がRECAMP 富士スピードウェイで開催

2025年6月27日(金)〜30日(月)、富士スピードウェイの敷地内に昨年オープンしたサーキット一体型キャンプ場「RECAMP 富士スピードウェイ」で、京都、三重、神奈川のLEXUS販売店が共同で企画・運営する「LEXUS CAMP 2025」が開催された。3泊4日の行程には、大人も子どもも一緒になって参加できるさまざまなイベントが盛り込まれ、夏の休日を思い切り楽しむ笑い声が会場を充たした。その様子を、写真とともにお伝えする。

Text:Shigekazu Ohno(lefthands)
Photo:Maruo Kono

京都、三重、神奈川のLEXUS販売店のレクサスオーナーが集結

夏本番を目前にした6月のRECAMP 富士スピードウェイ。雲の切れ間に太陽が顔を覗かせると、とたんに汗が吹き出るような暑さであったが、もうすっかり夏の装いの参加者は、そんな暑さも楽しんでいるかのような笑顔であった。

この日、この場所に、さまざまな地域のナンバープレートを付けたLEXUSが集まってきたのは、3泊4日の「LEXUS CAMP 2025」に参加するため。レクサス北大路、レクサス宇治、レクサス桑名、レクサス武蔵小杉の4つの販売店の共催という形で企画された、アウトドア体験あり、カルチャー体験あり、そして富士スピードウェイだからこそできる貴重なモータースポーツ体験ありの、盛りだくさんな休日が幕を開けた。

RECAMP 富士スピードウェイ。さまざまな車種のLEXUSが次々に現れ、一堂に会する様は壮観であった。
LEXUS GX550 “OVERTRAIL+”にはキャンプサイトがよく似合う。
おもてなしは、家を出るときから

実は、21オーナー/53名の参加者たちの“スペシャル”な体験は、各々の家を出発し、マイカーを運転してくるところからすでに始まっていた。それが、今回のために特別に用意された、音声ARガイドによる道案内サービスである。

音声ARガイドによる道案内サービスのための機器。

「旅は家を出て、家に帰るまでですから、道中のドライブでもLEXUSならではのおもてなしを感じていただきたいと考えたのです」

そう語るのは、4つの販売店の共催イベントの発起人であり、企画から運営まで中心的な役割を担った、レクサス桑名の寺本茂希氏。音声ARガイドは、道中の交通情報からサービスエリアの情報、BEVなど電動車向けの急速充電器の情報などを、走行中の車両位置に合わせて提供するという内容だ。レクサスの開発も手がけるトヨタ自動車とも連携しながら、その内容からプログラミングまで綿密に検討し、準備をしたという。

レクサス桑名の寺本茂希氏。4つの販売店の共催イベントを2024年から始めた発起人にして中心的存在。

「最新鋭の技術なんですが、それを支える中身の部分は時間をかけて人の手で用意しました。案内する内容に間違いがないかどうか、私自身で何度も何度も確認をしましたし、しゃべる音声も人工のものではなく、ちゃんと店舗スタッフにお願いをして吹き込んでもらったんです」

そんな道案内が実際にどうだったかは――、三々五々集まってきた参加者たちの、クルマを降りて、スタッフたちに声をかける際の柔和な表情が教えてくれていた。

ユニークなサーキット一体型キャンプ場

RECAMP 富士スピードウェイがあるのは、サーキットのレーシングコース「100Rコーナー」の内側。走行車両が甲高いエンジン音をあげ、目の前を次々と駆け抜けていく様は、迫力満点。にもかかわらず、敷地内は森に覆われ、心地のよい木陰もあり、やすらぎの感覚にも充ちている。

「100Rコーナー」に面して立つのは、山小屋風のデッキやドッグランが付いたコテージ。森の中にはテントサイトがあるなど、多様な宿泊施設から選べるのが魅力。
森の中には、サーキット内とはにわかに信じられないような自然環境が広がり、小鳥の囀りが耳に心地よく響く。

全36サイトで構成される宿泊施設は、バラエティ豊富。レース観戦が目的なら「100Rコーナー」に面した「ドッグ・トレーラーコテージ」や「ルーフデッキ付き ドッグ・オートキャンプサイト」、森の中のオートキャンプを楽しむのなら「オートキャンプサイト」や「トレーラーコテージ」、ラグジュアリーステイをご所望なら「トレーラーヴィラ」や「ヴィンテージトレーラーコテージ」など、利用スタイルに合わせて選ぶことができる。

「トレーラーヴィラ」のテラス。レースを驚くほど間近で観戦しながら、仲間たちとBBQを楽しむという贅沢な楽しみ方も。

今回のイベントでも、あるいは子ども連れで、あるいは愛犬連れでといった具合に、各々の楽しみ方でのんびり過ごす姿が“幸せな休日のキャンプサイト”の雰囲気を醸しだしていた。

驚きと興奮に充ちたBEV走行体験

午後に、場所を富士スピードウェイ内の「マルチパーパスドライビングコース」に移して始まったのは、スペシャルなBEV走行体験。会場にいる参加者たちの間からは「これを楽しみにしていた」という興奮気味の声も聞こえてくる。

BEV走行体験のために用意された「マニュアルBEV」(前)と「AE86 BEV Concept」(後ろ)。

どこがスペシャルなのかというと、ここで試乗できる車輌はレクサスの技術開発を象徴する「AE86 BEV Concept」と「マニュアルBEV」の2台。前者はその名のとおり、1980年代に一世を風靡したスポーツカー「TOYOTA AE86レビン」の車体にLEXUSのBEVのパワートレーンを搭載したという、ユニークさを極めたコンバージョンEVである。

エンジンからモーターに換装されたパワートレーンを、興味深そうに覗き込む参加者の様子。
レクサスNX450h+から流用されたAE86 BEV Concept用のバッテリー。

「クルマ好きを誰一人置いていかない」「カーボンニュートラル時代にも愛車を守る」をコンセプトに、近い将来、古い愛車をBEVにコンバートし、文化と価値を後世に残したい――そんな想いのもとに開発された最新鋭のマシンでありながら、車体は昔懐かしい本物の旧車であり、しかもEVなのに操作は6速MTシフト。アクセルワークに応じてリアルなサウンドも再現されるという点が、なんとも遊び心にあふれているではないか。

タイヤを軋ませ、スピードを上げてコースを走り抜けていく「AE86 BEV Concept」。

試乗した参加者たちからも「乗っていた昔を思い出して、嬉し涙が出そうだった」「迫力ある音に、ボルテージが上がった」「買えるなら買いたい」など、熱の籠ったコメントが聞かれた。

さて、後者のほうは「マニュアルBEV」と呼ばれるもので、前者(=AE86 BEV Concept)とは異なり、エンジンもトランスミッションも搭載されていない純粋なBEVであるにもかかわらず、3ペダル&MTシフトを追加し、ソフトウェア制御のみでマニュアルトランスミッションの挙動をBEVで再現。

見た目はふつうの「UX300e」とまったく変わらないのに、今では絶滅危惧種となったMTシフトで運転が楽しめ、万一エンストしても、クラッチを踏めばすぐにまた始動するといったような、慣れない人にも優しい設計で、こちらの試乗も老若男女を問わず大人気に。

家族からの「頑張れ」の声援を受けてコースを疾走する「マニュアルBEV」。

コースを走らせているときには、子どもたちから「パパ、頑張れー」という歓声が上がる。運転を交代し、妻が走る様子を夫が熱心に撮影する場面も。クルマを走らせることが、単なる移動手段を超えて、いかに家族をつなぎ、楽しい思い出をつくる“ライブイベント”にもなり得るのかが垣間見えたような、胸を高鳴らせつつもほっこりさせる試乗会となった。

記憶に残る焚き火ナイト

BEV走行体験が終わり、キャンプ場に戻ってしばしくつろいでいた参加者たち。「一緒に飲みませんか」と声をかけていたご夫妻のコテージに集まり、ドリンク片手に、いつのまにか誰もがもう顔見知りになっていた。

やがて陽が傾き、走行イベントの終わったサーキットは静寂に包まれ、ヒグラシの鳴く声だけが森の空気を静かに震わせている。そんな中、レクリエーションイベントとして始まったのが、焚き火ナイトである。

キャンプサイトの真ん中あたり、樹々の合間のちょっとしたオープンスペースに焚かれたキャンプファイアー。まずは好奇心旺盛な子どもたちから、次第に大人たちも、温かなあかりと薪がはぜる音に誘われるように集まってきた。

キャンプファイアーを囲み、アウトドア気分が高まったところでおやつが登場。自ら焼いて食べる体験に、子どもたちは大喜び。中には「うちはオール電化だから、燃える炎を初めて見た」と話す子も。

ここで配られたのは、串に刺したマシュマロ。「実は、バウムクーヘンも炙ると美味しいんだよ」というスタッフの何気ないひと言がきっかけで、急遽バウムクーヘンも追加されることに。やがてキャンプファイアーを中心に、片手にマシュマロ、片手にバウムクーヘンを持ち、目を輝かせた子どもたちが勢揃い。残照が消え、梢の間に星が瞬き始める頃まで、森の中には楽しそうな笑い声が響き渡った。

迫力満点のオフロード体験
オフロードコースに集結したLEXUSの試乗車。その迫力あるワイルドな姿に、乗る前から参加者たちのテンションも上がる。

夜が明けた2日目の朝。よく晴れている。太陽が昇り切る前から気温はぐんぐん上がり、富士山を間近に見上げる高原でありながら、キャンプサイトは真夏のような暑さになっていた。

この日の目玉イベントは、富士スピードウェイ内のオフロードコースを会場に開催される「LEXUS LX GXオフロード体験」と「ROV同乗体験」。今や人気トップクラスの車種となったSUVだが、前者ではその本来のポテンシャルのひとつである悪路走破性を、本格的なオフロードコースの走行で体験した。

スタッフに見送られ、LX、GXの試乗車に乗ってオフロードコースへと繰り出していく参加者たち。安全に万全を期すために、大勢のスタッフが現場で駆けずり回っていた。
ふだんのオンロード走行では見ることのない、大きく傾く車体や路面に追従して縦横無尽に動くタイヤの動きに、見ている参加者たちからは「すごい」と感嘆の声が上がった。

土煙をあげて山道を疾駆し、モーグルスキーコースのようなでこぼこ道をいなし、岩が累々と積み重なった上をこともなげに乗り越えるLXとGXに触れ、ふだんよく知る“ラグジュアリー”なだけでない“タフ”な側面を目の当たりにした参加者たち。クルマを降り、額を汗で光らせながら、それでもとびきりの笑顔でこう話してくれた。「すごい迫力でした。怖さもあったけれど、どんなに車体が傾いても、それをちゃんとしなやかにいなす性能に驚きました」。

一方、後者の「ROV同乗体験」用に用意されたクルマは、環境への配慮とエンジン車ならではのリアルな鼓動を感じ取れる水素エンジンで走り、低環境負荷技術によって生まれたさまざまな新素材を車体に用いたオフロード用の小型バギー。もともとは2022年の東京オートサロンで初お披露目されたコンセプトカーであり、オフロード車でも行けないような、自然のさらに奥深くまで踏み込むための乗り物として開発されている。

2台連なって走る「LEXUS ROV」のコンセプトカー。野趣あふれる姿には、不思議と人を惹きつける魅力がある。

その身軽さを活かしたアジャイルな悪路走破性を、スリルあふれるアクティビティ体験として楽しんでもらうために、ここではプロのドライバーを起用。参加者はヘルメットをかぶり、グローブを付け、万全の身支度をしたうえで助手席に同乗し、エキサイティングな走りを堪能した。

土煙を上げてモーグルを走破する姿は迫力満点。ギャラリーから歓声が湧き起こる。乗った人の興奮具合は、この表情のとおり。

クルマを降り、まだ興奮冷めやらぬ声に耳を傾けてみれば、「スリル満点でした。必死にからだを支えていたら汗びっしょりになったけれど、また乗りたい」と話す女性もいれば、「悪路に足を取られても、絶妙なハンドリングでカウンターを当てて立て直す、プロのドライビングテクニックに刺激を受けました」と語る上級者も。非日常体験に顔を上気させて喜ぶ大人たちの姿に感化されてか、見ていた子どもたちが親のもとに駆けつけ、一緒に笑い、喜びをともにするシーンも。参加した家族の誰にとっても、きっといつになっても忘れることのできない、思い出の1ページとなったことだろう。

LEXUSのモノづくりの理念に触れるワークショップ

汗びっしょりで戻ったキャンプサイト。ここはトイレや炊事場も真新しく、清潔なシャワー施設もある点が大きな魅力であることを、誰もが実感したはずだ。

中央に立つのはレクサス桑名の寺本氏。参加者にさらに喜んでいただくために、スタッフとの打ち合わせにも余念がない。レクサスのおもてなしの原点を目の当たりにしたかのように感じた瞬間だ。

ひと息ついたタイミングで、運営本部の建物を会場に開催されたのは「匠工房モノづくり体験」。トヨタ自動車の試作車をつくる開発試作部にある「匠工房」は、日本のモノづくりの伝統を今の時代のニーズに合わせて進化させることを目指し、未来につなげるという想いで、板金の“手叩き”の技術の新たな可能性を探る取り組みを行っているが、それを参加者にもワークショップの形で体験してもらうという内容だ。

叩きだしの体験ワークショップで手渡された金槌と、RECAMPオリジナルデザインの2種類のアロマディフューザー

手渡されたのは、アロマディフューザーとなるLEXUSのロゴ入りメタルプレートと、そこに模様を叩きだすための金槌。今回、RECAMPのオリジナルデザインとして、キャンプシーンで使える道具が用意された。焚火台をモチーフにしたタイプとトレイタイプだ。クルマづくりの職人によるマンツーマンの指導に従いながら、叩き方や模様のだし方などにオリジナリティを表現していく過程の面白さに、どの参加者もいつのまにかすっかり没頭している様子。

コツをつかみだしてからは、いつのまにか夢中になってしまうのが面白いところ。コツコツと真剣に金槌を振る音が響く。
小さな子どもも挑戦。おもちゃではなく本物の道具を使うところが、心を捉えたようだ。

何人もが席を並べ、一心不乱に金槌を振るう様は、まるで本物の工房のよう。しばしの作業ののちの「できた」の声は、皆一様に喜びにあふれていた。完成したアロマディフューザーは、そのままイベントの思い出を持ち帰るためのお土産となった。

少女たちからの可愛らしいプレゼント

ここまでさまざまな催し物に密着して気がついたのは、主催者である4つの販売店のスタッフと参加者の“距離の近さ”であった。いわゆる店員と客という間柄からイメージされるよそよそしさはなく、慇懃でいて、かつフレンドリーなやりとりを見ていると、両者の間に心通わせる信頼関係が築かれているのがわかる。付かず離れずで声をかけ、いろいろと気配りする販売店のスタッフと、それに笑顔で応え、労いの言葉を忘れない参加者。

そんな様子を見てきたからか、あるいはすでに日頃からの関係性もあるからなのか、2日目のワークショップが終わった折に、心温まるシーンにでくわすことができた。3人の少女が小走りにやってきて、イベントの中心的存在であるレクサス桑名の寺本茂希氏に「これ、お手紙とプレゼント」と言って、折り紙と手紙を手渡したのだ。

少女たちが折り紙と手紙を届けてくれた。受け取ったレクサス桑名の寺本茂希氏は、初めは驚いた顔で、やがて嬉しそうな笑顔で会話を交わす。手紙には、販売店のスタッフへの感謝のメッセージが。

「どうもありがとうね」と言って、彼女たちの目線に合わせてしゃがみ、とびきりの笑顔で話す寺本氏。その肩越しに覗き見た手紙には「れくさすのスタッフさんへ いつもいつもありがとうございます。おいしいご飯いただきました(中略)。イベントの時も、せいいっぱい手伝ってくれてありがとうございます!(中略) これからもよろしくお願いします。」の文字が。

「今日は幸運にも晴れでしたが、雨の可能性も当然あったわけで。雨の夜、滑ったりつまずいたりするような危険な場所はないか、わざわざ雨の夜を選んで下調べに来たり、あらゆる面で思いつく限りの準備をして臨んだんです。でも、この手紙ですべての努力が報われました」

そう言って顔をくしゃくしゃにさせた寺本茂希氏は、空を見上げて、さらにこう付け加えた。「『LEXUS CAMP 2025』があって、喜んでくれる人たちがいるってことは、また来年に向けてブラッシュアップしなくては。同じ想いの販売スタッフがたくさんいますし、ここで今、もっと頑張れる元気をもらいました」

今回の企画は、レクサス北大路、レクサス宇治、レクサス桑名、レクサス武蔵小杉のゼネラルマネジャーをはじめ、各店舗の全スタッフが、レクサスオーナーに楽しんでいただきたいという共通の想いで実現させたもの。その想いと努力が、少女たちからの手紙のプレゼントという思いがけない形で報われたのだから、関係者たちのレクサスオーナー愛は、さらに増していくことだろう。

そして、来年の開催を楽しみにするのは、彼らだけではない。LEXUSに乗る人びとのライフスタイル情報を発信するmomentは、これからも彼らがオーナーたちとともに紡ぐ素敵な物語を伝えていきたい。

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