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NX350h “version L” AWD
「LEXUS NX350h “version L” AWD」の多彩な性能から読み取れる、ラグジュアリーとスポーツと、さりげない優しさ

2014年に誕生した「LEXUS NX」はRXに通じる都会派SUVの血統を引き、コンパクトSUVならではの扱いやすさや運転の楽しさ、そしてラグジュアリー性などさまざまな魅力が高められたモデルで、この初代は発売から約7年で累計販売台数105万台を記録したという。2021年10月にフルモデルチェンジした2代目はこうした個性を受け継ぎつつ、電動化戦略「Lexus Electrified」に基づいた電動パワートレーンの進化・熟成も魅力のひとつとなっている。そして今回、ハイブリッドによる環境性能の高さと、4WDによる運転の楽しさや安全さを内包したNX350h “version L” AWDを撮影するとともに、その魅力を探ってみた。

Text:Yohei Kageyama
Photo:Masayuki Inoue

NX350hのパワートレーンが持つ、高効率性と動力性能の好バランス

セダンやミニバン、SUVなど、ラグジュアリーブランドLEXUSによるモデルたちにどんな個性や価値を期待するだろうか。

革新的なデザイン性、ユーザーの期待に応える機能性、ドライバーの操作をリニアに反映させる操縦安定性、乗員をもてなしてくれる快適性、なかにはリセールバリューという答えもあるかもしれない。もちろんこうした嗜好は三者三様だが、LEXUS NXのグレード展開の中でも今回撮影したNX350h“version L”AWDは多くのニーズに応えるクオリティーを持ち合わせているように感じられる。

2.5L直4を搭載したNX250にはじまり、2.4L直4ターボのNX350やプラグインハイブリッドのNX450h+を含めた、マルチパワートレーンラインアップの一翼を担うNX350hは、高効率でレスポンスのよい2.5L直4エンジンと高出力モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用する。WLTCモードで19.9km/L(AWD)〜22.2km/L(FF)という数値はNXのグレード展開の中でももっとも優れた環境性能で、そして静粛性と走行性能を高次元でバランスさせたモデルだ。

それゆえに日本市場で最多販売台数の人気グレードでもある。

しかも撮影車はラグジュアリー仕様といえる“version L”。14インチセンターディスプレイや、ドアハンドルを電子制御のスイッチ式としたe-ラッチシステムなど、NXの全グレードに標準装備される先進装備に加えて、本革シートや前後席にシートヒーターなどを設けるプレミアムな仕様としている。また、“version L”でしか選択できないインテリアカラー「ソリスホワイト」(撮影車両はヘーゼル)を用意されているのも特長のひとつとなっている。

センターディスプレイをはじめとする操作系が運転席に向けられ、運転により集中するためのコクピットデザイン「Tazuna Concept」を取り入れている。内装色はヘーゼル(本革)で、“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(オプション24万4,200円(税込み))装着車。

リヤモーターを搭載する4WDモデルだからこその運転の楽しさ

ハイブリッド車であるNX350hの中でも4WDモデルは、フロントタイヤの駆動を担当するエンジン(190PS/243N・m)とモーター(182PS/270N・m)とは別に、リヤにもうひとつのモーター(54PS/121N・m)を搭載した電気式4WDの駆動方式を採用する。前後の駆動力配分は前100:後0〜前20:後80の間で制御されて、加速性や高速走行安定性に寄与している。

この駆動特性を強く体感したのが、高速道路のインターチェンジやジャンクションのように比較的高い速度域で旋回するようなシーンだ。コーナー出口に向かって少しずつ加速するためアクセルペダルを踏み込んでいくと、前後輪に駆動力が配分されて姿勢がさらに安定するのだ。SUVらしく全高は1,660mmと高めではあるものの、旋回中にハンドルを切り足ししても路面に張り付くかのようなボディ追従性を味わわせてくれる。

リヤゲート中央部からフェンダーに向かって広がり感を演出するスピンドル形状により、安定感を感じられるリヤデザイン。ボディカラーはテレーンカーキマイカメタリック(6X4)。

こうした運動性能を支えるのがボディ剛性の高さだ。トヨタ車にも採用されているGA-Kプラットフォームはパネルの形状を変更、板厚を上げるなど進化を果たしつつ、また新開発されたレーザー溶接技術や構造用接着剤を採用して専用の強化を実施。しかも2023年3月にはボディ前後に剛性を高める一部改良を行って操縦安定性と乗り心地を向上させているのだ。

バッテリーとふたつのモーターを搭載するなど、NX350h“version L”AWDの1,830kgという車両重量は決して軽いわけではないが、それゆえにどっしりとした走行安定性を感じさせ、またドライバーが意図したとおりの走行ラインをトレースする素性のよいハンドリング性能を持っている。これもLEXUSが追求する独自の乗り味「Lexus Driving Signature」の一端といえるのではないだろうか。

今回試す機会はなかったが、4WDモデルに搭載される「TRAILモード」は緻密にコントロールされた駆動力とブレーキの制御により、荒れた路面や滑りやすい積雪路などにおいても優れた走破性能を発揮するはずだ。ショックアブソーバーの減衰力を四輪独立で制御するAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)が作動することで揺すられ感を抑制、オフロードであってもより快適な乗り心地を実現するための機能を標準装備しているのだ。

広い車内空間に陽光を取り入れるパノラマルーフ(+ルーフレールのセットオプション20万9,000円(税込み))のガラス面には、IR・UVカット機能が採用され暑さや日焼けを抑制してくれる。

安全性を高める機能がもたらす優しい気づかい

ミリ波レーダーや単眼カメラをはじめとするセンサーを活用したプリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロールなど先進運転支援システム(ADAS)は、進化とともに機能も格段に増やして安心感を高める大きな要素となっているが、その中でも運転中に気づいた、さりげない支援をしてくれる機能が「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」だ。

市街地から高速道路までのあらゆるシーンにおいて、センサーが検知した前走車や歩行者、自転車運転者、駐車車両に自車が近づきすぎないようにハンドルやブレーキの操作を自動制御でサポートしてくれるというもの。

NX350h“version L”の標準装着タイヤはランフラットタイヤだが、一部改良を機にノーマルタイヤ&20インチアルミホイール(オプション−2万2,000円(税込み))を選択できるようになった。

例えば自車よりも低速で走行する前走車に追いついたり、ドライバーが交差点を曲がるためのウインカーレバーやアクセルペダルをオフにするなどの操作を始めると、クルマがゆったりと減速を始めるのだ。そのほかにも走行帯近くの歩行者や自転車などを検知すると同様に減速、さらに対象との距離を確保するためのハンドル操作支援も働くなど、ドライバーを陰からサポートしてくれる。

7インチのメーターディスプレイに表示されるハンドルマークやブレーキランプ点灯のサインにより機能の作動を認識することはできるものの、正直、意識していないと機能の存在を忘れてしまう。それほどに制御が穏やかで、他者に優しい運転が自然とできてしまう・・・だけではなく、これは同乗者にとっても「快適な移動」につながっているはずだ。

ひと昔前までラグジュアリーさといえば、乗り心地のよさや静粛性、快適装備の豪華さといった機能・性能を基準にする向きもあったが、最近においてはこうした「優しさ」もひとつの指標になっているのかもしれない。NXは新たなラグジュアリーさをいち早く導入したモデルといえるのではないだろうか。

一部改良でプリクラッシュセーフティも進化。低速時の加速抑制機能は自車直前の歩行者や自転車運転者などに加え、壁のような構造物も認識するようになった。

LEXUS NX350h“version L” AWD 主要諸元

・全長×全幅×全高:4,660×1,865×1,660mm
・ホイールベース:2,690mm
・車両重量:1,830kg(※)
・エンジン型式:A25A-FXS・直列4気筒
・エンジン総排気量:2,487cc
・エンジン最高出力:140kW(190PS)/6,000r.p.m.
・エンジン最大トルク:243N・m/4,300-4,500r.p.m.
・モーター最高出力:前134kW(182PS)/後40kW(54PS)
・モーター最大トルク:前270 N・m/後121 N・m
・トランスミッション:電気式無段変速機
・駆動方式:電気式4WD
・燃料・タンク容量:プレミアム・55L
・WLTCモード燃費:19.9km/L
・タイヤサイズ:235/50R20
・車両価格(税込み):664万6,000円
※18インチタイヤ&アルミホイール装着車は20kg減少、ムーンルーフ装着車は10kg増加、パノラマルーフ装着車は30kg増加、“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム装着車は10kg増加する。

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