上質な毎日のために
日常に花を飾る。くらしを上質にする、花習慣
朝、食卓に花があるだけで、その日の気分がすこし変わる。そんなことを知っていても、いざ花を買おうとすると、何を選べばいいのか、どう生けたらいいのか、わからなくて足が止まってしまう人も多いのではないだろうか。でも、ちょっとしたコツを知れば、驚くほどセンスよく生けることができる。デコラトリスとして、花と器と空間を美しく結びつける仕事を続けてきた藤田京子さんに、くらしの中に花を迎えるための、初めの一歩を教えてもらった。
Text &Photos&Edit:Misa Yamaji(B.EAT)
花は野に咲くように生ける
「花を生けるのに難しく考える必要はないですよ」と話すのは、デコラトリスの藤田京子さん。
藤田さんは、フランスの伝説的なフローリスト、ジョルジュ・フランソワ氏に師事し、日本におけるフレンチスタイルのフラワーアレンジの先駆者。2016年のG7伊勢志摩サミットで各首脳の客室やディナー会場などの装花の担当をするなど、国内外で活躍する花のプロフェッショナルだ。
「最近は花や枝が持つ自然の形を活かして、野に花が咲く風景を切り取るような、ナチュラルな生け方が人気ですね。左右対称に整えたり、ぎゅっと詰めたりするよりも、揺らぎのある、のびやかな表情が美しいと思います」と語る。
だから花材は少なくてもOK。基本は「メインの花材を決めたら、サブを2、3種類」というバランスで購入すること。シャクヤクやバラ、トルコキキョウのようなボリュームのある花をメインに、サブは草花のような細かい花材でニュアンスを加えていく。
家で長く楽しむならば、花もちがいい花を選ぶのも一案。例えば、メインの花は、ラン、トルコキキョウ、アンスリウム、アジサイなどを選ぶと日もちがする。サブはスターチスなど、そのままドライにしても長く飾れるものは初めての方にも使いやすい。
花を生けるにも花瓶がない、と躊躇する方もいるだろう。「そこは普段使っている食器や別の用途に使っているものを花器にすればいいですよ」と藤田さん。
口が広く、背が低い器は花を生けるには難しいと思われるかもしれないが、実はひと工夫すれば問題なし。「これからたくさん店頭に出るアジサイを小分けにして花留めにする方法はおすすめです。器の大きさにあわせて小房に切り分け、それを花留めの代わりにして好きな花を生ければ、まとまります」と藤田さん。
さらに、「覚えておいたら便利ですよ」とセロテープで花留めをつくる方法も教えてくれた。こうすることで、花材が少なくてもバランスよく花を生けることができる。
配色に関しては、初心者でもセンスよくまとめやすいのは、同系色の花を組み合わせることだ。
「グリーンだけ、白だけ、と色を決めます。同じ色でも濃いもの、淡いもの、黄緑がかったものと、たくさんの種類があります。色を揃えるだけで、自然とグラデーションが生まれて、清潔感のある爽やかな表情になります」
慣れてきたら、そこに自分の好きな色を一色足してみる。それだけで、ぐっと表情が変わる。
花器の力を借りる
花を生ける生活が楽しくなってきたら、お気に入りの花器を買い求めるのもおすすめだ。
「作家ものやアンティークなど、器に力があるものに生けると、同じ花でもぐっとオーラが出てきますね」と話す。
花器は口が細いものだと花数が少なくても生けやすい。高さがあれば枝物や葉物で表情をつくることができる。
生けるときのひと手間も大切にしたい。茎から葉を外し、水に浸かる部分には葉が残らないようにする。葉が水に浸かると腐食が早まり、水が濁る原因になるからだ。
ちょっとしたコツを掴めば、花を長く楽しむことができる。毎日のくらしに小さな花を。ぜひ、取り入れたい習慣だ。
お話を伺った人
藤田京子(ふじた・きょうこ)さん
フラワースタイリスト・デコラトリス。通算7年半のパリ、6年の京都ぐらしで培われた深い美意識に基づき、「シンプル・上質・洗練」をコンセプトとした装花を提案。国内外の賓客を迎える装花や数多くのラグジュアリーブランドのデコレーションなども手がける。現在、南麻布のアトリエ「réfléchir KYOKO FUJITA」を拠点として、花を通して真の豊かさを発信しつづけている。