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松本一誠プロの『パワーに頼らず飛ばす』Vol.1~飛ばしに必要なリズムとは~

飛距離アップはあらゆるゴルファーの夢であり、PGAツアーなどのデータを見ても、ティーショットの飛距離がスコアに及ぼす影響は極めて大きい。プロゴルファーのようなストイックなトレーニングなどできないアマチュアにとって、飛距離を伸ばすにはどうすればいいのか。「飛ばしは技術」だと話す、JPDAのドラコン選手で団体史上初の大会2連覇など数々の実績を残し、最近ではInstagramの単一動画再生回数は1,000万回を突破するなどSNSでも人気を誇る松本一誠プロに飛ばしのコツを教わった。
第1回は、飛ばしに必要な“リズム”について。

飛距離アップ=筋力ではなく、技術

私のようなドラコン選手が300ヤード以上飛ばせるのは、トレーニングでつけた筋力のおかげだと思っているアマチュアの方は多いのではないでしょうか。
もちろんドラコンレベルの飛ばしを求めるのであれば筋力は重要ですが、アマチュアの方が飛距離アップするのに筋力はほとんど必要ありません。むしろ技術こそが飛ばしの本質なんです。
具体的にはスイング中どのタイミングでどのように力を出すか。
例えばブランコのような振り子運動をイメージしてみてください。子供が乗ったブランコを押して加速させようと思ったら、背中方向に動いている最高点を過ぎてブランコが下降に向かう瞬間に、子供の背中をポンと押してやるだけでかなりスムーズに加速できます。これは押す力が強いかどうかよりも、押すタイミングと方向のほうが重要であることがわかると思います。
ゴルフスイングもこれと同じなんです。
一方で、ブランコを途中で加速させるのと違って、ゴルフスイングは静止したところからのスタートですし、外から押してもらうのではなく、クラブを振っている自分自身で加速させる動作が必要です。
そこで重要になるのがスイングのリズム、つまり「緩急」なんです。

スイングに緩急をつけることで出力効率を上げ、ヘッドスピードアップが可能

飛ばしのリズム。“緩急”をつけたスイングを身に着ける

切り返し直後に「急」をもってきて大きな力を出し、インパクトに向けて力を解放することでクラブスピードを上げ、強いインパクトが可能になります。
しかしそのためには切り返し直後の「急」を生むための緩急の連鎖が重要になります。
ある程度リラックスした「緩」のアドレスから、バックスイングの始動で一度スイングに「急」をつけ、トップ前後でもう一度少しだけ「緩」を作ってから、切り返し直後に大きな「急」を作る。
この緩急の連鎖が上手く作れると、スイング中シャフトにずっと負荷をかけ続けることができ、それをインパクト直前で解放してクラブを最大に加速させられるのです。

切り返しでしっかりパワーを出すことでインパクトまでに最大のパワーを出すことができる

この緩急がない、もしくはタイミングの悪い「急」だけでスイングしているのは、ブランコの鎖がたわんでしまうような効率の悪い力の出し方です。ブランコはスムーズに加速できず、軌道が乱れるなどのエラーも生じます。
とくに重要なポイントは始動です。
アドレスの位置にヘッドを置き去りにするようなイメージで、少しスピードをつけてバックスイングを始動すると、その後のトップ前後での「緩」、そして切り返しでの「急」をスムーズに作ることができます。

ヘッドをアドレス位置に置いてくるようなイメージでスピーディーに始動することが大事

「急」を作り出すワンポイント。“グリップの力感”

この「急」の始動をスムーズに行うには、グリップの力感も大事。アドレスでグリップを強くギュッと持っているとそれはすでに「急」の状態なので始動では反対にゆるんでしまいます。
ですのでしっかりクラブをホールドしながらも、余計な力が抜けた状態を作っておきたい。
これには2つの方法があって、1つは左手でクラブを持ってクラブを45度の角度にセットしたときの手の力感です。小指のつけ根あたりにグリップをひっかけつつ、中指付近に重さがかかっているような感覚。もう1つは両手でMAXギュッとグリップを握ったところからスッと力を抜いたときの力感です。
どちらの方法でもいいのでしっくりくるほうでチェックし、適度にゆるんだグリップを作ってください。

1つはクラブを45度の角度で持ったときの力感
もう1つはギュッと強く握ったところからゆるめたときの力感

スイング始動時のポイントは“イッセイプレス”

始動に際しては下半身を上手く使いたいので、足踏みする動作を取り入れるといいでしょう。
アドレスで右足のかかとを上げておき、それを踏み込む動きをきっかけにバックスイングします。これは横田真一プロに「イッセイプレス」と名付けてもらった方法です。
こうやってシャフトをしならせるようなスピーディーなバックスイングができると、スイング中の緩急のリズムが整い、必要なタイミングで必要な力が出せるようになります。
これが飛ばせるリズムなんです。

上げた右かかとを踏み込む動作(写真左)で始動する「イッセイプレス」も有効

松本一誠(まつもといっせい)

1992年生まれ。杉並学院高校ゴルフ部で活躍し、研修生を経てレッスンの道へ。23歳からドラコンにも挑戦し、2016年にはJPDA団体史上初の2大会連覇を達成。2019年JPDAのアキュラシー部門、ロングドライブ部門の両方で年間獲得ポイント1位。2020年には自己最長429ヤードを記録。2023年JPDAドラコンプロタイトルマッチ優勝など数々の実績を持つ。ベストスコア63とゴルフの腕前も一流で、トレーニング理論やスイング技術の発信にも積極的。SNSも人気で、競技と普及の両面で日本のドラコン界を牽引する存在。