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日本発、世界のトップを目指す蔵元がものづくりの矜持をもって選んだクルマ
私がLEXUSに乗る理由〜個性派オーナーが語る「LEXUSのあるライフスタイル」/LEXUS RX350h×永井則吉氏

LEXUSに乗る人のライフスタイルとクルマへの想いに迫るシリーズ。今回は、LEXUS RX350hに乗る永井酒造6代目当主の永井則吉氏を群馬県川場村に訪ねた。語ってくれたのは、伝統と革新から生まれたLEXUSのブランド観に重ねる想い、そして夫婦二人三脚で挑んできた数々の新しい試みのエピソード。先祖代々守り育ててきた、村の美しい風景とともにお届けする。

Text:Shigekazu Ohno(lefthands)
Photo:Takao Ota

酒づくりは、水から始まる

「うちの酒づくりは、米より先に水ありきなんです」

永井則吉氏はそう言って、群馬県北部、武尊山の麓に広がる川場村の酒蔵から少し離れた山の中へとクルマで案内してくれた。鬱蒼と茂る森の下に、さらさらと清冽な水が流れる渓谷が見えた。

愛車のLEXUS RX350hに乗って案内してくれたのは、利根川の源流域。初代が「惚れ込んだ」天然水は、今も仕込み水として大切に利用されている。

「足もとに気をつけてください」と注意を促されつつ、連れ立って斜面を下る。心地よいせせらぎの音のせいか、実際の気温よりも涼やかに感じられる。川の水に手を浸すと、冷たくて気持ちがいい。真夏でも、水温は12度を大きく超えることはないという。永井氏が「僕にとってのサンクチュアリー」と呼ぶ、永井酒造の酒づくりの原点ともいえる場所だ。

永井酒造が代々守り育ててきた森と水。せせらぎのほとりに置かれたスパークリング日本酒「MIZUBASHO PURE」も、まさにこの自然の恵みといえるだろう。

1886年創業の永井酒造。その初代は、長野県須坂市から川場村へ移住してきた。商売を考えれば、人の集まる城下町を選ぶのが自然だった時代である。ところが選んだのは、山間の小さな村だった。理由は、水にあった。

「マーケットよりも、原料である水のそばを選んだんですね。初代はここの水に惚れ込んだ。それからずっと、僕たちはこの水で酒をつくっています」

「この川の清冽な水は、そのまま飲んでも美味しいんです」と話してくれた永井氏。グラスで水を汲み、喉を潤す。

水を育む森もまた、永井家が代々守ってきた。世の中では、公害が大きな社会問題となっていた1970年代から地道に植林や間伐を続け、50年以上にわたって水源の環境を保全してきた。永井氏も、その大切な仕事を受け継いでいる。酒づくりが始まる日と終わる日には、社員とともに水源へ入り、水行をして感謝を捧げる。息子にも、幼い頃から参加させてきたという。

神聖な水源地で、社員とともに水行をする様子。水を、自然を、八百万の神として敬ってきた伝統を、今も受け継いでいる。

「酒をつくることと森を守ること。そのふたつは別々の仕事ではなくて、まったく同じことなんです」

父が遺したのは、美しい村だった

その思想の背景には、父の存在がある。永井酒造3代目でもあった父は川場村長を務め、酒づくり以上といっていいほど村づくりに情熱を注いだ。

「親父は、酒づくりと家族のことについては周囲、特に母親に任せっきりでしたが、その分、村づくりに全身全霊を傾けました」

海外の美しい農村を視察し、川場村でも景観を守る仕組みを整えた。家を建てる際には屋根の形や色を整え、また里山の原風景をつくる田んぼを無秩序な開発から守った。さらに、全国植樹祭を招致。その仕事の集大成のひとつとして誕生したのが、今では全国屈指の人気を誇る「道の駅 川場田園プラザ」だった。現在は永井氏の兄が、その経営を担っている。

永井酒造は、川場村の原風景であり、また酒の原料でもある米をつくる田んぼの真ん中にある。そして、窓から見える景色を守り育てたのは、村長を務めた父親であった。

若い頃の永井氏には、そんな父の考えが理解できなかったという。むしろ「この田舎から早くでたい」と思っていた。大学では建築学を学び、バックパックを背負って世界を旅した。イタリア、スペイン、スイス。さまざまな都市や農村を歩くうち、かつて父が見てきたものと出合う。そして故郷を外から眺めることで、初めて気づいた。「川場村は美しい」と。

愛車を降り、川場村の風景の魅力を語る永井氏。山と水、田畑と人の営みが長い時間をかけて調和してきたところに、その美しさがあるという。

「父は20年、30年先を見て村をつくっていたんだと、そこで初めてわかったんです」

世界を知ることが、故郷へと戻る道になった。

「伝統を守るには、革新しつづけるしかない」

建築家を志していた永井氏の人生を変えたのも、酒蔵だった。大学在学中、父の助言により、新しい酒蔵の建設プロジェクトに参加。田園風景の中に浮かぶような蔵を構想するうち、「この空間で、自分も酒をつくってみたい」と思うようになる。海外で建築を学ぶ計画を取りやめ、家業へ入った。しかし、守るだけの酒づくりをするつもりはなかった。

建築を学んでいた学生時代、父の助言によりプロジェクトメンバーとして設計に携わった酒蔵。田んぼの真ん中に船のように浮かぶ姿をイメージして設計したという。

「僕は、伝統を守るためには革新の連続が必要だと思っています。それで初めて、伝統を次の時代へ残せるんじゃないかと」

その象徴のひとつが、川場村のブランド米「雪ほたか」を使った酒だ。本来、食用米と酒づくりに使う米は性質が異なる。永井氏自身もかつて「食べる米ではいい酒はできない」と考えていた。だが、東日本大震災を契機に、その思い込みを疑った。

本社前に広がる「雪ほたか」の田んぼにて。作付け面積が限られているため、つくられる酒は希少価値が高い。

「できないんじゃなくて、自分に試してみる勇気と、形にする技がなかっただけだと気づいたんです」

試行錯誤を重ね、今では雪ほたか特有の上品な甘みと旨みを酒に表現する。生産量はごくわずかで、蔵を訪れた人だけが出合える特別な酒となった。

「雪ほたか」を原料に用いたスパークリング日本酒「MIZUBASHO 雪ほたか Awa Sake」。

日本酒になかった世界を、日本酒でつくる

永井氏の革新は、さらに世界へ向かう。代表作「MIZUBASHO PURE」は、シャンパーニュのような瓶内二次発酵による、世界初のスパークリング日本酒。完成までに約700回の試行錯誤を重ねたという。顕微鏡で酵母を数え、発酵を科学的に検証する一方、最後に頼ったのは人間の舌、鼻、手、耳だったという。永井氏はそれを「酒づくりは、アートとサイエンスの融合」と表現する。

世界初のスパークリング日本酒「MIZUBASHO PURE」。ニューヨークやパリの5つ星ホテルや星付きレストランをはじめ、世界各国のレストランで採用されている。

スパークリング日本酒においては一社だけで市場を独占するのではなく、蔵元仲間とともに「一般社団法人awa酒協会」を設立。初代理事長に就任し、ひとつの新しいカテゴリーの普及に努めている。そこには、自社の商品を売ることだけではなく、日本酒という文化そのものの市場を広げようとする、経営者としてのスケールの大きい視点があった。
「世界では日本食がこれほどまでに広まったのですから、今度はチームジャパンで“スパークリング清酒を世界の乾杯酒にする”ことを目指しているんです」と話す永井氏。ほかにも、長年にわたって日本酒の熟成を研究しており、ヴィンテージ日本酒というさらに別のカテゴリー開発にも挑んでいる。

「ワインには食中酒だけでなく、食前酒も食後酒もある。だったら日本酒にも、コース料理とペアリングできるようなバリエーションがあった方が、食卓がもっと豊かに、楽しくなるじゃないですか。スパークリング清酒もヴィンテージ日本酒も、さらにはDESSERT SAKEというカテゴリーも、そんな素朴な想いからスタートさせました。長年の努力の甲斐あって、今では海外のミシュラン星付きレストランでも採用されるようになり、確かな手応えを感じています」

コース料理とのペアリングを可能にする4カテゴリーの日本酒ラインアップ。左からスパークリング日本酒、食中酒、ヴィンテージ日本酒、DESSERT SAKE。

世界を旅し、日本酒の未来を持ち帰る

永井氏のたゆまぬ挑戦を支える重要な存在が、副社長でもある妻の松美さんだ。ふたりが出会ったのは、アメリカワインの聖地として知られるカリフォルニア州のナパ・ヴァレー。以来、夫婦で世界各地のワイナリーやホテル、レストランを巡り、日本酒に「まだ足りないもの」は何かを探し続けてきた。

ふたりが追求したのは、酒そのものの品質だけではない。ブランディング、マーケティング、哲学の伝え方、そして訪れる人にどのような時間を過ごしてもらうかまで、その探求は多岐にわたった。その結果、2023年に生まれたのが、本社に隣接するテイスティングルーム兼醸造研究所「SHINKA〜真価、進化、深化〜」である。完全招待制で、迎え入れるのは一日一組だけ。ここでしか飲めない酒を、その背景にある森や水、米、そして土地の料理や歴史とともに味わってもらう。単なる「試飲」ではない。日本酒を土地ごと体験するための空間だ。

テイスティングルーム兼醸造研究所「SHINKA〜真価、進化、深化〜」の居心地のよい上質な空間。

建築を学んだ永井氏自身が基本構想に深く関わり、地元群馬の木材を随所に用いた。空間に足を踏み入れた瞬間の見え方まで計算する。その発想には、世界のラグジュアリーホテルやワイナリーを見てきた経験が生きている。そして永井氏は、会社の継承を「駅伝」に喩える。

「僕は今第6区を任されている。一番の伴走者が妻です。社員や取引先、地域の皆さんにも伴走していただいています」

本社に隣接する古新館は、明治時代の旧酒蔵を改装した直売店。その奥には、家業を切り盛りした母親の思い出が詰まった敷地内には「蔵カフェ」と呼ばれるスペースもあり、SHINKAを訪れるお客さまを中心にご利用いただけるレストランとして活用されている。

受け継ぐ人がいて、伴走する人がいて、次へ渡す人がいる。酒も、森も、会社も、村も、永井氏にとっては一本の長いリレーなのだ。

ものづくりの思想が重なったLEXUS

そんな永井氏の愛車はLEXUS RX350h。取材時には、納車されたばかりの、永井氏にとっては2代目となるRXが、黄金色に実った雪ほたかの田んぼの傍らに停まっていた。酒蔵から、すぐ目と鼻の先の場所に広がる風景である。

永井氏が大切にする故郷・川場村の景色と、愛車のLEXUS RX350h。

「自分たちは、日本のトップとなり、世界のトップとなるような酒づくりを目指しています。そのために、伝統と革新を融合させるものづくりを行っているという点でも、LEXUSとは響き合うものがあると思ったんです」

共通するのは、思想の部分だけではない。酒づくりでは、発酵温度や酵母の状態を徹底して数値化する。しかし最後に酒の出来を決めるのは、人間の五感だという。

「データを取れるものは徹底して取ります。でも、香りを嗅いだり、米を手で触ったり、発酵中の音を聞いたりすることは、人間にしかできない。ある程度まではAIでも酒をつくれるかもしれません。でも、本当に心を動かすレベルでは、人間の感性が必要不可欠だと信じています」

それは、先進技術を駆使しながら、最後には人間の感性でクルマを磨き上げるLEXUSのものづくりにも通じる。LEXUS RX350hについて永井氏が口にしたのも、「静と動」という感覚的な言葉だった。

「動きはアクティブなのに、中は本当に静か。その絶妙なバランス感覚に感動しました。そして、見るもの、触れるものすべての質感もいい。洗練された美しさがありますね」

永井氏が「精悍であり、かつ洗練されている」と評してくれたLEXUS RX350hのフロントビュー。

また、川場村で酒づくりを行う永井氏にとって、クルマは単なる“足”としての移動手段ではないという。

「都会くらしの人たちより、もっとクルマに乗る機会も多いし、乗っている時間も長いじゃないですか。クルマは自分のからだの一部のようなもの――といえば、なんとなくニュアンスが伝わるでしょうか。身体的感覚のある大事な“足”だからこそ、機能性だけでなく心も満たしてくれるものがいい。そんな理由もあって、LEXUSを選びました」

運転しながら「パノラマルーフ越しに、季節の移り変わりを感じるのが好き」と語ってくれた永井氏。

朝の移動では、経済ニュースやポッドキャストを聞いて、頭に新しい情報を入れるという永井氏。午後はあえてインプットをやめ、好きなジャズを聴く。静かな車内で音から得る情報やインスピレーションを大切にする永井氏は、メーカーオプションの“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステムを「躊躇なく選んだ」という。

“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステムの音質の高さは、何を聴くにも重宝しているという。

そして休日のドライブでは、父親の顔になる。冬は、成長した子どもたちを乗せてスキーに行くのが家族の楽しみとなっている。海外でも家族とドライブ旅をし、この春にはイタリアを約1,600キロメートル走ったという。

世界を旅して新しいものを吸収し、川場村へ帰る。そして、そこでしか生まれないものをつくる。初代が見つけた水を守り、父がつくった村の未来を考え、妻とともに日本酒の新しい可能性を世界へ開いていく。愛車であるLEXUS RX350hと同様、永井氏もまた「静と動」の振れ幅の大きい、ダイナミックかつ上質な人生を歩んでいる。そして、代々受け継いだ伝統と、自らの心に従って生み出す革新の間に、昨日までなかった新たな“美味しさ”という価値を生み出しつづけていく。


永井則吉氏

1972年、群馬県川場村生まれ。1995年、東海大学工学部建築学科卒業。同年、永井酒造株式会社入社。2013年、代表取締役社長就任。2016年、一般社団法人awa酒協会設立・初代理事長就任。2020年、一般社団法人刻SAKE協会設立・初代理事。

永井酒造株式会社公式WEBサイト:https://nagai-sake.co.jp

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