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“最高の味”を追求しつづけながら、オフの日には自然の懐に抱かれてリフレッシュする
私がLEXUSに乗る理由〜個性派オーナーが語る「LEXUSのあるライフスタイル」/LEXUS GX550 “OVERTRAIL+”×楠田裕彦氏

シェフにしてシャルキュティエ(ハムやソーセージなどの食肉加工品職人)の楠田裕彦氏は、兵庫県と東京都で自身の店舗を経営しながら、毎朝、そしてオフの日にもトレッキングやトレイルランニングに勤しんでいる。仕事も遊びもストイックを地でいくような氏が、相棒として選んだクルマはLEXUS GX550“OVERTRAIL+”。いったいどんなカーライフスタイルを送っているのか、兵庫県の「メツゲライクスダ芦屋店」を訪ねて取材した。

Text:Shigekazu Ohno(lefthands)
Photo:Yoshiaki Tsutsui(Il Nido)

“最高の味”のシャルキュトリーづくりを目指して

日本屈指の高級住宅街として知られる兵庫県芦屋市。閑静な住宅街の通り沿いに、その店はどこかヨーロッパの街角を思わせるような、瀟洒な店構えでたたずんでいた。名前は「メツゲライクスダ芦屋店」――カタカナになると、ぱっと見で読み方に迷うかもしれないが、「メツゲライ」とはドイツ語でいうハムやソーセージ、テリーヌといった食肉加工品のこと。よく目や耳にする「シャルキュトリー」は、これのフランス語に当たる。オーナーであり、シェフであり、職人である楠田裕彦氏の名を冠した店が、今回の取材で最初に訪れた場所であった。

メツゲライクスダ芦屋店の前に立つ楠田氏。

もし、アンデルセン童話やイソップ童話に出てくるような“肉屋の店主”像を思い浮かべるとすれば、大きなお腹をエプロンで包んだヒゲの男といった風采になるかもしれないが、店先で、はにかんだ笑顔で迎えてくれた楠田氏は、実にスマート。引き締まった体つきと、人好きのする優しい表情の対照が印象的だった。

さて、挨拶もそこそこに目を奪われたのは、ひと目で食欲をそそる、どれもこれも美味しそうなシャルキュトリーやデリカテッセンが並ぶ大きなガラスのショーケース。それを求めて訪れるグルマンたちにとっては、まさに宝箱のように映るのだろう。フォークの先で突いたらパチンと弾けそうな丸々としたソーセージはどれも艶々していて、見ているだけで心が躍る。こちらも多種多様なハムやサラミ、そして肉の断面に現れた霜降り模様やまだら模様は、食べ物ではあるが鑑賞していて飽きることがない。

訪れる客を魅了する店内の大きなショーケース。美味しそうなシャルキュトリーとデリカテッセンに、思わず目移りしてしまう。

美術品に限らず、人の手で丁寧につくられるものには、ときとして意図せずとも美が宿ることがある。楠田氏をはじめとする職人たちが、これらの食べ物を愛情込めて丁寧につくっているさまが、ありありと脳裏に浮かんでくるようだ。

そこで楠田氏に、作業の様子を見せてもらえないかと尋ねると、店舗奥の厨房に案内してくれた。そこは冷凍・冷蔵庫や調理器具、作業台など、鈍色に光るステンレススティールで覆われた世界で、道具類なども整理整頓され、手入れも行き届いた、イメージどおりの空間だった。木製の家具調度品が置かれ、床にモザイクタイルを敷いた温かみあふれる店舗内とは、あるべき方向性で対照的な雰囲気である。

作業台に立ち、肉を切り分ける楠田氏。

メガネをかけた楠田氏は、若いスタッフに指示をだしながら、肉の切り分け作業を始める。先ほどまでの柔和な表情はいつの間にか消え失せていて、眼差しは真剣そのもの。作業の前後に研ぎ棒を取り出して大きな包丁を研ぐさまも、寡黙でありながら迫力があり、なんだか話しかけてはいけないような緊張感すら覚えた。ここは職人たちの神聖なる職場――そう感じられた。

店先に戻り、楠田氏に話を伺う。人物紹介を兼ねて、少し内容を披露しよう。そもそも氏がこの道に進んだのは、父親が鹿児島県でハム職人をしていたから。早いうちから手伝いを始め、高校卒業後はフランス料理とイタリア料理を学び、シェフとして身を立てる。

だが、料理への理解が深まるほどに、子どもの頃から父親とともにつくってきたシャルキュトリーへの想いが高まる。日本国内で大手メーカーが大量に工場生産し、販売するものとは違う手づくり品を提供したいという情熱から、楠田氏は本場といわれるドイツに渡り、マイスター(親方)のもとで修行を積んだ。のちにフランスにも赴き、そこでもまたドイツのものとは似て非なる“本場”の味を学ぶ。

親子二代でシャルキュトリーの道を歩んできたと語る楠田氏。根底にあるのは、美味しいシャルキュトリーに対する愛だ。

楠田氏は製法だけでなく、地元の人びとに親しまれ、愛されるような“店の在り方”にも触れ、次第に「いつの日か、日本に理想の店を開く」という夢を抱くように。帰国後は本場ヨーロッパの伝統製法をベースに、日本の食材を用いて“独自の味”を模索。2004年、ついに自身初の店「メツゲライクスダ六甲道店」をオープンさせる。2009年、イートインも可能な「メツゲライクスダ芦屋店」を同じ兵庫県内にオープン。2024年には東京進出も果たし、麻布台ヒルズ内に「クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン」をオープン。現在、国内3店舗に加え、オンラインショップも運営している。今や、押しも押されもせぬ日本を代表するシャルキュトリー店として、広くその名を知られる存在となっている。

ここで驚かされたのは、その人気ぶりを伝える話である。味の虜となり、店を訪れる客は日本国内に留まらず海外にも増え、なんとプライベートジェットに乗って買いにくるリピート客もいるという。また、店内で働くスタッフの中にも外国人の姿が。聞けば、フランス、ドイツ、ロシアといったヨーロッパ圏からも「修行させてほしい」といって訪ねてくるのだそうだ。だが、そもそもはヨーロッパにルーツがあるシャルキュトリーなのに、彼らはなぜあえて楠田氏を選ぶのだろうか。

外のカウンターテーブルでインタビューに応える様子。この店の顧客は、一般客のみならずプロのシェフも多いという。

「そもそも日本人がつくるシャルキュトリーというのは、たとえていうと外国人が握る鮨のようなもので、不安半分、期待半分なところがありますよね。でも、どうやらSNSに上がる写真などを見ると、美味しそうだと(笑)。実際、うちで働くドイツ人スタッフも『自分が地元で食べていたものより美味しい』と、本当か嘘かはわかりませんが、そういってくれているんです。さらに、世界的には日本食が注目を集めている中で、僕がつくるシャルキュトリーには、たまに昆布や奈良漬や味噌を使ったものなどもあったりして、一体どんなものなのか、とにかく興味深いらしいんです」

下段の左から2番目のソーセージは「星屑昆布とドライオニオン」。日本の食材を用いたオリジナル商品も人気を集めている。

笑いながら、そう語ってくれた楠田氏。言葉を選びながら、丁寧に話してくれるその人柄も魅力的で、人気の理由のまた違う片鱗を見た気がした。

LEXUS GX550“OVERTRAIL+”に乗って、六甲山へ

店舗での製品づくりに加えて、経営者としては営業や社交もあり、さらに地方で行われるグルメイベントへの参加など、多忙を極める楠田氏の日常。その精力の源、あるいは気晴らしにもなっているのが、愛車であるLEXUS GX550“OVERTRAIL+”を運転する時間と、日課であり趣味でもあるトレッキング&トレイルランニングであった。

「乗ってください。すぐ近所にお気に入りの場所があるんです」――そういってLEXUSのコックピットに滑り込んだ楠田氏は、一緒に店をでた我々を乗せて、全幅が2メートルもある大きなクルマをひらひらと操り、街の中も九十九折りの山道も、同じようにすいすいと軽快に走らせる。つまるところ“運動神経のいい運転”である。

芦屋の街を出て、六甲山麓へと連れ出してくれた楠田氏。半年前に納車されたばかりの新車を、すでに自分の手足のように自在に操ってみせる。

そう伝えると、楠田氏は笑いながらこう答えてくれた。「運転はもちろん好きです。山歩きの趣味とイベントの打ち合わせを兼ねて、最近も長野県まで二度通ったんですが、休憩を挟んで9時間くらい、平気で走りますね。このクルマは形も色も好きですが、とにかく乗りやすいのが気に入っています。パワーも十分だし、この車格ならではの走りの上質さもある。高速クルージングのときは、走りの安定さが際立ちますね。車高があって見晴らしがいいのも、長距離ドライブの際は運転の楽さにつながっています。さらに、オフロードも走れるクロカン(クロスカントリー車)ならではのワイルドさもあって、乗り換えてみて本当によかったと思っています」

オフロード走行時などに使用するセンターデフロックスイッチやトランスファースイッチ。楠田氏を魅了するクロスカントリー車ならではの機構だ。
バックドアを開けることなく、ちょっとした荷物の出し入れに便利なバックドアガラスハッチもお気に入りの機構のひとつ。

何から乗り換えたかといえば、答えはLEXUS RX。これまでに3台も乗り継いできたお気に入りのクルマであったという。では、車種を変えた理由はなんだったのか。

「やはり、トレッキングやトレイルランニングに行くのに、SUVよりもっと本格的なクロカンに乗りたいという想いがずっとあったので。ご縁があって、LEXUS GX550“OVERTRAIL+”を手に入れることができて、その実用性はもちろんのこと、ある意味スマートじゃないワイルドさの部分に惹かれています」

木漏れ日の中、林道を走らせて、お気に入りの水辺のある山へ。そんなちょっとしたアウトドア体験が、日々のリフレッシュになるのだという。

楠田氏が鹿児島県で育ったという話はすでに書いたとおりだが、鹿児島時代には仲間たちと一緒に山で遊び、海に飛び込み、素潜りで魚を突いて獲る、まさにワイルドな少年時代を過ごしていたという。最近になって、山に専念するようになってきたが、要は自然の中での遊びに強く惹かれる、もって生まれた性質があるのだろうと話してくれた。

自宅から、あるいは店からすぐの場所に、トレッキングやトレイルランニングにぴったりの美しい水辺や山がある。街と自然の距離の近さが、芦屋の魅力だという。

「実はこのエリアを拠点とするようになったのも、六甲山をはじめとする魅力あふれる山々が、街のすぐそばにあるという環境に惹かれたからなんです。毎日、家を出てすぐに山を歩いたり走ったりできるし、休みの日には趣味の仲間たちと遠征する場所にもこと欠きません。自分は厨房に籠って、五感を研ぎ澄ませて集中する仕事ですから、山のきれいな空気を吸って、からだを動かして汗を流す、そんなオフの時間が最高のリフレッシュになっているということなんでしょうね」

六甲山に近い展望台から芦屋や西宮の街を見下ろし、清々しい顔でそう話してくれた楠田氏。もたれかかる愛車の後ろ姿は、凛々しく、頼もしく、楠田氏自身の個性に不思議なくらい重なって見えた。

六甲山の中腹の展望台にて。

「山は、季節や天気によって、コンディションもその姿も、一日として同じであることがないんです。僕が取り組んでいるシャルキュトリーづくりも一緒で、子どもの頃から父と一緒に取り組んできたライフワークでありながら、その日その日で食材も違えばコンディションも違う。同じひとつのレシピで、毎日同じ味がだせるような簡単なものではないんです。自分の頭の中で思い描く“最高の味”を、どう形にするか。まだまだ、一生かかって追求していく価値のあることなんです」

楠田氏がこれから歩んでいくであろう人生という長い旅路に、LEXUS GX550“OVERTRAIL+”はきっとこの日と同じように、言葉少なだけれども力強い相棒として寄り添っていくことだろう。

楠田裕彦氏

1972年生まれ。兵庫県出身。ハム職人だった父の独立に伴い鹿児島県に移り、幼少期から父の下で仕事を学ぶ。関西のフレンチ、イタリアンで修業し、1996年渡欧。ドイツ、フランスで食肉加工を学び、2000年に帰国後、実家のハム工場で製造責任者を務める。2004年に神戸で「メツゲライクスダ六甲道店」を開店し、2009年芦屋店を開店。国内外での料理、食肉加工のコンペティションでの受賞多数。2016年にはパテオンクルートの世界大会のアジア予選で審査員を務め、経済産業省が、日本が誇るべき地方産品を定めた「The Wonder500」に認定される。2021年には第12回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」シルバー賞を受賞。
URL:https://metzgerei-kusuda.com/

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