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Japan Mobility Show 2025
ジャパンモビリティショー2025 LEXUSブースレポート。「DISCOVER 誰の真似もしない」を体現したヴィジョンに迫る

一般社団法人 日本自動車工業会が、2025年10月30日(木)から11月9日(日)の期間に東京ビッグサイト(東京都・有明)にて開催した「Japan Mobility Show 2025(ジャパンモビリティショー2025)」を取材。LEXUSブースではどんなヴィジョンが示されたのかを、コンセプトカーおよびほかの関連するブースの様子や、注目される新生センチュリーのレポートとともにお伝えする。

Text:Ken Sudo
Edit:Shigekazu Ohno(lefthands)
Photo:Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE)

フラッグシップを再定義した3台のコンセプトカーを展示

話題をさらったLS CONCEPT。

トヨタグループの5つのブランドが東京ビッグサイトの「南展示会場」に集結し、それぞれの新たな方向性、目指す未来像を示したJapan Mobility Show 2025(以下、JMS 2025)。

開幕に先がけて、トヨタの新しいブランド戦略が明らかになった。センチュリーが独立し、LEXUSの上に位置するトップブランドになるというのだ。1989年に誕生したLEXUSブランドは大きな変革の時を迎え、JMS 2025にはLEXUSの革新を明確に示すコンセプトカーやモビリティ関連の展示が並んだ。

LEXUSがテーマとして掲げたのは「DISCOVER 誰の真似もしない」。トヨタのサイモン・ハンフリーズ チーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)は、29日に行われたプレスカンファレンスで次のように語った。

「センチュリーがトヨタの最高峰に立つことで、LEXUSは“ラグジュアリーの中心”で、さらに自由に進化できるようになります。そんなLEXUSの想いを表現する言葉は“DISCOVER”。誰の真似もせず、自信にあふれること。冒険的で、革新的であること。すべては、お客さまの新しいラグジュアリーライフスタイルの発見につながるように。今回は皆さまに“ラグジュアリーブランド”の概念を改めて問い直したいと考えています」

その言葉どおり、LEXUSはフラッグシップ「LS」の名を冠する3台のコンセプトカーを展示。LSを“Luxury Sedan”でも“Luxury SUV”でもなく“Luxury Space”と再定義し、スポットライトを当てたのである。

6つのタイヤとスライドドアをもつLS CONCEPT

「LS CONCEPT」のリヤサイドビュー。

会場でひときわ大きな存在感を放っていたのが「LS CONCEPT」。LEXUSの嚆矢そして旗艦として1989年に誕生したLSは、36年を経て6つの車輪と広大な室内スペースをもつミニバン・ボディに再定義された。

「LS CONCEPT」のインテリア。従来の車内空間の既成概念を超える広さを誇るだけでなく、対座シートとしてのアレンジも可能となっている。

クルマのパッケージはセンター席(2列目)中心で考えられている。見晴らしがよく室内スペースは十分にあり、センター席に座る人が足を伸ばしても前のシートに当たらない。大型のスライド式ドアと小径の六輪タイヤは、2列目と3列目シートへのスムーズな乗降と、高級車らしい重厚な乗り心地、ボディやシャシーの強度を考慮して採用された。

「TURNING LEFT」の文字までも示される「LS CONCEPT」のウインカー。

高級車=トランクをもつセダンという既成概念を打ち破り、これからの時代にあるべき姿を追求した、まさに「誰の真似もしない」斬新かつ画期的な提案である。

「LS CONCEPT」のリヤビュー。

「二律双生」を体現する「LS COUPE CONCEPT」

斬新なスタイルで注目を集めた「LS COUPE CONCEPT」。

「LS COUPE CONCEPT」は、LEXUSが掲げる「二律双生」を体現するクルマだ。ドライバーはクルマを駆って走る楽しさを、同乗者は後席でゆったりくつろぐ喜びを発見できる。相反するものの調和こそが、LEXUSの真骨頂なのである。

キャビンはなめらかな空気の流れを想起させる“流面形”ともいえる形状。大径タイヤを履いていることもあり錯覚で小さく見えるが、現行のLSと同等以上の室内空間を確保している。こちらもフラッグシップという位置づけであり、抑揚のある面とエッジの効いたラインのコントラストで洗練されたイメージのエクステリアとしている。特に、空気を取り入れる大きなエアインテークがあるボディサイドは抑揚のあるエモーショナルな意匠になっている。

未来的な「LS COUPE CONCEPT」のインテリア。

インテリアは「クルマらしくない室内」を目指してデザイン。フローリングやシートは、運転を楽しむためのドライバー席と室内でくつろぐ乗員の空間を色やマテリアルで分け、ヘッドレストのデザインも前後で変えている。インパネは薄く、彫刻的な美を意識した。

後部座席のディスプレイでは、リアルタイムのドライビング映像を楽しめたり、前席に座るドライバーの顔を映し出して対面感覚で会話を楽しむこともできる。乗る人のためのエンターテインメント性を重視したコンセプトになっているのだ。

「LS COUPE CONCEPT」のサイドビューとリヤビュー。観音開きのドアや、テールランプのデザインが目を引く。

「LEXUS SPORT CONCEPT」は内装を初公開

「LEXUS SPORT CONCEPT」のダイナミックなエクステリアデザイン。

2025年8月に米国の『モントレー・カー・ウィーク2025』で公開された「LEXUS SPORT CONCEPT」が日本初お目見え。JMS 2025のLEXUSブースの展示では、車両と合わせてドライバーの気持ちを盛り上げる音や光の演出も楽しめた。

このコンセプトカーは「DISCOVER IMMERSION=没入感」がキーワード。五感のすべてに訴えかけ、これまでに体験したことのないような感覚に触れられる、前述の2台の「LS CONCEPT」とはまた異なる価値観をもつスポーティなフラッグシップである。会場には「これは次期“LFA”では?」と囁く人も多くいた。

「LEXUS SPORT CONCEPT」の運転席とリヤ部のディテール。

内装はJMS 2025で世界初公開。ドライバーが運転に没入し、エモーショナルな体験ができる空間、そしてデザインとなっている。

なお、別会場の『Tokyo Future Tour 2035』では“LEXUS Real × Virtual Driving Concept”が開催された。「LEXUS SPORT CONCEPT」に乗り込んで、PlayStation(R)5、PlayStation(R)4用ソフトウェア『グランツーリスモ7』の「富士スピードウェイ本コース」をバーチャル試乗することができ、人気を集めた。

次代を担うフラッグシップとして、これらのモデルがLEXUSを未来へと導いていく。

「LEXUS SPORT CONCEPT」に乗り込んで「富士スピードウェイ本コース」の走行体験が楽しめる展示。

パーソナルモビリティと、海と空のモビリティ

「LEXUS LS MICRO CONCEPT」のサイドビュー。
正面から見た「LEXUS LS MICRO CONCEPT」のインテリア。
「LEXUS CATAMARAN CONCEPT」の模型。
“空飛ぶクルマ”として開発された「Joby S4」。動力源は電気で、垂直離着陸を可能とする。

サイモン・ハンフリーズCBOはプレスカンファレンスで「未来とは、自分自身のラグジュアリーライフスタイルを発見することのできる場所。そして、ライフスタイルはさまざまな要素から成り立っていくことになるでしょう。LEXUSは多様性に支えられてきたブランド。私たちが思い描いている未来のLEXUSは、クルマづくりだけに留まりません」とも述べた。

その言葉どおり、陸・海・空のモビリティを革新するコンセプトモデルも展示された。

都市のあらゆる路地を自由に自動移動できるマイクロモビリティで、誰にも邪魔されない自分ひとりだけの上質な移動スペースともなる「LEXUS LS MICRO CONCEPT」、広大な海と自動操船によって生まれるプライバシーの守られた真の“Luxury Space”を形にする「LEXUS CATAMARAN CONCEPT」、そして陸だけでなく空にも移動の自由と楽しさを届ける「Joby」である。

ハンフリーズCBOはカンファレンスをこう締めくくった。

「ラグジュアリーとは、常にリードしつづけること。そして、それは革新の連続でもあります。お客さま一人ひとりがひとつのブランドだと、LEXUSは考えています。私たちは、これからもお客さまとともに歩み、お客さまが新しい視点で世界を見つめることを目指します」

「センチュリー・クーペ」世界初公開

センセーショナルなデビューを飾った新生センチュリー。

トヨタの最高峰ブランドとなる「センチュリー」。新たな“Flair”(色気)をまとったクーペは、ドレスを着てパーティー会場に向かう――そんなシーンが似合うクルマを目指したという。

エクステリアの「緋色(ひいろ)」は日本の伝統色で、センチュリーのエンブレムにもなっている「鳳凰」をイメージしたもの。そのエンブレムには江戸彫金、シート生地には西陣織など、随所に日本の伝統や文化を取り入れている。運転席と助手席を分ける仕切りは「機(はた)織り」をイメージ。織機の開発製造から始まったトヨタのルーツを表現している。

センチュリーの助手席。斬新な開閉スタイルのスライドドアを採用。
センチュリーの運転席。ショーファーカーでありながら、運転する喜びも重視している。

見た目はクーペだが、あくまでショーファーカー。運転席側は前後2席、助手席側は1席のみの3人乗り仕様だ。助手席側は前後両開きのスライドドアとし開口部を広くとった。室内でゆったり過ごせるよう前後に広大なスペースを確保しており、助手席側はフルリクライニングも可能。

平日はショーファーカーでありながら、休日はドライバーズカーとして楽しめるよう“FUN TO DRIVE”にもこだわっていく。「最高峰」にして「別格」のクルマ。開発陣は「世界に日本のものづくりと、日本の自動車産業の底力を伝えていきたい」と意気込んでいるという。

センチュリーのリヤサイドビュー。

“自動車”としてのスペックや性能だけではない、ラグジュアリーの本質においての来るべき姿を提案したLEXUS、そして新生センチュリー。今後どのような形で、どのようなタイミングでローンチしていくのかが楽しみでならない。

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