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LEXUS LM500h “version L”
LEXUSの3列シートモデル「LM500h “version L”」がもたらすショーファードリブンの新たな価値とは何か

2023年10月に、かねてより待ち望まれていたフラッグシップモデル「LM500h」が日本で発表され、前席と後席を隔絶したまさにショーファードリブンに相応しい存在として多くの支持を得た。そして、その魅力をより広げる新パッケージ“version L”が2024年5月に追加設定された。3列シート6名乗車を可能とした、法人需要からファミリーユースまで対応するMPV(多目的乗用車)であるこれは、既存のフラッグシップモデル“EXECUTIVE”とどんな違いがあるのか、また“version L”が生み出す新たな価値について考えてみた。

Text:Yusaku Kawachi
Photo:Hidekazu Nagamoto

革命的変化が訪れたショーファードリブンのカタチとLMという存在

街中を走るハイヤーやホテルの送迎車を見ると、ふと気づくことがある。それは、カタチの変化だ。つまり「ショーファードリブン」と呼ばれる種類のクルマたちのボディシェイプが、伝統的な3ボックスセダンから箱型の2ボックスタイプへと姿を変えたようなのだ。そしてこの革命的変化が訪れた背景には、やはりトヨタ アルファードの存在が大きいのではないだろうか。

2002年に国内専用モデルとして登場した初代アルファードは、のちに香港や中国といった近隣諸国でも販売が行われるようになり、人気はさらに拡大。現在でも国内月間販売台数は7,000台近くをキープするなど、その勢いには驚かされるばかりだ。そして、トヨタのラインアップの中において上級モデルとしての立ち位置を確立してきたアルファードが法人やVIPからショーファードリブンとして活用される需要が高まっていく中、求められるようになったのは後席乗員を満足させるに相応しい風格と豪華装備であった。

2020年に中国市場を皮切りに販売を開始したLEXUS LMは、そうした高級志向のニーズに応えたLEXUS初のMPVであり、2023年の2代目LMのデビューと同時に、待ち望まれていた日本市場への導入が果たされる運びとなった。

2023年10月に日本で発表されたLM500h “EXECUTIVE”は、2列シート4名乗車のショーファードリブンだ。2024年5月に追加設定された“version L”はLEXUSの3列シート6名乗車モデルで、LMの魅力はそのままに幅広いニーズに応えているのが特徴となる。

LEXUSのフラッグシップモデルLM500hの魅力をさらに拡張する“version L”

2023年10月に日本で発表されたLM500h “EXECUTIVE(エグゼクティブ)”は、まさしくショーファードリブンを体現した仕様で、全長5.1mを超える巨大な体躯にたった4座のみのシートが与えられ、前席と後席の間に設けられた「パーティション」により後席空間を隔絶する。まさに、車名に込められた「Luxury Mover(ラグジュアリー ムーバー)」の資質を最上級で示したモデルである。

さりとて、LMに求められるニーズはこうしたショーファードリブンだけにとどまらず、その広大な室内空間を活かしたMPV(多目的乗用車)的運用にまで波及した。つまりビジネスユースだけでなく、プライベートユースを含んださまざまなシーンを想定したモデルの存在が市場から求められたということである。

そうしたニーズに応えるため2024年5月に追加された“version L(バージョンL)”は、3列シートの6名乗車仕様で、多用途での活用が期待できる最上級MPVという立ち位置を担うモデルとなる。法人需要からファミリーユースまでを網羅できるMPVであり、“EXECUTIVE”の持つLEXUSフラッグシップモデルの資質を完璧に受け継いでいるのが特徴だ。

写真はLM500h “EXECUTIVE”のリヤシートで、前席と2列目シートを隔絶する48インチ大型ディスプレイとグローブボックス、クーラーボックスなどが一体となったパーティションを備えるのが特徴。

“version L”のエクステリアデザインは“EXECUTIVE”から一切の変更が与えられず、大きなボディを巧みに操った豊かな造形は、ひと目で「格別」という言葉が似合う、気品あるたたずまいを感じさせる。一方で、ただデザインコンシャスなわけではなく、Cd値の低減を目指した高い空力性能の実現という機能的側面も視野に入れたものであることは、いかにもLEXUSらしい本質的なデザインアプローチであり、感心させられるものだ。

インテリアに目を転じても、インパネ造形は“EXECUTIVE”と比べて変化が見られない。ホワイトレザーを基調とした明るい空間が特徴の「ソリスホワイト」と、シックな黒革でまとめられた「ブラック」の2色展開となるインテリアカラーのチョイスも変わらない。LEXUSのフラッグシップモデルに相応しいホンモノ感漂う空間が約束されている。

しかしひとたびスライドドアを開けると、はじめて大きな違いを目にすることになる。まずは“EXECUTIVE”の前席シート背後に設けられる48インチの大型ディスプレイやクーラーボックスが一体となったパーティションが、“version L”では取り除かれている。パーティションが取り除かれたことにより、空間は“EXECUTIVE”に増して明るく感じられるのは好印象である。またエアコンやシェード操作を集約したオーバーヘッドコンソールには格納式の14インチディスプレイが設けられ、“EXECUTIVE”と同様にTV視聴やHDMI接続により外部入力機能にも対応する「リヤシートエンターテインメントシステム」が装備されているのは嬉しい。

LM500h “version L”は前席と2列目シートの間に設けられていたパーティションが取り除かれたことで、より明るい室内空間を実現している。またオーバーヘッドコンソールには14インチのディスプレイが用意されている。

特等席はやはり2列目シート。最高級本革のL-ANILINEを採用。

“EXECUTIVE”との大きな差異点としてもうひとつ挙げられるのは、最大480mmのスライド量を実現する電動スライド機構を持つ2列目シートと、その背後に設けられた3列目シートの存在である。その詳細を確認すると、3列シート搭載車では類を見ないほど「格別」な気品と豪華さに圧倒された。

2列目シートに採用されるシート表皮は、包まれるような安心感と快適な乗り心地を目指したLEXUSで最高級本革となる「L-ANILINE(Lアニリン)」が採用される。座った瞬間からふわりとした座り心地と、アームレストやヘッドレストの柔らかな触り心地は、一度味わうと忘れることができないほど感動的だ。前席シートと3列目シートに採用される表皮が「セミアニリン本革」であることを知ると、“version L”においても特等席はやはり2列目シートであることは間違いない。

助手席シートのヘッドレストには前方へ倒れる機構が搭載されるほか、シートスライドの調整幅が拡大されたため、2列目シート左側は見晴らしのよい乗車空間が叶う。

2列目シートに焦点を当てると、作動範囲がアームレストとオットマンにまでおよぶシートヒーターとシートベンチレーションのリラクゼーション機能、そしてアームレスト内には高強度のマグネシウム製の天板を採用した格納式テーブルまで用意されている。

さらにLEXUSならではの装備として「リヤクライメイトコンシェルジュ」の採用が挙げられる。これはエアコン、シートポジション、サンシェード、照明などを統合制御できるもので、4種類のプリセットモード(Dream/Relax/Focus/Energize)と、乗員の好みに応じるカスタマイズモードも用意されるなど、その快適性は極上そのものである。

3列目シートはシートバックとクッションに厚みを持たせたLM専用のもので、乗員全員の高い快適性を約束するLMのキャラクターに相応しく、2名掛け仕様となる。3列目シート専用のトレイや充電用USB端子(Type-C)も装備されるなど、利便性にも抜かりがない。3列目シートは左右に跳ね上げることで荷室を拡大することができるため、2列目シートのロングスライド機構と兼用すれば広大なラゲージスペースを生み出すことができるのは、MPVとしての使用用途まで想定した“version L”らしい魅力である。

四輪駆動システム「DIRECT4」はコーナリング時の姿勢変化を抑えることに寄与する前後駆動力配分が可能なため、高い操縦安定性を確保する。LEXUSではLM500hへの採用のほか、RX500h F SPORT Performanceにも搭載される。

グランドツアラーのような快活の走りを実現するのもLM500hの大きな価値

パワートレーンは“EXECUTIVE”と同様に、2.4L直4ターボエンジンと高出力モーター「eAxle(eアクスル)」を搭載したハイブリッドシステムが採用される。これらを巧みに操る四輪駆動システム「DIRECT4(ダイレクト4)」を組み合わせることで、力強さと高いスタビリティ性を確保したグランドツアラーのような快活な走りを実現している。

そして特筆すべきは走行中の静粛性で、吸音材や遮音ガラスなどにより圧倒的な静けさに包まれた移動空間を提供してくれる。前席から3列目シートまで、無理なく会話を楽しむことができることは、ファミリーユースにおいても真価を発揮するだろう。

LM500h “version L”の車両価格は1,500万円と“EXECUTIVE”と比べて戦略的価格となる。LEXUSのフラッグシップモデルに相応しい魅力に富んだ選択は嬉しくもあり、非常に悩ましい選択になりそうだ。

近年カタチを変えつつあるプレミアム・ヴィークル。LEXUSというラグジュアリーブランドの手により、ショーファードリブンの新たな時流を生み出したLM。そしてその価値や魅力を幅広い領域へと拡張してくれるLEXUS LM500h “version L”は、まさにLEXUSでしか生み出すことができない、「プレミアム」で「多目的」な移動体験を提供してくれる存在なのである。

LEXUS LM500h “version L” 主要諸元

●サイズ/全長5,125mm×全幅1,890mm×全高1,955mm
●乗車定員/6名
●燃料消費率/13.8km/L(WLTCモード、国土交通省審査値)
●エンジン/型式:T24A-FTS
 種類:直列4気筒インタークーラー付きターボ
 総排気量:2.393L
 最高出力(ネット):202kW(275PS)/6,000r.p.m.
 最大トルク(ネット):460N・m(46.9kgf・m)/2,000~3,000r.p.m.
●フロントモーター/型式:1ZM
 種類:交流同期電動機
 最高出力:64kW(87PS)
 最大トルク:292N・m(29.8kgf・m)
●リヤモーター/型式:1YM
 種類:交流同期電動機
 最高出力:76kW(103PS)
 最大トルク:169N・m(17.2kgf・m)
●メーカー希望小売価格/1,500万円(税込み)

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