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堀越良和の「クラブ選び、もう迷わせません」vol.4
~パターの選び方について~

スウィング向上とともに、スコアアップに欠かせない「自分に合ったクラブ選び」。とはいえ、巷には新製品があふれていて、正解にたどり着くのが難しい。また、各メーカーが特長に挙げるクラブ用語についても、一般アマチュアは知っているようで実はあまり知らなかったりする。クラブに精通する堀越良和プロにわかりやすく解説してもらい、「自分に合ったクラブ選び」をマスターしよう。

撮影協力/クレアゴルフフィールド

ネック形状がストロークを左右する

パターを選ぶ際には、ブレード、マレット、ネオマレットといったヘッド形状に目が行きがちですが、より重視したいのはネック形状です。

ピンタイプに代表されるブレードにはクランクネック(ネックが「鍵の手=クランク」状に曲がっている)、ネオマレットはシングルベント(ネックがなく、シャフト自体が曲がっている)というのがよくある組み合わせですが、最近はマレットにショートスラント(ネックが短く、斜めに傾いている)が主流になるなど、いろいろなパターンが出てきました。

これらのネック形状の違いは、「トウフロー」に大きく関係してきます。
トウフローとは「フェースの開閉しやすさ」を意味します。

パターにはライ角があるため、厳密にはストレート・トゥ・ストレートではなく、イン・トゥ・インの円弧の軌道を描きます。

とはいえ、円弧が大きければよりストレートに近くなるのでフェースの開閉は小さく、円弧が小さければフェースは大きく開閉することになります。

(写真右から)「クランクネック」「スラントネック」「ショートスラントネック」「センターネック」「ベントネック」などのネック形状の違いが、フェースの開閉しやすさに影響する。

ネックの違いはトウフローの違い

さまざまなネック形状のパターを、台の上に寝かせて並べてみましょう。すると、フェースの向く方向がネック形状によって異なることがわかります。

「ダブルベント」や「シングルベント」、「センターシャフト」は上を向くのに対し、「クランクネック」や「ショートスラント」はやや斜め。L字パターは横向きに近くなります。
そして、これらの差を生み出しているのがネック形状なのです。

具体的にいうと、「シャフト軸の延長線がヘッドのどのあたりを指すか」。これによって、フェースがどこを向くのかが変わり、トウフローの度合いの決め手になります。

通常のクランクネックの場合、重心がヒール寄りにあるためフェースは斜めを向きます。ただし、最近はヘッドから伸びたネック部分が長いロングネックのモデルも登場しており、このタイプはシャフト軸の延長線がヘッドの中心寄りを指すため、フェースは上向きになります。

フェースが上を向くパターは「フェースバランス」と呼ばれ、ストローク中のフェースの開閉が小さい。一方、フェースが横を向くパターはフェースの開閉が大きい。
これが「フェースの開閉しやすさ」、トウフローの考えです。

パターを選ぶにあたって考えなければならないのは、自分のストロークとネック形状=トウフローが合うのかを確かめることです。

アドレスで高く構える方は、どうしてもイン・トゥ・インの開いて閉じるストロークになりやすくなります。その場合、フェースが開閉しやすいクランクネック、ショートスラント、L字などとの相性がよいでしょう。
フェースバランスのモデルでは、自分のストロークスタイルがパターの動きをスポイルしてしまい、安定したパッティングは難しくなります。

フェースバランスに合うのは、かがんで構えてショルダーの動きで、ストレート・トゥ・ストレートに近い軌道で打っていく方です。

フェースが上を向くパターは開閉が小さく、横を向くパターは開閉が大きい。これがトウフローだ。

ライ角、長さも重要なファクター

ヘッドに関して重要なのは、「自分が思ったラインに対して直角にクラブフェースを合わせることができるか」。
アライメントをサポートするラインが入っていたり、スクェアなデザインのほうが構えやすいように思えますが、実際にはそれらのアシストがかえって邪魔だと感じる方もいます。
このように、フェースの合わせやすさは千差万別なので、いろいろなモデルを試してみるといいと思います。

形状については、同じ「ネオマレット」でも「ダブルベント」もあれば「シングルベント」、「ショートベント」もあります。そうすると、ヘッドは同じでも「ショートベント」だと、少しイン・トゥ・インに動くので、繰り返しになりますがトウフローも頭に入れつつ選びましょう。

また、パターは、ソールがしっかり芝に接地するように構えることが大事なので、ライ角や長さにも注意が必要です。
とくに、パターの長さは34インチが標準になっていますが、身長が180センチあって手も長い方だと34インチでは余ってしまうので、33インチのほうがパターのソールがピタッと地面についてくれるかもしれません。
また、身長は165センチでも手が短い方なら、35インチのほうが合っている可能性もあります。その人の手の長さというのはものすごく重要なファクターなので、一概に34インチと決めつけず、他の長さにもチャレンジしてください。

パターは、ソール全体が接地するように設計されている。性能を活かすためには、ライ角や長さも重要なポイントだ。

堀越良和(ほりこしよしかず)

某ゴルフ雑誌社で四半世紀にわたり試打企画を行っており、「キング・オブ・試打」のニックネームを持つ。ゴルフスウィングと人体に関する研究に特化した世界有数の教育機関である「TPI(タイトリスト・パフォーマンス研究所)」の最高位「ゴルフレベル3」を取得。クラブメーカーの開発に携わった経験もある。(公社)日本プロゴルフ協会会員。クレアゴルフフィールド所属。

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