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レクサスに乗って行きたい宿
200平米を超える庭園付き別邸で過ごす休日
「強羅花壇」

1952年の創業以来、進化を続けながら日本を代表する旅館としてゲストをもてなしつづける「強羅花壇」。実はこちら、各部屋から趣の違う庭を望む、名庭の宿としても知られています。2021年には、200平米を超える庭園付きの贅沢な別邸がオープン。記念日に家族三世代でゆっくりと過ごしたくなるような新しい部屋とともに、改めて進化しつづける「強羅花壇」の魅力を取材しました。

Photo:Hiroaki Ishii
Text:Misa Yamaji (B.EAT)

創業70年。進化しつづける比類なき名宿

東京から車を走らせること1時間ちょっと。高速を降りて箱根湯本の駅を通り過ぎ、国道1号線を20分ほど上がった先の宮ノ下で国道138号線に入ります。ぐっと山深くなる急な坂道を上がっていくと目の前に見えるのは箱根登山鉄道の強羅駅。その線路の脇を進んですぐに現れるのが、「強羅花壇」です。

さりげないエントランス。

この場所は、閑院宮載仁親王が夏の避暑用に、岩崎康弥氏所有の土地を譲り受け建設した別邸でした。その土地を委ねられた強羅花壇創業者が1952年に料亭旅館をオープン。

その後、1989年に海外のホテルのエッセンスなども取り入れながら全面改装。建築家・竹山聖氏が手がけた、和と洋が融合したデザインの美しい現在の「強羅花壇」が誕生しました。

当時はまだ珍しい露天風呂付き客室などを造ったことも話題に。従来の温泉宿とは違う革新性と、料亭旅館ならではのきめ細やかなおもてなしが評判となり、今もなお日本のみならず、海外の賓客たちも訪れる名宿として愛されています。

ロビーと大浴場を結ぶガラスと木組が織りなす様がドラマティックな柱廊。床は磨かれた淡路瓦が使われ、周りの光を反射する様が美しい。

入り口を入ると、ロビー階の窓からは雄大な箱根の外輪山が目に飛び込んできます。宿の象徴ともいえる柱廊をはじめ、約7,000坪という広大な土地に建つ建物の至るところから箱根の山々をはじめとする緑深い景色が旅人を癒してくれます。

また、部屋にはそれぞれ趣向が違う庭があり、宿全体を通して建築と自然が溶け合っているように感じます。そんななかで身を置けば、せわしなく過ごしてきた日常から、いつのまにか解き放たれていくでしょう。

今泊まるなら、箱根の大自然を感じる別邸の「暁」へ

「名庭の宿」ともいわれる「強羅花壇」ですが、各部屋の庭は、箱根の自然との調和を大切にし、現在の建物が建てられたときから、それぞれにデザインを変えて作庭されています。

中でも、2021年に新しくできた別邸の貴賓室「暁」は、明星ヶ岳の大文字を望む石庭を独り占めできる「強羅花壇」のなかでもひときわ贅沢な造りの部屋です。

「暁」の客室専用露天岩風呂。

こちらの特徴はなんといっても、広い外庭があること。外周にはモミジやシダレザクラが植えられ、まるで左遠方の明星ケ岳から部屋の前まで自然が広がっているように庭が作られています。日陰の右側には椿やナツハゼなどの陰樹、苔が植えられ「しっとりとした庭」に、日が当たる左側は花樹が植えられ、寒水砂利を敷き、「陽光あふれる枯山水」に仕立てられ、季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。

庭に点在する石組は、個々の石が持つ特性を活かして庭のバランスを取るように配置。露天風呂の前には、山野草が植えられ、お風呂に入りながらその可憐な姿を眺めることもできます。

縁側から、枯山水の小さな庭園の向こうに広い庭を望む。その景色は自然と左奥の箱根の山につながる。

「暁」の贅沢なところは、この素晴らしい庭からの眺めが、宿泊者だけのものであること。山から登る朝日に照らされる石群を眺めながら広縁でくつろいだり、月夜に照らされる青白い枯山水を眺めながら露天風呂を楽しんだり、というこれ以上ない風雅な時間を過ごすことができるのです。

ベッドルームからも庭が眺められる。ベッドはシモンズ。

部屋のしつらえも、隅々まで拡張高い日本の旅館らしい意匠がほどこされています。襖(ふすま)は京唐紙、天井は書院造りに使われる格天井、壁は聚楽壁。畳は一年ごとに取り替えられるため、ほのかにすがすがしい畳の香りがします。

広縁の文机には、硯と筆が入った文箱が置いてあり、筆で手紙をしたためられるように、さりげなく置いてあることも素敵です。随所に女将の心配りを感じることができます。

ダイニングとしても使う奥の間。ゆっくりと食事ができるテーブル仕様。

また、「暁」には、12.5畳の本間、10畳の次の間、12畳の奥の間、6畳の広縁、トイレも2つあるので、家族三世代6人で宿泊しても十分な広さ。部屋付きの露天風呂とは思えない大きな岩風呂には、源泉かけ流しのお湯が満たされ、青森ヒバの内風呂にスチームサウナも併設と、望めば部屋から一歩も出ずに、お籠りステイが叶います。まさに、「強羅花壇」の“別邸”をひとり占めできる究極の贅沢がここにはあるのです。

新しい部屋が加わり、進化した「KADAN SPA」

夕飯までの間にぜひ訪れてほしいのが、深いリラックスが味わえる「KADAN SPA」です。旅館らしいしつらえの開放的な施術室に加え、2022年5月にプール横にトリートメントルーム3部屋を増設。リニューアル後は、外の景色を眺められる開放的なカップルルームか、あえて施術に没入できるように光と音を遮断した落ち着いた空間での施術か選ぶことができるようになりました。

人気のロビーフロアのエステルーム「紅葉」。2人同時に施術を受けたいときはこちらを予約して。

景色を楽しみたい方は、ロビーフロアの施術室、没入感を味わいたい方は、プール脇の施術室。予約時にその日の気分でリクエストをしてみてください。

施術のおすすめは「カダン・ボディ」。上質なオイルに高濃度の酸素を含有させたマッサージオイルを使用し、血行を促進しながらマッサージ。ゲストの状態にあわせて手技を使い分けながら、深いリラックスへと導いてくれます。

施術に使われる、高濃度酸素オイルO2クラフト(左)は館内で購入も可能。

男性の方には、日々の緊張とコリをほぐす男性向けのメニューもあるのも嬉しいところ。実はこちらのスパ、セラピストの卓越した技術の高さにリピーターも多く、近隣の宿に宿泊していても「強羅花壇」にわざわざSPAの施術を受けに来るゲストもいるほど。温泉で体を温め、ここでしか受けられない施術は、ぜひ楽しんでほしいプログラムのひとつです。

四季折々の食材が彩る、料亭旅館の料理

この日の八寸。烏賊と筍、独活の木の芽和え、海老手毬寿司など。

SPAから戻り、少しくつろいだら、いよいよお待ちかねの夕食です。料亭旅館でもある「強羅花壇」は、食事も楽しみのひとつ。総料理長・小林誠さんが作るのは、日本全国から選りすぐりの旬の食材を取り寄せ、季節感を表した京懐石です。季節を感じる美しい八寸、シンプルに食材を活かしたお椀など、どれも丁寧に作られ、宿に古くから受け継がれている器とともにゲストを楽しませてくれます。

この日のお椀「白味噌仕立て 蟹真丈 花弁人参 鶯菜 辛子」。

先付けから八寸、造りと続くコースは全部で9品。「強羅花壇」では、担当の客室係が各部屋に料理を運んでくれるスタイルなので、お部屋での食事が基本です。ほかのゲストに気兼ねすることなく、リラックスしながら親しい人と美味しい食事ができるのは旅館の醍醐味でしょう。

朝食。メインは駿河湾の干物。とりどりの小菜が並び、ご飯がすす。

翌日の朝食は箱根・静岡の海山の御馳走が並ぶ和食がおすすめ。干物は駿河湾産を含む4種から選べます。この日は鯵をチョイス。肉厚で脂が乗っている干物は、地物ならではの美味しさです。できたての豆腐や、炙りながらいただく海苔など、臨場感あふれる朝食もまた、旅館の楽しみです。

柔らかな泉質を源泉かけ流しで楽しむ贅沢

広々とした大浴場。露天風呂、内風呂に加え、サウナもあり。

ぐっすり寝た翌朝は、趣のある静かな大浴場を楽しむのもおすすめ。強羅温泉は湧き出ている場所ごとに泉質が違うといわれるほどの個性豊かな温泉ですが、敷地内に湧き出ている源泉を引いた強羅花壇の温泉は、アルカリ単純温泉のまろやかな泉質。肌あたりがよいのでいつまでも入っていたくなります。

湯上がりは、柱廊の先にある月見台で涼むもよし、サロン青嵐でくつろぐもよし。広い館内に点在する風雅な場所を散策すれば、さりげなく生けられた花、置かれる調度品などからも女将の心遣いを感じられるでしょう。すれ違うスタッフの方との会話からも、昔ながらの旅館らしい温かなホスピタリティを感じます。

長い時間が積み重なったからこそ、自然と一体化した雰囲気が味わえる。

美しい建築に庭、整えられた部屋にいい湯

開業以来人びとの心をとらえている強羅花壇のエッセンスは、現代のくらしや人びとの趣向に寄り添い、進化しつづけています。一方、古き良き旅館ならでは細やかな心遣いが、宿の随所に満ち満ちているところは、昔から変わりません。それこそが、今もなお、日本の名旅館のトップに名を連ねる理由でしょう。

ぜひ、大切な家族、または海外のゲストなどをお連れして、ひとときの休日を味わってみてはいかがでしょうか。


【DATA】
強羅花壇

住所: 神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
電話番号:0460-82-3331
料金:「暁」宿泊1泊2食付き2名さま利用時 1名様料金154,650円(税込み・サービス料込み)~

会員さまのご予約はトヨタファイナンス トラベルデスクにて承ります。

電話番号: 0800-700-8160(9時~17時/土日祝・年末年始除く)
https://tscubic-travel.com/t


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