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日本とイタリアのクラフツマンシップが融合。GUCCI x 西陣織「HOSOO」の唯一無二のバッグが誕生

レクサス「LS」のドアトリムにも採用された、銀糸やプラチナ箔の輝きを織り込んだ美しい西陣織。その品格に満ちたテキスタイルを開発したのが、1688年(元禄元年)創業の、西陣織の老舗である「HOSOO(細尾)」です。2022年11月、「HOSOO」とイタリアのラグジュアリーブランド「GUCCI」がコラボレーションした特別なバッグが誕生し、話題を集めています。今回は、このスペシャルアイテムにクローズアップし、西陣織の魅力やバッグの開発秘話に迫りました。

Text:Misa Haioka
Edit:Misa Yamaji(B.EAT)

伝統を守りながら、革新を続ける「日本の美」西陣織

西陣織は、平安時代から朝廷や貴族、武士階級、裕福な町人に支持され発展してきた、1200年余りの歴史を持つ世界に誇る伝統工芸品です。中でもHOSOOは、その伝統技術を守りながら最先端のテクノロジーを掛け合わせ、従来の西陣織の用途にとどまらず、テキスタイルメーカーとして積極的に海外展開し、西陣織にイノベーションを起こしつづける筆頭メーカーです。

京都・西陣にて1688年(元禄元年)に創業したHOSOO(細尾)。

グッチ

歴史とともに進化しながら、インテリアやファッション、アートなど、さまざまな分野へ西陣織を広げ、ラグジュアリーブランドやファイブスターホテルの内装にも使われているHOSOOの西陣織。そんな伝統を守りつつも進化をしつづける美しいテキスタイルに注目し、イタリア・フィレンツェにて1921年に創設され、世界のラグジュアリーファッションを牽引するブランド「GUCCI」から、“ともにバッグを作りたい”とお話があり、今回の特別なコラボレーションが実現しました。

高度な職人技と芸術性、伝統、進化を止めないスピリッツを共有するブランドとして、GUCCIとHOSOOが互いの歴史を象徴するデザインや技術を融合。誕生したのが、オリジナルの3種類の西陣織を用いた〈グッチ バンブー 1947〉と〈グッチ ダイアナ〉バッグです。

1960年代に登場して以来GUCCIを象徴するプリントとなっている「フローラ」を西陣織で表現した〈グッチ バンブー 1947〉。※限定アイテムのため、完売の可能性あり。
ブランドアイコンであるGGパターンを立体的に表現したテキスタイルを用いた〈グッチ ダイアナ〉。※限定アイテムのため、完売の可能性あり

類まれな伝統やクラフツマンシップなど、親和性の高さがタッグのきっかけに

今回のコラボレーションバッグ誕生までには約1年の間、HOSOOの職人たちとGUCCIのクリエイティブチームとの間で無数のやりとりが行われました。

HOSOO12代目当主であり、ブランドのクリエイティブディレクターを務める細尾真孝さんは、「GUCCIはクラフツマンシップとイノベーションを両輪に走らせている印象があり、HOSOOも同様に伝統をしっかり守りつつ、変化をしつづけることを大切にしているため、親和性の高さを感じていました。京都とフィレンツェは姉妹都市ということもありますし、感覚的にも近しいものがあり、コラボレーションの話があがった際にはとても光栄に感じました」と語ります。

西陣織の老舗「HOSOO(細尾)」12代目である細尾真孝さん。さまざまな取り組みを通して西陣織の可能性を世界に発信しつづけている。

新たなテキスタイルとして誕生したのは、GUCCIのアイコンであるGGパターンを立体的にあしらったものと、1960年代に生まれた歴史あるフローラモチーフにインスピレーションを得たピンク調とブルー調のテキスタイルの3種類。細尾さんいわく、これらのテキスタイルはGUCCIのユニークなアプローチによって誕生したそう。

「通常、ブランドとコラボレーションをさせていただく際、多くは決められたモチーフが提示され、『これを表現してください』という依頼が多いのです。ですが、今回GUCCIからは、まず我々が持つ200種類ほどのシグネチャーコレクションをすべて見せてほしいというリクエストから始まりました」。こうして実物をすべてイタリアへ送付。それをクリエイティブチームが目を通したうえで選ばれた3点のテキスタイルに、GUCCIモチーフを忍び込ませていきたい、というリクエストが舞い込みます。それは、HOSOOにとって過去にない試みだった、と細尾さんは教えてくれました。

「すでに完成しているテキスタイルに新たな要素を加えるということは、まさにイノベーションそのもの。建築に例えると、GUCCIという建物をゼロから作り出すのではなく、すでにHOSOOとして完成している建物の一部を削ってGUCCIという別の要素を取り入れるというアプローチですから、まったく新しいものを作り出すことよりも、ある意味ずっと難しい挑戦でした。どこをどう抜き差しし、織物としての構造や美的なバランスを成立させるかという点が、面白くもあり大変苦労した点でもあります」

西陣織は、20以上もの工程を経て完成する。染物の職人や箔の職人など、それぞれの工程にはひとりずつ別のマスタークラフトマンが携わっている。

東洋と西洋を結びつける、特別なコラボレーション

昨年4月にはフィレンツェのGUCCI ARTLABへ足を運び、互いのものづくりへの哲学やポリシーをきちんと学び合うことに重きをおき、アイデアのキャッチボールを積極的に行っていたと話す細尾さん。

テキスタイルが完成するまでに、社内での試作だけでも100回以上のトライ&エラーを繰り返したそうです。「GUCCIらしくもあり、HOSOOらしくもあるという表現の答えを探しつづけました。まるで実験のような取り組みでしたね。とても楽しくクリエイティブで、完成まで締め切りがなければ、ずっと試作しつづけてしまっていたかもしれません」と笑いながら話してくれました。

和装ではあまり使われることのない糸も積極的に用いて、唯一無二のテキスタイルを表現した。

そうして完成したテキスタイルは、西陣織の可能性をますます感じさせてくれたと細尾さん。「フローラモチーフを取り入れた2種類のテキスタイルは、それぞれ鉱石を砕いたようなレイヤー感のある生地と、ふわふわした雲のような柔らかい表情を持つ生地がベースになっています。同じフローラでも、それぞれ違った柄になるよう表現する必要がありましたし、もともとある織りの表情から、どこをどう引いてバランスを取るか・・・こういった発想は自分たちだけでは生み出せなかったと思います。GUCCIのタイムレスなモチーフをHOSOOの西陣織で新たに表現できたことは、とても革新的であり刺激的でもありました」

HOSOOのテキスタイルコレクション「Mesh」をベースに、GGパターンが浮かび上がるようデザインされたテキスタイル。

受け継いできた技術を大切に、西陣織のイノベーションを起こしつづけるHOSOO

今回のGUCCIとのコラボレーションをきっかけに、クリエイティブなセッションの楽しさや、これまでの世になかったものを高いレベルで生み出すという過程に、改めて大きなやりがいを感じたと話す細尾さん。こういった挑戦を今後も積極的に行っていきたいと語ります。

その言葉どおり、今年2月にはミラノ・ブレラ地区にショールームを新たに完成させたり、東京・八重洲に誕生する「東京ミッドタウン八重洲」1階に東京初となるショールーム&ストア「HOSOO Tokyo」をオープンさせるなど、その進化はとどまるところを知りません。そんな日本が誇る“美”・西陣織とHOSOOのクリエイティブから今後も目が離せません。

バッグに関するお問い合わせ先:

グッチ ジャパン クライアントサービス
電話番号:0120-99-2177(10時~20時/年始を除く)
公式サイト:www.gucci.com

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