日本紀行・海外紀行でこれまで撮影してきた膨大な写真群の中から、
選りすぐりの美しい写真をご紹介。その一枚にまつわる撮影秘話もご紹介します。写真は壁紙としてお楽しみください。

Back Story of the Photo

季節の一枚

写真家が語る一枚のバックストーリー【2015年冬】

青森県青森市、八甲田山。八甲田ロープウェーの方に「この時期は2カ月に1日晴れればいい方ですね」と言われた程に甘くない現実があった。

©Naohiko Tozawa

八甲田山の樹氷

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文・写真:戸澤直彦

世の中には「晴れ男」「晴れ女」と云われる人間がいるが、私は所謂「それ」であると思う。

しかし、写真を職業にし20年、数々の奇跡(?)を残してきたのだが、流石に今回の真冬の八甲田は無理だと確信していた。何故なら、アポの段階で八甲田ロープウェーの方に「この時期は2カ月に1日晴れればいい方ですね」と言われた程に甘くない現実があったからだ。

東北の冬を取材に廻った6日目、天気予報は曇り時々雪。クルマからロープウェーに乗り換え山頂を目指す。高度が上がると同時に薄いガスの中へと入って行く。

「やっぱり厳しいかな〜」などと話していると「フワッ」とガスが抜け、そこには銀白と碧空の世界が広がっていた。

スノーシューを履き、一面に広がる銀世界を駆け巡りシャッターを切りまくった。

その間わずか15分、計59枚。

奇跡は一瞬で通り過ぎ、猛吹雪へと戻ってしまった。写真ではわからないが、樹氷を作る要素のひとつ「北西風」が猛烈に強く、撮影終了時には髪の毛やまつ毛も凍りついていた。

撮影地:青森県青森市 八甲田山

とざわ なおひこ◎1971年宮城県生まれ。写真家。美術系大学卒業後スタジオに勤務。2001年よりフリーとして活動。雑誌、パンフレット、料理、ポートレートなど幅広い分野で活躍中。