日本人の心の故郷にして永遠のあこがれ、京都。
生粋の京都人ライターが、奥深い京の歳時記や知られざる名品、名所を綴ります。

京都通コラム 第3回

桜づくしの春の京都へ

文・大喜多明子

気がつけば3月。光がどんどん明るくなって、春を感じるようになりました。梅、桜と花の季節を迎えるこの時期、京都の人々の暮らしに息づく行事として思い出されるのが、嵐山・法輪寺の「十三まいり」です。

嵐電北野線、鳴滝駅〜宇多野駅間の“桜のトンネル”。車窓が薄紅に染まる。今年の詳細はHPで確認を。

嵐山・法輪寺の十三まいり

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気がつけば3月。光がどんどん明るくなって、春を感じるようになりました。梅、桜と花の季節を迎えるこの時期、京都の人々の暮らしに息づく行事として思い出されるのが、嵐山・法輪寺の「十三まいり」です。

これは、数え年十三歳を人生の節目として、この先立派な大人になれるよう、虚空蔵菩薩様に智恵をいただき、幸福を祈願する成人儀礼。平安時代の初め、幼くして即位した清和天皇が、数え年十三歳の時に成人の証として法輪寺で勅願法要を催したことが始まりとされ、江戸中期以降は一般にも広まったそうです。

私もその昔、着物を着ておまいりをさせていただいたように、両親や祖父母が用意した着物を着て参拝する人が多く、京都という土地柄、親族自ら染織に携わったという帯や着物でおめかしする人もあります。ちょうどお寺は桜の名所でもあり、花に彩られたその姿はあでやかで、ほほえましく、当の少年少女たちにとっては晴れやかな、まさしく「ちょっと大人」を実感する機会になっているかもしれません。

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参拝は漢字一字を筆で書いて奉納し、本堂でご祈祷を受けます。そしてドキドキしたのが帰り道。渡月橋を渡るまでに振り返ると、授かった智恵を落としてしまうという言い伝えがあったからです。かつて渡月橋が法輪寺橋といわれたように、寺域の大きさを表す言い伝えですが、橋を渡り切った時は、子どもなりにほっとしたのを覚えています。

現在は、首都圏、東日本からの参拝も増え、節目としての行事を大切にされる方が多いとか。対象となる数え年十三歳は、「自分の干支が戻ってきた年」というとわかりやすいですね。十三まいりの参詣期間は、4月13日を中日とした1カ月間、つまり3月13日から5月13日まで(秋もあるそうです)。ご祈祷料は5,000円〜。嵐山一帯は屈指の観光名所のため、ご参拝の方は余裕をもってご移動ください。

法輪寺:京都市西京区嵐山虚空蔵山町

平野神社で桜の魁(さきがけ)、嵐電でお花見を

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そして、3月ともなればやはり気になるのは桜のこと。北区の平野神社では、3月中旬から下旬にかけて、一重のしだれ桜「魁桜」が咲き、この桜が開花すると京都のお花見シーズンが始まると言われます。平野神社には、蝶のような胡蝶や優美な白雲、虎の尾、八重の平野妹背(ひらのいもせ)、緑の御衣黄(ぎょいこう)など、60種400本の桜の木があり、桜の季節を通してさまざまな表情に出会えます。また夜桜観賞も楽しめ、4月下旬に咲く突羽根まで、京都の桜を堪能することができます。

また嵐山から平野神社方面へ、あるいは逆ルートで観光する間にも、お花見を楽しめるのが嵐電北野線の「桜のトンネル」。鳴滝駅〜宇多野駅間のわずかの間ですが、桜色に包まれる瞬間は格別。夜は時間限定でライトアップがあり、消灯&低速運転が行われ、乗り合わせた時はとても感激しました。今年はぜひ乗り合わせてみてくださいね。

平野神社:京都市北区平野宮本町1

京福電鉄:http://randen.keifuku.co.jp/

おおきたあきこ◎京都府生まれ。ライター、コピーライター。京都府立大学文学部卒業。広告代理店勤務を経てフリーとなり、広告制作を行う一方、女性誌、会員誌などでパン、スイーツ等の食や、伝統のものづくりをレポート。京都市在住。著書に『未在 石原仁司の茶懐石』がある。