日本人の心の故郷にして永遠のあこがれ、京都。
生粋の京都人ライターが、奥深い京の歳時記や知られざる名品、名所を綴ります。

京都通コラム 第2回

節分限定の行事とお菓子

文・大喜多明子

1月もはや下旬。体が縮こまるほどの京都の寒さはともかく、節分、立春と、暦の上では春が近づいてきます。2月3日の節分には、各地のお寺や神社で厄除、無病息災を祈願する行事が執り行われます。

節分の日だけ製造販売される柏屋光貞の「法螺貝餅」。

お正月気分も落ち着いて、新しい年のペースをつかみ始める頃には、1月もはや下旬。体が縮こまるほどの京都の寒さはともかく、節分、立春と、暦の上では春が近づいてきます。2月3日の節分には、各地のお寺や神社で節分会・節分祭が行われ、鬼が登場しての追儺式や豆まきなど、厄除、無病息災を祈願する行事が執り行われます。

女性にうれしい須賀神社の「懸想文売り」

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そんな、この時季だけの行事の中でも珍しいのが、左京区にある須賀神社の「懸想文(けそうぶみ)売り」。2月の2日と3日、水干(すいかん)姿に烏帽子をかぶり、目元以外は覆面で顔を隠したちょっと怪しげなふたりが、手に梅の枝と懸想文を持って立っています。

これは、江戸時代に町を賑わした懸想文売りを現代によみがえらせたもので、当時の懸想文とは思いを懸けた文のこと。言わば恋文の代筆を行っていたわけですが、ここでは恋文ではなく縁談や商売繁昌などの願いをかなえる符札として授与され、中の文は毎年新たに書かれます。この符札をひそかに鏡台や簞笥の引き出しに入れておくと、容姿が美しくなり、着物が増え、良縁が得られるのだそうで、女性ならぜひいただきたいお守りです(1000円)。

そして、須賀神社は別に交通神社という名があり、平安時代以前より道を守ってくださる神様がまつられています。道路の守り神であることから交通安全の神として信仰され、車のご祈祷をお願いする方もよく来られているんです。

須賀神社:京都市左京区聖護院円頓美町1 TEL:075-771-1178

一日限りの厄除菓子「法螺貝餅」

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ところで“節分限定”といえば、思い浮かぶのが、東山区の柏屋光貞のお菓子、「法螺貝(ほらがい)餅」です。これは、須賀神社の向かいにある修験宗総本山の門跡寺院、聖護院に伝わるお菓子がもとになったもので、柏屋の九代目が門主の依頼を受けて考案し、十代、十一代と受け継がれています。

鉄板の上に小麦粉の生地をのばしてクレープのような皮を焼き、味噌餡を丸めて、そこにごぼうを入れて、くるくると巻き法螺貝の形に。もっちりとやわらかい生地に甘いお味噌が調和、素朴かつ上品なおいしさに気持ちが和みます。

厄を払い、無病息災を願うこのお菓子は毎年1月20日〜30日に予約を受け付け(5個より販売)、販売は2月3日のみ、店頭でのみ購入することができます(地方発送はありません。当日の営業は15時まで)。夏には、祇園祭宵山の7月16日のみ販売される「行者餅」もあります。

柏屋光貞:京都市東山区安井毘沙門町33-2 TEL:075-561-2263

おおきたあきこ◎京都府生まれ。ライター、コピーライター。京都府立大学文学部卒業。広告代理店勤務を経てフリーとなり、広告制作を行う一方、女性誌、会員誌などでパン、スイーツ等の食や、伝統のものづくりをレポート。京都市在住。著書に『未在 石原仁司の茶懐石』がある。